猫の外耳炎。こじらせると厄介なので、自己判断は禁物[獣医師コラム]

耳のトラブルは、猫によく見られる症状の1つです。中でも多いのが外耳炎。厄介な病気を引き起こしかねないので、早期発見・早期治療が大切です。

かゆみ、耳垢、においで気づくことが多い

外耳炎とは、耳の入口から鼓膜に至る“外耳道” に起こる炎症で、耳を掻く、首を振る、赤っぽい分泌物が出るなどの症状が見られます。また、臭いが「いつもと違う」ことで気づくこともあります。

皆さんは、愛猫の耳の状態をご存じですか。色は? においは? 耳垢の出方は?普段の状態を把握して、早く異常に気づけるようにしましょう。

“綿棒でゴシゴシ”が原因でなることも

猫の耳はとてもデリケートなので、乾いた綿棒でこするだけでも、顕微鏡レベルで見れば傷がついてしまうほど。もともと砂漠の動物なので、耳の奥に砂埃を落とし込まないように、耳道の入口に脂が出るしくみになっています。ですから、必要以上にゴシゴシしなくても良いのです。それどころか、掃除しているつもりが、奥に汚れを押し込んでしまっていることさえあります。

外耳炎の原因は、細菌や真菌の感染、耳ダニ、アレルギーなど様々ですが、最近、よく見られるのが、こうした不適切なお手入れで引き起こされるケース。飼い主さんが良かれと思ってしているケアが、実は逆効果なんですね。

慢性化したり、別の病気を引き起こす前に、病院へ

外耳炎を放っておくと、中耳炎や耳血腫(じけつしゅ)などの病気に発展することもあり、きちんと治療しないと深みにはまりやすい病気でもあります。中耳炎になれば、麻酔をかけて耳の奥を洗浄しなければならなかったり、耳血腫なら手術が必要になることも。安易な素人判断は禁物です。汚れをゴシゴシこすったり洗う前に、まず病院に行って調べてもらいましょう。早く治療を始めれば、それだけ早く治ることにつながります。

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獣医師 田中那津美

グラース動物病院

日本大学動物病院で4年間の研修を終了後、同学総合臨床獣医学研究室 神経科大学院研究生として在籍しながら、グラース動物病院に勤務。獣医神経病学会や獣医麻酔外科学会に所属し、国内外における多数の獣医師学会にて論文発表をするなど、知識とスキルの向上に積極的に取り組んでいる。

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PetLIVES編集部

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