2018年12月に、日東書院さんから『決定版 猫と一緒に生き残る防災BOOK』を出させていただきました。
作っておいて何ですが、私、普段から防災をしっかりやっているタイプではありません。正直、めんどくさい。「嫌だな~、来んのかな~。私のところだけには来ないんじゃないかな?」そんなふうに考えているうつけ者です。いままで、自分が大きな災害に遭ったことがないのも関係しているでしょう。
実は、私のような考えは日本人には多いそうです。日本は災害が多い分、「災害は仕方のないもの」という“無常観”が根底にあり、そのため防災意識がなかなか高まらないという特性があるそう。「災害、来たら来たで仕方ないさ」という刹那主義というか、童話「アリとキリギリス」でいえば、厳しい冬に備えてせっせと食料を貯めるアリではなく、将来のことを考えずその場が楽しければいいさと歌って過ごすキリギリスタイプというか。
もちろん、アリタイプのように普段からしっかりと対策しているのがベストなのですが、私のようなキリギリスタイプは、わかってはいてもなかなか重い腰が上がらない…そんな私が作った防災本です。なので、キリギリスタイプにも効くようにできています(笑)。
この本にある「事前の備え」をすべて実行しなくてもかまいません。備蓄品をストックしたり、家具の転倒防止策をやれといっても、キリギリスさんはなかなかやろうとはしないでしょう。でも、ただ知っておくだけであなたと猫の生存率が上がるといったらどうしますか? 読みたくないですか?(笑)
■ペットへの震災対策実施状況
・ケージ、キャリーバックなどのペット用避難用具を準備している…32.0%
・ペットフードやペット用の医薬品などの備蓄をしている…25.5%
・家族や親族間で災害時を想定した話し合いをしている…14.7%
・迷子を想定して飼い主情報の入った迷子札やマイクロチップなどを装着している…14.4%
・地震を想定してケージの固定などの対策を行っている…11.0%
・避難所での状況を想定してケージに鳴らす訓練や吠えないようなしつけをしている…7.8%
・緊急時の預かり先を確保している…7.5%
・近隣の避難施設にペットを連れていけるかを確認している…5.5%
・その他…0.3%
・特に対策をしていない…48.3%
出典:「一般社団法人ペットフード協会」(平成29年全国犬猫飼育実態調査)
※編集部にて表示順を変更
たとえばビビリで捕まえられない猫はどうする?
ペットの同行避難が叫ばれて久しいですが、「うちの猫、いざというとき捕まえられない気がする…」という飼い主さん、意外と多いのではないでしょうか。かくいう私も、なかなか捕まえられない飼い猫がいます(汗)。
動物病院に連れて行くのもひと苦労。夫とふたりで挟み撃ちにしてやっとキャリーに押し込む始末…。これじゃ、大地震で猫がパニックになっていたり、自分一人しかいないときに避難を迫られても、捕まえるのにどれだけかかるかわかりません。
我が家のビビリーず
そんなときは、猫を残して人間だけでも避難する必要があるのですが、家に残す猫のために、水とキャットフードを大量に置いておく、猫がどの部屋にいるかわからないときは室内のドアをすべて開けて何かで止めておく、夏場は比較的涼しい玄関や風呂場に行けるようにしておくなどが有効です。
たったこれだけのことですが、災害でパニックになっているときは冷静に考えることができません。あらかじめ知っておくことがイザというとき生死を分けるかもしれないのです。
また、猫の飼い主に限ったことではないですが、家を離れるときは電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めるのも大切。災害時は電気もガスもストップすることがありますが、スイッチが入ったままの家電が転倒するなどして壊れると、電気やガスが復旧したときにショートするなどして火災が発生する危険があるからです(通電火災というやつです)。生き残ったものの家が全焼…では嫌ですよね?まして、その中に残された飼い猫がいたとしたら…
猫トイレやフード皿は、なくても何とかなる!
避難所などで猫をお世話する場合、猫トイレや猫用の皿も必要になりますが、猫トイレや皿はなくても何とかなります。段ボールなどで作っちゃえばいいのです。ですから持ち出し品としての優先順位は高くありません。それより、代用が効かないキャットフードや猫の持病の薬をはじめに持ち出す品として揃えましょう。
避難は基本徒歩なので(車は通行規制や渋滞で使えない場合が多々)、はじめに持ち出せるモノには限界があります。代用できるモノ、作れるモノは後回しにするのが正解です。
ケージを持ち出すのはあと!
避難所などで猫をお世話する際はケージに入れます。なのでケージは必須アイテムなのですが、重いし、かさばるのではじめに持ち出す品に入れるのは現実的ではないでしょう。とりあえず猫と必要最低限のモノを持って避難したあと、安全が確認できたらいったん家に戻りケージを持ち出す、というのが現実的です。
家の中がぐちゃぐちゃになって取り出すのに苦労する場合もあるため、取り出しやすい屋外の倉庫や車庫などにケージを置いておくとよいでしょう。
ケージでの猫のお世話イメージ
また、慣れない場所で過ごす猫をできるだけ落ち着かせるために、ケージの周りを段ボールや布で覆ってあげると◎。他のペットとはなるべくケージを離したほうがよいですが、無理な場合は他の動物が視界に入らないようケージを置く位置を工夫したり、周りが見えないよう完全に覆ってあげるのがよい方法です。
避難所でお世話する場合には、ケージのそばに「ねこにさわらないで」の張り紙をするのもコツです。避難所では、動物好きな子どもたちなどが猫に触ろうとすることもあります。しかし慣れない場所で緊張している猫はその子どもに咬みついてしまうかもしれません。それが原因で最悪の場合、猫と飼い主さんが避難所を出ていかなければならない事態になることも…。こうしたトラブルを避けるためのちょっとした、でも大切な知恵です。
心配な「お金の問題」もフォロー
猫と一緒に生き残ったものの、「家も壊れて、仕事にも行けない。これからどうすればいいの?ワタシ」という事態に陥ったときに、気になるのはお金の問題です。ローンが残っている自宅が壊れて住めない状態になり、借金だけ残る…というのも恐ろしいですよね(汗)。
そういった災害時のお金の問題をフォローする制度がいろいろあるので、こうしたことを知っておくのも必要です。便利な制度があっても、行政がわざわざ教えてくれるわけではありません。自ら学んで利用しなければ、知らないまま損するだけです。
いかがですか?あなたと愛猫を助けるコツを詰め込んだこの本、読むだけで災害時に効くと自負しています。私のような“めんどくさがりなキリギリスタイプ”にもぜひ一読してほしいです。
プレゼントの応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
~おまけ~
災害時は停電するため、スマホの充電器は電池式がよいと知ったワタシ。超小型の充電器と電池2本をチャック付きポリ袋に入れて持ち歩くようになりました。
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