【犬編】【猫編】
世界中を旅して猫を撮影する新美敬子先生がペットライブス読者のために特別レッスン!
こんにちは。ライターの中村仁美です。
愛犬や愛猫と大好きな犬や猫の写真を、もっとかわいく素敵に撮るコツが知りたくて、犬猫写真家の新美敬子先生に犬猫写真の撮り方の基本をレクチャーしていただきました。
今回は室内での猫の撮り方です。
【 新美敬子先生 プロフィール 】
新美 敬子 先生 犬猫写真家。世界各地を訪ね、猫や犬と人々との暮らしをフォトエッセイとして発表。 写真展の開催、雑誌・新聞への連載 多数。著書・写真集は50を超える。愛猫6匹と暮らす。 ◆公式ブログ 「犬と猫がよろこぶ写真の撮り方」 ◆2014年カレンダー好評発売中 ◆ドッグズアルバム「柴犬」、猫 World Cat ◆著書(電子書籍)はコチラ |
室内で愛猫を撮るための準備と心構え
◆目やにを拭き取っておく。
目にピントが来るように撮るので、目やには取っておきます。顔を拭くと怒る猫もいるので、事前に拭き取っておき、猫が落ち着いてから撮り始めます。
◆部屋の片付けをしておく。
いつシャッターチャンスがきてもいいように、部屋はきれいに整頓しておきます。
◆カメラのフラッシュを使わない。
猫の目にフラッシュ(ストロボ)の光は危険です。フラッシュが内蔵されているカメラの場合は発光禁止の設定にします。
◆無理な時は撮らない。
猫が写真を撮られることを喜んでくれることが第一なので、無理は禁物。猫が嫌がるときは撮影を中止しましょう。
猫を楽しませる写真の撮り方
ライター中村宅にてシニア猫たちをモデルにレッスン開始!
人間の思い通りには動いてくれない気まぐれな猫たちを、かわいく撮るにはどうしたらいいのでしょうか? 新美先生教えてください!
「犬も猫も同じですが、時間を十分にとって、無理をしないことが大事です。ピントも同様に目に合わせます。おうちの中でも、明るい窓際で撮るといいですよ。おもちゃを用意して、写真を撮るのは楽しいことだというように思わせるといいと思います。」
新美先生が片手に持つ猫じゃらしは大阪から取り寄せている手作り品。撮影にぴったりの絶妙の長さがお気に入りです。
トリミング機能を使う
「室内での撮影の場合は、望遠にすると手ブレしやすいので、自分の方から猫に近づいて撮るといいですよ。カメラが大きいと怖がる場合があるので、そのときは少し離れて撮ってから、カメラ内でトリミングします」
カメラのメニューより好みの構図にトリミングします。 近付くと逃げてしまう場合は、離れた位置から撮りましょう。 |
逆光で暗い写真を補正する
窓際で撮影した場合、逆光となり猫がシルエットのように黒くつぶれて写ってしまう場合があります。
「暗く映った場合は、カメラのメニュー画面から、露出補正の設定を変更します。+1に設定して撮影しなおすと、全体的に明るく撮れますよ」
露出補正の設定を+1にしたことで、同じ場所でも明るく鮮やかに撮れました。
同様に、写真が明るすぎて白とびして写ってしまう場合は、露出補正の設定を-1にして撮影します。
露出補正は一般的に、1/2または1/3刻みに設定することができるので、数値を変えて好みの明るさを見つけましょう。
露出補正をしても自分が思うような明るさにならない場合は、ズームレンズを前後に動かして、画面に占める猫の大きさの割合を変えて撮影しましょう。そして、適正な明るさの写真から、好みの構図にトリミングします。
壁から離して撮ろう
壁を背景にして撮った場合、壁との距離が近いと窮屈な写真になってしまうことも。
「猫を壁から離して、自分が壁側に行くと背景が抜けて雰囲気よく仕上がります。猫が逃げる心配がない場合は、ベランダに出て窓の外から撮ってもいいですね」
壁の前で毛づくろいをする猫。撮影者が壁側に移動したことで、猫らしい仕草もひきたちました。
360度ぐるりと回って撮ろう
どういう風に撮れば猫が魅力的に映るのか、とっさに思い浮かばない場合は、どうしたらいいでしょうか。
カウンターに座る猫。その猫らしい個性が伝わるアングルを見つけるにはどうしたらいい?
「まず、自分の目の高さで、見ていいなと思った瞬間を撮る。そして、猫の周りを360度回って撮ってみましょう」
人が猫の周りを移動することで、背景や表情も変わりまったく違う写真が撮れました。猫の場合は、光の加減で瞳孔の大きさが変化するので、撮る角度が少し変わるだけで表情が劇的に変わる場合もあります。
「猫と同じ目の高さだけでなく、上下の角度を変えて撮ってみるのもおもしろいですよ。例えば、こんな風に真下からも撮ってみて!」
新美先生の姿勢を真似て撮影すると、特徴的な丸い顔が強調されたユニークな姿に!
自分ではまったく思い浮かばなかった構図の写真が撮れました!
「犬も猫も常に観察すること。そして、いろんなアングルで撮ってみると、かわいさがすごく変わりますから。室内では手ブレ防止のために、レンズを望遠側にしないという話をしましたが、明るい室内の場合は、ワイド側から望遠側まで、覗きながら長さを変えながら一番いいアングルを探すのも楽しいです。どんどん撮って、一番これがいいというのを選べばいいと思いますよ」
二匹の猫の写真もいろんな角度から撮影してみるとそれぞれが違った雰囲気に。多頭撮影の場合、ピントは一番手前にいる動物の目に合わせるか、いい表情をしている動物に合わせましょう。
プリントして飾ろう
気に入った写真が撮れたら、プリントして飾るまでをひとつの作業として考えるというのが、新美先生が提案する素敵な写真の楽しみ方。
「プリントしてみると、また愛情が一層深くなりますよ。犬や猫たちは毎日同じではなくて、どんどん年を取ります。写真を撮ることは、犬や猫がその時にその顔で生きていた証を残すことでもあるんですよ」
さっそく一番気に入った写真をプリントし額装してみました。
写真を見るたびに、今まで一緒に暮らした歴史や、楽しい思い出が蘇ります。
室内での猫の撮り方まとめ
・おもちゃなどで猫を楽しませる。
・猫の目にピントを合わせる。
・逆光の場合は露出補正を活用する。
・猫を壁から離して撮る。
・360℃猫を回って上下様々な角度から撮る。
新美敬子先生に学ぶ 素敵な犬猫写真の撮り方、いかがでしたか?
取材中、新美先生が、動物たちの名前を優しく呼び、「いい子だね」と褒め続けていたのがとても印象的でした。愛犬や愛猫を素敵に撮る最大の秘訣は、大好きだという気持ちを伝えながら、絆を深めていくコミュニケーションにあるのかもしれません。
2014年もたくさんシャッターを切って、心に残る素敵な写真を増やしていきましょうね。
編集・ライター 中村仁美
4匹のシニア猫と暮らす愛猫家。ネコ・パブリッシング社に入社後、『デイトナ』などのライフスタイル誌の編集部に在籍、子猫を拾って退社。猫と触れ合う時間を増やしたいと、フリーランスの編集・ライターに転身する。2010~2012年、“ねこと心地よく暮らす”をコンセプトとした季刊誌『ねこ』を制作、元ねこ編集長。