「犬同士の遊び」のメリットとマナーについて。では、犬が苦手なコはどうする? by牧口香絵

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犬たちが追いかけっこして遊ぶ姿は、すごく楽しそうですね。その一方で、「うちのコは犬友達がいなくてかわいそう」とシャイな愛犬を心配する飼い主さんも。そもそも犬同士の遊びにはどんな効用があるのでしょうか。犬にとって犬友達は必ず必要なもの?今回は「犬同士の遊び」について考えてみましょう。

犬友達は絶対に必要? 犬が苦手なコの対処法

●子犬の社会化のために
子犬のときは、犬との社会性を身につけるために犬同士の遊びが必要です。犬との社会性がなければ、外で他の犬と出会ったときに攻撃的になったり怯えたり、散歩が嫌いになって歩かないこともあります。社会化のためにとドッグランに連れて行く飼い主さんもいますが、きちんと管理されたドッグランでないと、病気に感染したり、マナーの悪い犬に追いかけ回されて嫌な思いをしたり、かえって社会化の妨げになりかねません。

大人になったら、仲良しのコが1頭から数頭もいれば十分。7歳ぐらいのシニアになってから、わざわざ新しい友達を作ることはありません。加齢とともに遊びの要求も減ってくるし、若い犬が勢いよくやって来ると嫌がるコもいます。

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●犬同士の遊びは、人では与えられない充実感
犬が若ければ、犬同士で追いかけ合ったり、首を咬んだり、レスリングをして遊ぶのは大好き。犬同士が楽しいと思って作り上げた遊びは、二足歩行の私たちにはシェアできません。せいぜい引っ張りっこをしたりボール遊びで代用するぐらい。とくに活動レベルの高い犬だと、人が30分どれだけ工夫して遊んでも、犬同士で遊ぶ30分には到底かないません。同士の遊びは、犬がすごく満足する濃厚な時間。毎日でなくても週に何回あればいいでしょう。

●すべての犬に必要なわけではない
しかし、犬同士の遊びはすべての犬に必要というわけではありません。「うちのコは犬と遊べない、あいさつができない」と、相談に来る5歳の犬の飼い主さんもいますが、もう5歳になったら、あいさつや友達作りが目標ではありません。

そのコが飼い主さんと一緒に外で他の犬と出会ったとき、怯えたりパニックになることなく、安心してすれ違うことができればok。そのコの年齢に応じた目標設定が重要です。飼い主の強いエゴや犬に対する無理解は、犬にトラウマを作る原因に。

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例えば、他の犬が苦手なコがドッグランに行くと、不特定多数の犬に囲まれて余計に犬が怖くなってしまうんです。愛犬に大好きな犬友達がいて一緒に遊びたがるならいいですが、他の犬に会っても無関心だったり嫌がるなら、無理にあいさつすることはない。すべては犬がどうしたいかで、飼い主がどうしたいかではありません。

●犬の付き合いにも“相性”がある
今、実施しているパピークラスでは、性別、犬種、活動レベルで、おっとり系と活発系の2グループに分けています。これを混ぜてしまうと、おっとり系が活発系に押されて、遊びが苦痛になってしまうからです。

成犬だとなおさら相性があります。同じ犬種や似た犬種(ペチャ鼻系など)だと行動パターンが似ているためか、仲良くなりやすいようです。また、犬種特有のにおいでもあるのか、過去にいじわるされた犬種は嫌う傾向にあります。

 

犬同士の遊びだけでなく、人との遊びも重要

●人と遊ぶ楽しさも教えよう
犬には、犬の世界で遊ぶことも知ってほしいし、人の社会で暮らしているので、人と遊ぶ楽しさも知ってほしいと思います。犬を飼ったら、「口」の管理をしっかりできるようにしないと、犬のおもちゃを取ろうとして咬まれるといった事故につながります。また、ずっと一人遊びをさせていると、そのおもちゃを取り上げられなくなります。犬と一緒に暮らしたら、トイレを教える、遊び噛みを抑制するのと同じく、「ちょうだい」を教えること。堅苦しく教えなくても、おもちゃで遊ぶときにその延長上でトレーニングできます。

