毎日私たちを癒してくれる存在の猫
そんな猫たちですが、暮らしの中で受けるストレスはたくさんあります。
それはご飯や飲み水の事だったり、対人間や同居の猫、他の動物の事、それと住環境だったりします。生活での不満やストレスやが少しずつ蓄積して元気がなくなったり問題行動に発展する事もあります。
そこで今回は住環境における猫のストレスを軽減する方法についてお話しします。
まずは猫の身になって考えよう!
猫は住環境に対して適応力のある生き物ですが、自分の廻りの環境を変えたいと思っても猫自身では変えられません。そんな猫たちの環境を豊かにして、毎日活き活きと暮らせるようにするにはどうすればいいと思いますか。実はあなた自身が猫になったつもりで、自然に暮らす猫がどういうものに興味を示したり何をしたいのか考えればいいのです。
「いろんな場所を探索したい」「陽だまりでゴロゴロしたり昼寝を楽しみたい」「木登りしたり、塀の上を歩きたい」などたくさん思い浮かべて下さい。それを実際のお家の中に当てはめてここにベットを置けば気持よいだろうとか、外を見る台を作ろうかとか猫が喜ぶアイデアが次々とでて来る事でしょう。
私自身も猫仕様の住宅を仕事でクライアントから頼まれた時は、クライアントの住宅に伺い、それぞれの猫たちのお話を聞き「ここに仕掛けを作れば遊んでくれるかな」「ボックスの中でリラックスしてくれるかな」などと色々想像しています。
猫それぞれの気質を考慮しよう!
猫それぞれ性格や気質の違いがあります。活動的な猫には充分に運動できるスペースと環境が必要です。消極的な猫にはたくさんの安心出来る場所を用意しましょう。また、猫の年齢による運動量の違い、事故やケガに対しての配慮も大切です。
空間を工夫しよう!
室内で暮らす猫はどうしても行動範囲が狭くなり運動不足になります。廊下など充分に走れる場所や階段などがあれば理想ですが、限られた空間でも縦の運動ができるように考えてあげて下さい。特にプロに頼まなくても家具の配置を工夫したり、既成のキャットタワーなどを使って、あなたの想像した事を家の中に再現する事で、外に出られる猫の楽しさに近い欲求を満たしてあげられるはずです。
でも、複数の猫がいる場合は相性の悪い猫同士がキャットウォークなどで鉢合して威嚇や喧嘩に発展してしまう可能性があるので、お互いが回避できる様2カ所以上の昇降できる場所を作るのが理想です。同居人と仲の良い猫の場合は、大好きな人と同じ目の高さで顔を近づけて挨拶をしたがりますので、キャットタワーやキャットウォークでこの願望が満たされます。同居人としても嬉しい瞬間ですね。
安心できる場所を作ろう!
猫は隠れる所や安心出来る寝場所がないと不安になります。椅子にブラケットをかけて隠れるようにする、ダンボールを加工して隠れ家にする、家具の隙間や本棚の本を少し出して猫の居場所を作るなどちょっとした工夫でよい隠れ場所になります。
爪とぎの場所と素材
猫の爪とぎは起床後の活動を始めるスイッチを入れる、爪の手入れ、マーキング、ストレスを解消するためなど色々な意味があります。同居している猫と喧嘩して負けた後などに熱心に爪とぎしている猫を見ますが、これは爪とぎの行動がストレスをやわらげる意味があるからです。ですので、猫の好みに応じて猫が背伸びしても届くような高さや水平な場所など猫が好む場所に爪とぎを用意しましょう。材質もダンボールや板、カーペットタイプなどあなたの猫が好きな物を試してみましょう。
まとめ・猫の自然を守る
猫のストレス対策における環境改善について大まかにお話ししてきましたが、猫が受けるストレスの原因は色々とあり、住環境を改善すればそれで良い訳ではありません。私の仕事は猫と暮らす住宅を設計する事ですが、それは「猫の自然を守る」仕事だと考えています。室内で一生暮らす猫たちは、外の世界を知りません。しかし人工物ばかりの室内で猫が活き活き遊び、安心して眠る事ができる環境を作る事は野生動物が暮らす自然環境を守るのと同じ事だと思っています。大げさでしょうか(笑)
猫は刺激の無い退屈な環境の中にいれば、行動したいという欲求を満たせずストレスを溜め込みます。そんな猫のストレスは日々の生活の行動や様子の些細な変化に表れます。それに一番気付いてあげられるのは一緒に暮らしているあなたや家族しかいません。もしあなたの家の猫が元気がなかったり、おかしい行動を始めたのなら現在の環境を豊にする事から始めてみませんか。
◆愛猫ギャラリー 【今日の海と3匹の兄妹】
うちのネコザイル。ニャーニャートレイン状態です!
キャットライフ・キュレーター 清水満
一級建築士・愛玩動物飼養管理士
一般社団法人ペットライフデザイン協会 代表理事
猫作家プロデューサーペットイベントプロデューサー・猫関係セミナー講師
北海道生まれ。北海道の大自然の中、たくさんの動物たち(家畜・ペット・野生動物)と触れ合う環境で育ちました。もちろん動物大好き、猫大大好きです。大学卒業後はインテリアデザイナーを目指して東京へ。建築設計事務所、インテリアデザイン事務所に勤務の後、30歳の時、建築インテリア設計事務所「スタジオ・ナビ」を設立し独立。主にレストランや自動車のショールームなどの商業施設設計やマンションの企画などをしていましたが、愛猫の一休、海との路上での運命の出会いから、ペットと幸せに暮らす住宅の事を考えはじめ「わんにゃん健康住宅研究所」を立ち上げました。現在「ペット専門建築士」として活動中です。また、設計活動の傍ら「北の猫たち展」(札幌開催)などの展示会開催や猫作家支援、イベントの企画及び参加、TV出演など幅広く猫の専門家として活躍しています。
▶HP:わんにゃん健康住宅研究所
▶ブログ:猫の一休建築士