新築住宅に起こった問題とは!トホホ〜ッ
今回は、猫と建材や家具などに含まれている「化学物質」をテーマに、室内汚染と換気設備などについてお話しします。では、「猫と住宅照明」の回に登場した 真宇(マウ)家の人々に登場して頂きましょう。
●真宇(マウ)家の家族構成・・・パパ、ママ、エリカちゃん(小学生)、ソラちゃん(オス猫)
エリカちゃんのお友達のお家の心配事とは
ある日曜日の午後、リビングで団欒中の真宇家の会話です。
エリカ 「パパ、ママ、お友達の翔子ちゃんのママが新しいお家に引越してから頭痛やめまいがして具合が良くないそうなの」
ママ 「みんなで新築のお祝いパーティに行った時はとても元気に笑顔で対応してくれたのにね。どうしたのかしらね」
パパ 「翔子ちゃんのパパなんて、この家は外断熱の高気密住宅にしたので少しお金はかかったけど快適ですよーと自慢していたよね。その代り家具は友人に海外貿易をしている方がいるとかで、直輸入のモダン家具をスゴク安くそろえられたと言っていたね。」
ママ 「そうそう、リビングボードなんてピアノ塗装で高級感があって素敵だったわ〜」
エリカ 「翔子ちゃんのママ、病院でいろいろ検査したそうだけど、どこも悪い所がない結果が出たんだって」
ママ 「心配だわ。原因が分かるといいわね。」
エリカ 「翔子ちゃん家の猫もなんだか元気がないんだよ。ママが大好きな子(猫)だったから心配で気分が沈んでいるのかな?」
パパ 「そうだ!前に相談した建築士の猫清水さんに聞いてみたらどうかな」
ソラちゃん 「ニャーニャー (いいかも!)」
猫清水 「翔子ちゃんのママと猫ちゃん心配ですね。どうしたのでしょうか。新築のお家でなにか問題が起きています。今回の身体の不調の原因は一体何が原因なのでしょうか」
翔子ちゃんのママと猫ちゃんが元気がない原因とは!
皆さん、新築のお家にお邪魔すると独特なニオイがしますよね。
そのニオイが、この家新しいんだなあと新築気分を盛り上げるのですが、檜や杉など木材の自然素材の香りから、
塗装のニオイや新建材のニオイなど色々まじって独特なニオイを醸し出しています。翔子ちゃんママと猫ちゃんが元気がなくなった原因はこのニオイの元の「化学物質」にあったのです。
新建材は素材同士を張り合わせるための糊や材料自体に含まれた「化学物質」が室内の空間に少しずつ漏れ出し、外に排出されずにこもってしまい濃度が高くなってしまうことがあります。
具合が悪くなる原因が分からなかった昔は新築病などと言われましたが、1990年代から新建材などから出る「化学物質」による室内空気の汚染が社会問題化してきました。それが「シックハウス症候群」と言われるものです。
「シックハウス症候群」の原因には「化学物質汚染」とカビやダニが原因の「生物学的汚染」がありますが、今回は「化学物質汚染」について取り上げます。
近年、住宅が快適性を求め冷暖房の効率を向上させるために、室内の気密性を追求したため換気が不十分になったのも原因としてありました。
こんな家に住みたくニャーイ!
室内汚染に対する建築業界の取り組み
2003年に建築基準法が改正され、
1・建材に含まれるホルムアルデヒドの使用の制限
2・換気設備の義務付け
3・天井裏等の建材の制限
4・クロルピリホス(防蟻剤)の禁止
などが決まりました。
改正以降、建材メーカーなどは法律に従った有害物質の少ない建材を製造販売してきましたし、建築士や工務店も有害物質を意識した健康住宅を考え、取り組むようになってきました。これにより現在は人間の健康被害の件数も少なくなってきています。もちろん、一緒に生活する猫(ペット)にもよい環境になってきています。
なぜ翔子ちゃんのママと猫ちゃんは健康被害を受けたのか!
翔子ちゃんのお家ができたのは建築基準法が改正された以降なので、建築士も建築会社も法に則って家を設計して造りました。
しかし、法的に認められた新建材に含まれている「有害科学物質」は0%ではないですし、高気密住宅にしたのはいいのですが、冬場に引越したということで換気扇を使っての空気の入換えを怠った事、暖房により有害物質の揮発性が高まってたくさん室内に流出した事などが上げられます。
そして、一番の問題は海外から直輸入した格安家具が有害物質を使った製品だったという事です。造り付けの家具やキッチンセット、ドア等は規制の対象となっていますが、それ以外の置き家具などは規制の対象外なのです。日本製の家具のほとんどは建築基準法が改正されてからは、それに則って制作されていますが、外国製の家具などには昔のままの有害物質が含まれた材料で制作されたものがあるので気を付けたほうがいいでしょう。
翔子ちゃんのママは専業主婦だったこともあり自宅に居る時間が長かったことも具合が悪くなった要因でしょう。また、有害物質に反応するのもそれぞれ個人差があるのでママは反応しやすい体質なのかもしれません。
一方、猫ちゃんですが、人間より小さく、床に近い所で生活している猫は人間が発症する前に少量の有害物質によって真っ先に健康被害などの影響を受けていると思われます。
引越しなどで生活環境が変わった事により元気がないと思われても、新しい家の建材や家具からの有害物質が原因で元気がないのかもしれませんよ。新築の家に移った事で思い当たる節のある方は対策を考える必要があるでしょう。
対策は早めにだニャ!
