アビシニアンの子猫(生後3週齢)。目が、キトンブルーと呼ばれる青みがかったグレーなのはこの頃まで。
手元にいる誕生日のわからない子猫の月齢は、目色や歯の状態で目安がつきます。
今回は「子猫の月例の見方」について。以下で示すのは、平均的な成長過程ですから、あくまで目安の一つと考えてくださいね。
子猫はこんなふうに生まれてきます
そもそも子猫はどのように生まれてくるか、ご存じですか?
羊膜に入ったまま生まれた場合、母猫か、人が代わりに手で羊膜を破り呼吸をさせなければ死んでしまいます。呼吸の次は胎盤です。胎盤が切れた状態で生まれる場合も、胎盤と一緒に生まれる場合もあります。
生まれたときはまぶたを閉じています
母猫なら舐めて、人が行う場合はティッシュペーパー等、水分の吸収が早いもので乾かします。生まれてすぐ洗うブリーダーもいます。いずれの場合も体温の低下を避ける必要があります。
もし冷えていると感じた場合は、38℃のお湯を張った洗面器で温泉のイメージで全身を温めます。冷えているからといって熱い温度にするのは危険です。お湯はすぐに冷えてしまいますから、体が温まるまで数回お湯を入れ替えてください。
また、ドライヤーなどは部分的に温度が高くなったり乾燥させるため熟練した技術が必要になります。生後3日ほどすると、へその緒が取れます。乾燥して落ちるイメージですね。
不透明なキトンブルーから、7~8カ月齢で本来の目色に
栄養が足りている子猫の場合、育ちの良い子猫で5日、遅くても10日後には目が開きます。
生後2週齢(左)、 生後3週齢(右)
栄養状態が悪い拾った子猫の場合、目ヤニで開かない場合も考えられます。どんな場合であっても、まぶたを引っ張ったり、道具で無理やり開けると眼球を傷付ける可能性があります。コットンなどに生理食塩水等を含ませてそっと拭いて目ヤニが出ないか様子を見てください。
目が開いても、それは本当の目色ではありません。また、視覚的にも見えていません。日中の日差しの明るさはまだ目には良くない状態です。キャッテリーでは季節に応じたカバーで薄暗い環境を作っています。ちょうど眼に白っぽいコンタクトレンズをしている状態をイメージしてください。
目が開いて生後3週齢まではキトンブルーと呼ばれる青みがかったグレー、もちろん不透明です。2カ月齢までは、不透明なブルーに近い色が一般的で、日々透明になっていきます。
生後2ヶ月齢(左)、 生後4ヶ月(中)、 3歳(右)
4カ月齢になるとほぼその子の目色に近くなり、その頃より成長とともに透明度が増し、7~8カ月齢頃までには本来の目色に変わります。エジプシャンマウなど、1歳半まで目色が現れにくい猫種もいます。
耳が聞こえ始めるのは、7日齢頃から
生まれたとき、子猫の耳は頭に貼り付いた形で生まれます。このとき、耳道が潰れた状態で、耳は聞こえません。7日頃から耳道が開き始め、少しずつ音が聞こえ始めます。
20日齢頃から乳歯が生え始め、7カ月齢までには永久歯に生え替わり
14日頃から、歯茎に乳歯が透けて見えます。やたら毛布などをカミカミし始めます。歩き方はハイハイ状態です。
20日頃から乳歯が生えてきます。離乳の準備が始まります。同時に四肢で立てるようになり、行動範囲が広がります。
子猫の歯 生後20日(左)、生後25日(右)
30日頃には喉を鳴らしたり、驚いて威嚇するなど、感情表現が見られます。走ったりジャンプもできるようになりました。でも、まだまだ新生児であることを忘れないでね。
40日頃には乳歯もしっかりしてきて、硬いものも食べられるようになります。この時期に噛まれると指に穴が空きますよ。高いところにも登ろうとしてきます。60日になると表情も子猫らしい愛らしい顔つきになります。
おもちゃでも遊べるようになります。この時期は、噛んだら痛いことや、おもちゃを追うことから獲物を得ることを学習する時期です。
子猫の歯 4ヶ月齢(左)、5ヶ月齢(右)歯の生え換わりで犬歯が重なっています
100日頃、個体差は大きくありますが、乳歯が抜け替わり始め、成長の遅い大型種でも生後4~7カ月齢には永久歯に生え変わります。
成猫の歯 1歳(左)、3歳(右)
産毛は100日齢頃から抜け始め、6カ月齢ほどでおとなの被毛に
被毛にも月齢がわかるヒントがあります。特別な種類を除いて子猫は毛の生えた状態で生まれます。縞模様の場合は、最も濃い色だけに見えますが、成長とともに柄が現れます。目安にするのは、柄の出方や被毛の状態です。
生まれたときはベビーコートと呼ばれるフワフワした産毛で、100日頃から、猫種によってはベビーコートが抜け始めます。そして、6カ月齢頃までに、ゆっくりとおとなの被毛に替わっていきます。
キャットショーで活躍する長毛猫は、産毛も貴重で、ベビーコートも抜かないように丁寧にグルーミングします。体の大きさは、個体差や栄養状態によって違いが大きいため、2カ月齢を過ぎると判断が難しくなります。その場合は、目色や、爪の状態、歯や被毛の状態を見ると参考になります。