猫はよく吐く動物です。「大丈夫な吐く」なのか、「危険な吐く」なのか、日頃からよく観察して見極められるようにしておきましょう。
“いつもと違う” 吐き方に注意
吐いても食欲・元気があり、排尿排便も正常で体重が維持されているようなら、心配することはありません。例えば、吐いた後はケロッとして、またご飯を食べている、朝方などの空腹時に白い泡や黄色い液体を吐く。草を食べて毛玉を一緒に吐く。こうしたことはよくあることで、様子見をしていても大丈夫でしょう。
しかし一方で、「吐く」ことは様々な病気のサインでもあります。これまで吐かなかったのに頻繁に吐くようになった、食欲にムラがある、軟便を伴う、痩せてきたなどがみられる場合は注意が必要です。胃腸、膵臓、肝臓、腎臓など臓器のトラブルの可能性があります。「いつものことだから」と放っておくと、実は病気が進行していたということも。吐く頻度や嘔吐物、愛猫の様子などを観察して、“いつもと違う”と感じたら動物病院でみてもらうようにしましょう。
意外と多い「誤食」
緊急を要する「吐く」もあります。なかでも意外と多いのがオモチャなどの「誤食」です。吐く、吐こうとして大量によだれを出す、突発的な食欲低下などがみられる場合は、誤食が疑われます。時間を空けるほど消化管のダメージも大きくなってしまいますので、すぐに病院へ連れて行ってください。胃の中にあれば内視鏡で取り出せることもありますが、腸に移動してしまえば開腹手術が必要になります。
ひも状のオモチャや、布の端っこなど、飼い主さんが気づかないうちになくなっていることがあります。遊んだ後は、オモチャがあるか、欠損している部分がないかなど、チェックするようにしてください。
その他、嘔吐とともに、下痢や発熱、けいれんなどの激しい症状を伴う場合は、ウイルス性の感染症や中毒性物質を口にした可能性があり、これも緊急性が高いです。
多頭飼育の場合は行動をきちんと観察して
猫は、犬のように散歩に出ることもなく、ひとりでのんびりしていることも多いので、様子の変化に気づきにくい傾向があります。そのなかで「吐く」は比較的見つけやすいサインですので、見逃さないようにしてください。
多頭飼育の場合は、嘔吐物を見てもどのコのものかわかりません。ちゃんと食べているか、トイレに行って排泄物が出ているか等、それぞれの猫の行動をしっかりと観察することも重要です。
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グラース動物病院
日本大学動物病院で4年間の研修を終了後、同学総合臨床獣医学研究室 神経科大学院研究生として在籍しながら、グラース動物病院に勤務。獣医神経病学会や獣医麻酔外科学会に所属し、国内外における多数の獣医師学会にて論文発表をするなど、知識とスキルの向上に積極的に取り組んでいる。