「犬猫同居」生活20余年!わが家のヒストリー

私は、今までやむにやまれぬ状況で うっかり猫を保護してしまったことが人生で2回あります。そのため、わが家はこの20年以上、犬と猫が混在して共生しています。

猫好きの人から見れば「犬と同居なんて大丈夫!?」と心配になるようですし、犬好きの人から見れば「猫を追いかけたりしないの?」と不思議にもなるようです。でも、ニンゲンとイヌとネコの異種動物混合生活、やってみれば、意外となんとでもなるものです。

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わが家の日常。大型犬2頭と猫1匹

ただし、先住動物の性質、あとから来た幼い動物の社会化(環境適応能力)トレーニングができるか、そして飼い主がいざというときに先住動物も新参者もきちんと守れるか、監視できるか、リーダーシップがとれるか。
それぞれの動物の行動や習性に即した室内環境の整備、などのさまざまな要因をクリアしていくことも必要。よって安易に犬猫同居暮らしを推奨するわけにはいきませんが、だけど、ちょっと学んで工夫すれば、フツーの共存はできると思っています。

ではどんなきっかけで、犬猫同居が始まることになったのか、わが家の2例を紹介しましょう。

 

<体重1.5キロ、神経質な愛猫 たねちゃん♀のケース>

1頭目は大学4年生のとき。家のすぐ近くの道路でヨロヨロしていた小さな黒猫が、いくら道路脇に避難させても、道の真ん中に出ようとするので連れ帰りました。手のひらに収まる黒い種粒のようだったから「たねちゃん」。その後、たねちゃんが6歳のときに、元来犬好きだったため犬も迎えることになりました。

たねちゃんの同居相手は、ワイマラナーと2頭のコーギーの犬3頭でした。でも たねちゃんは、神経質なタイプだったので犬と同じ部屋でくつろぐことはなく、家庭内別居に近い状況。
猫は家じゅう自由に行き来はできますが(犬は2階に行けないようにしていた)、犬のいる部屋に来ることはなく、そのかわり階段上から犬たちを眺めていました。

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11年前。子猫時代のまめちゃん(残念ながら、たねちゃんの写真はナシ)。犬のごはんを狙っています。繊細だった たねちゃんと違い、大らかというか、大雑把というか!その時は、ワイマラナー×1、コーギー×2

 

先住動物が、神経質な気質で社会化が乏しい場合は、あとから新参者を迎えるのはストレスになることが多い気がします。今思えば、たねちゃんには悪いことをしてしまったのかもしれません。

ただ犬側から見れば、たねちゃんがいたおかげで、猫に対して敵対心を持たないで育つことができました。猫の形をしていても、同じ群れ、同じチームという感覚だったのでしょう。たねちゃんが社会化トレーニングの師匠となってくれたわけです。また、群れの親分(=私)が大事にしているものを攻撃してはいけない、「仲間だ、家族だ」と犬は学習しました。たねちゃんをいじめたり、追いかけたりすることもなく、猫を怒らせないように、ひっかかれないように、ストレスを与えないよう距離をとる生活をしていました。

たねちゃんは、その後15歳半で亡くなるまで、犬たちと普通に暮らしました。

 

<体重7.5キロ、おおらかな愛猫 まめちゃん♂のケース>

猫2頭目は、11年前。たねちゃんが他界して約1年後。山で遊んでいたとき、うちのワイマラナーが山中で捨て猫ダンボールを発見しました。箱の中には、2体の子猫の死体と、かろうじて生きていたグシャグシャな目やにの3匹の小さな子猫。死んでいたコたちはその場でお墓をつくり、生きていたコは急いで病院に連れて行きました。見つけてしまった以上、山に放置はできません(犯人はひどい。今なら法律で、猫を捨てた人は処罰されます)。

とはいえ3頭を全頭引き取る勇気はなく、幸い仕事先の友人が迎えてくれることに(涙がでるほど安堵しました)。そして自分も拾った責任があるので、1頭残すことにしました。ただ、前回、神経質な先代 たねちゃんの経験があったので、次は猫に不自由な思いをさせないよう、なるべく大らかで図太い性格の子がいいと思いました。

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サイズも度胸もビッグすぎる「まめちゃん」

そこで実験。安全に配慮しながら、ワイマラナー(37キロの大型犬)を、ゴルフボールより小さな頭の子猫たちと面会させてみたところ、2頭は子猫ながらに全身ボッ!と毛を逆立てたのですが、1頭だけはボケ~として動じなかったのです。それどころか大型犬に近づき、クンクンと顔のにおいを嗅ごうとするではないですか。これは図太い!(無謀すぎ!?)

狩猟本能のある動物は、相手がびびったり逃げたりしたら、追いかけたくなり捕まえたくなるものです。反対に正々堂々と、動じないで、肝が据わっていたら、案外攻撃はしないもの。この図太い子なら、きっと犬とうまく共存できそうだと直感しました。それが今うちに残した黒猫まめちゃんです。黒豆のように(当時は)小さかったので、「まめちゃん」と名づけましたが、今では7キロを超えるでっかい猫になりました(笑)。

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まめちゃん(写真:右上)は、先代の3頭の犬が他界したあと、今度はクーパー(ジャーマン・ポインター)とメル(ボクサー)とそのままフツーに同居しています。年下のクーパーたちは、子犬時代から黒猫がフツーに家じゅう闊歩している状況だったので、先輩という感じで一応敬意を払っているもよう。

04メル(ボクサー)のベッドを勝手に占領する、ドヤ顔のまめちゃん。遠慮して小さくなって寝るメル

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犬と猫を同居させたいな、と思っているなら、個々の性格をよく見極めるのが大事。お互い大らかで、動じないタイプの子の方が成功率は高いと思います。でも迎えたあとに「やっぱりソリが合わないから、返したい」ということになるのはいちばん悲しいことなので、よーく体験談を聞いたり、獣医さんやトレーナーなどの専門家の意見を聞いてから決断するのをオススメします。

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 ゴハンは高い所でゆっくり

05まめちゃんは、わが家に来た友達の犬にも全然動じませんし、先日はハウススタジオでの撮影にもモデル要員として参加し、相変わらずの堂々っぷり。よそのチワワやジャック・ラッセル・テリアと同席しても、フツー。犬の方がびっくり、ややひき気味でした(笑)

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まめちゃんは一緒にキャンプにも行きます。リードつけて歩かせるとけっこう一緒に歩きます。でも帰り道はストライキをおこすので抱っこになります。お弁当を食べている時などは、高原の風に吹かれて気持ちよさそう。猫のくせに旅を満喫

07キャンプや旅行前に、バタバタと準備していると、さっさと自らケージに入り「一緒に連れて行って」アピール。自分は猫ではなく、犬だと勘違いしているのか!?

 

 

白石かえ

犬学研究家、雑文家 東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。 その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピ…

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