●正しいやり方で遊ばせないと逆効果
人との遊び方は、犬が2~3歳になってからでも教えられます。ただし、おもちゃの使い方には注意が必要で、興奮を助長するような遊び方はしないこと。おもちゃを見ると興奮してコマンドが利かなくなってしまいます。

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以前、トレーニングに来ていたジャックラッセルテリアは、ボールが大好きで始めは上手に遊んでいたのにどんどん崩れていきました。おもちゃを見ると興奮しすぎてコントロールできず、最終的にはおもちゃ禁止令を出すことに。飼い主さんがしつけをするのが初めてで、日常的に間違った遊び方をしていたんです。

 

犬同士の遊び、やってはいけないマナー違反とは?

犬同士で遊んでいても、人の監視は絶対に必要。途中、どちらかが遊びが嫌になったとき、もう一方がそのサインを読み取れずに遊び続けると負荷になります。そういうときは人が介入して休憩する必要があります。それでは、犬同士の遊びでやってはいけないマナー違反とは?

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●執拗なマウンティングやバランスの崩れた乗っかり合い
遊びの中でのマウンティングは犬同士では自然なことなので、バランスがとれていればOKですが、一方がやり続けるのはNG。良いバランスとは、やられたらやり返すができている状態です。1対1だとバランスはとりやすいのですが、1対2になったとき、2頭で1頭を押さえつけてしまうような状態はよくありません。

●吠える
興奮して吠えてしまうのも他の犬に嫌がられます。吠えていないときに褒めて教えていきます。

●横からの体当たり
横から突進して転ばせるのは、そのコにとっては遊びでも、犬同士のマナーとしてはNG。とくに大きさに差がある場合は要注意です。

●足やしっぽを部分的に咬む
先端は敏感なので、NG。

遊びの最中に叱ることは非常に難しいので、ロングリードを付けて対処しましょう。ドッグランでも、すぐにリードを離すのではなく、まずそこにいる犬たちの様子をよく観察すること。サイトハウンドやハンティングドッグのように動くものを追う性質のあるコが、ハンティングモードで他の犬を獲物のように見ているときは、近づかせない方がいいです。

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また相手の犬がどんなコかよく知らない場合は、おやつやおもちゃを出すのも危険。見るとモードが変わるコがいるので、飼い主に「おやつをあげても大丈夫?」と確認しましょう。犬同士の遊びは、基本、両者がハッピーなら、それは良い遊び。お互いにマナーを守って、犬たちに、楽しいひとときを過ごさせてあげたいですね。

動画の再生マークのアイコン素材<動画紹介>
この動画は、パピークラスに“犬の先生”である、成犬のバーニーズマウンテンドッグ、パーシーが介入したときの様子です。子犬同士の遊びの中に成犬が介入することで、ガラリと空気が変わり落ち着くということがあります。
パーシーが入室前は3頭の子犬のリードを放すことができないくらいバランスの悪い関係でした。その空間に犬の先生であるパーシーを参加させます。パーシーは子犬に直接あいさつをしにいかず、まずは子犬の御家族にあいさつをしにいきます。ご家族との接点を始めにもつことで子犬に安心感をあたえています。その後1頭ずつ、子犬が自らパーシーのもとへあいさつをしにいきます。パーシーは子犬を脅したり、ちょっかいをだすことは一度もありませんがパーシーの持つ堂々とした威厳のある姿から子犬はどのように今振る舞うべきかを自然と理解しました。パーシーがその場を去った後はリードをつけなくても3頭がバランスよく空間を使え るようになりました。
“犬の先生”がいない環境では、人が介入して子犬同士の遊びをクールダウンさせる必要もあります。

 

牧口 香絵

獣医師 牧口 香絵

ペットの行動コンサルテーション[Heart Healing for Pets]代表

1998年に麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛犬はボーダーテリアのコーディーちゃん。
・AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員

愛犬をやさしく癒す クリスタルヒーリング

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