室内汚染対策として
お家を造る時、化学物質を発生させない自然素材のみで建てるのは皆さん理想としていますが、資金的にコストアップになり経済的に余裕のある人は実現できるでしょうが、普通の人には現実的な話ではありません。多かれ少なかれ新建材を使っての住宅建築になるでしょうし、建売り住宅や分譲マンションを求める人は使用された材料を受け入れるしかありません。
不安のある方は積極的に建築士や工務店、マンションの販売担当者に「シックハウス対策」を相談してください。
新築の住宅の室内に入った時、目がチクチクする、気になるニオイがするなどと思ったら、化学物質の測定をしてもらいましょう。測定方法はアクティブ法とパッシブ法などがありますが、アクティブ法の方が精度の高い分析ができます。それにより、有害物質の有無や種類を特定し何が原因かをさぐり対策を取る事になります。
今回のように家具が原因であれば廃棄処分にしたり、廃棄できいない場所の場合は、ホルムアルデヒドを触媒によって分解して無害にする事もできます。
有害物質は少しずつ漏れ出して室内に溜まり空気が汚染されていきます。最初は気付かずに少しずつ健康を害していきます。
簡単で、しかも重要な対策は、室内の空気の入替えを換気設備を使って強制的に行う事です。
これにより汚染された空気を常時外に排泄させ室内の有害物質濃度を低く抑える事ができます。
2006年の法改正により、住宅では24時間換気システム(2時間に1回室内の空気が入れ替る)が設置義務化されていますが、電気代や冷暖房効率などにより換気扇のスイッチを切ったままにして、あまり機能していないのが実情のようです。
エリカ 「今日、翔子ちゃんちに遊びに行ってきたけど、翔子ちゃんのママ元気が戻ってきたみたい。猫ちゃんともジャラシでいっぱい遊んだよ。おいしい手造りケーキもごちそうになっちゃった」
ママ 「それは良かったわね。ごちそうさまはきちんと言ったの。」
エリカ 「ウン!でもね翔子ちゃんのパパが元気なかった」
ママ 「エッ!どうして」
エリカ 「新しく買ったばかりの気に入った家具全部捨てられたからね!」
法律で規制されたとはいえ、未だに「化学物質汚染」とカビやダニの発生による「生物学的汚染」に悩まされている方も多いと思います。「シックハウス症候群」は対策を取らないまま自宅に住み続けるかぎり、じわじわと症状が進行していきます。気になる方は、下記までご連絡ください。相談に乗ります。もちろん、猫と快適に暮らす住宅の設計依頼もお待ちしてますよ~!
担当:清水
設計依頼待ってるニャ
次回は神田神保町にできた猫本専門の 『にゃんこ堂』 さんのレポートです。神田神保町交差点キムラ屋の隣にある姉川書店内に昨年オープンした猫の写真集、絵本、小説、マンガ、猫グッズを売るお店。今までにありそで無かった猫本をセレクトした猫好きにはたまらない書店です。お楽しみに!
◆愛猫ギャラリー 【今日の一休と海】
一休と海、今日の上下関係。(性格的には逆です)
キャットライフ・キュレーター 清水満
一級建築士・愛玩動物飼養管理士
一般社団法人ペットライフデザイン協会 代表理事
猫作家プロデューサーペットイベントプロデューサー・猫関係セミナー講師
北海道生まれ。北海道の大自然の中、たくさんの動物たち(家畜・ペット・野生動物)と触れ合う環境で育ちました。もちろん動物大好き、猫大大好きです。大学卒業後はインテリアデザイナーを目指して東京へ。建築設計事務所、インテリアデザイン事務所に勤務の後、30歳の時、建築インテリア設計事務所「スタジオ・ナビ」を設立し独立。主にレストランや自動車のショールームなどの商業施設設計やマンションの企画などをしていましたが、愛猫の一休、海との路上での運命の出会いから、ペットと幸せに暮らす住宅の事を考えはじめ「わんにゃん健康住宅研究所」を立ち上げました。現在「ペット専門建築士」として活動中です。また、設計活動の傍ら「北の猫たち展」(札幌開催)などの展示会開催や猫作家支援、イベントの企画及び参加、TV出演など幅広く猫の専門家として活躍しています。
▶HP:わんにゃん健康住宅研究所
▶ブログ:猫の一休建築士