子猫を飼い始めた方は、「猫風邪(カゼ)」に十分気をつけてください。くしゃみ、鼻水、発熱などの典型的な風邪症状に加え、目やにや涙、口内炎などを示すこともあります。とりわけ子猫がかかりやすい感染症です。
一度感染すると、ウイルスが留まり続ける
最近は、重症の猫風邪(カゼ)はあまり見かけなくなりましたが、もし拾った子猫が、涙や目やにがひどく、鼻水でグチュグチュ状態だったら、すぐに動物病院に連れて行ってください。鼻が詰まってしまうと食事が摂れず、子猫の場合は衰弱死することもあります。
また、目が癒着して手術が必要になったり、鼻炎がひどければ、慢性化して一生引きずることもあります。猫風邪(カゼ)が厄介なのは、一度感染すると、体内にウイルスが留まり続けること。いったん回復しても、体調が悪かったり、年をとって免疫力が落ちてくると、再発をくり返すことがよくあります。初期にきちんとケアをして、できるだけダメージが残らないようにしてあげることが大切です。
ワクチン接種で被害を少なく
「猫風邪(カゼ)」とひと括りにしていますが、実際には、ヘルペスウイルスによる「猫ウイルス性鼻気管炎」、「猫カリシウイルス感染症」、「猫クラミジア感染症」があり、これらが混合感染しているケースもよく見られます。猫風邪にはワクチンがありますが、ワクチンで完璧に予防することはできません。
しかし、接種しておけば、発症しても軽く済みますし、一度感染して体内にウイルスをもつキャリアの猫でも、定期的なワクチン接種で免疫を高めることで、再発を抑えられます。
人が介在して感染させてしまうことも
猫風邪は、子猫だけでなく、おとなの猫もかかります。人のインフルエンザと同様、免疫力が低下する冬場に多く、2月頃がピークでしょうか。外に出る猫でワクチンを接種していなければ、感染の危険性はさらに高まります。
多頭飼育のお宅では、1頭がかかるとあっという間に広がりますから、感染した子は必ず隔離してください。
感染経路は、主に咳やくしゃみによる飛沫感染ですが、飼い主さんが外で野良猫の相手をして、手や衣服に病原体をつけて帰宅し、愛猫に感染させてしまうこともあります。不用意な接触で、愛猫を危険にさらさないよう注意しましょう。
ちなみに猫風邪は、猫から人にうつることも、犬にうつることもありません。
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グラース動物病院
日本大学動物病院で4年間の研修を終了後、同学総合臨床獣医学研究室 神経科大学院研究生として在籍しながら、グラース動物病院に勤務。獣医神経病学会や獣医麻酔外科学会に所属し、国内外における多数の獣医師学会にて論文発表をするなど、知識とスキルの向上に積極的に取り組んでいる。
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