「猫共生住宅」という言葉も、だいぶ聞き慣れて来た昨今です。ですから、埼玉県川口市に猫共生住宅ができると聞いても、正直「あ~またできるんだ。ブームだよなー」くらいの感想でした。傷つきにくい床、壁紙、キャットウォーク。きっと、そんなところでしょ?でも、「一戸建て」と聞いて、おや?じゃあちょっと行ってみようかな!?
そんな具合で行ってみると・・・そこには猫のプロならではの細かい気配りがあちこちにありました!
キャットシッター×一級建築士が生みの親
このお二人が今回の猫共生住宅プロジェクト[ichineko]の生みの親。左は鈴木智恵さん。東京都北部~埼玉県南部の物件を手掛ける設計・施工管理会社、株式会社第一住宅の社長さんです。長年、キャットシッターとして活躍していましたが、お父上が経営していた会社をこの春、引き継ぐことに。
ご自身の経験を活かして猫飼い向け物件を手掛けたいと思ったのが、猫と暮らす家[ichineko]をはじめたきっかけだそうです。そこで声をかけたのが、旧友であり一級建築士でもある清水満さん。もちろんお二人とも猫飼いさんです。
清水さんは、株式会社ネコアイの代表で、猫と幸せに暮らすための住宅を多く手掛けています。
こだわり1:猫トイレはリビングに!
リビングの一角には猫トイレを置くコーナーが設けられています。これが第一のこだわり。
清水「泌尿器の病気が多い猫の異変に気づくためには、人がよくいる場所に猫トイレを置く必要があると考えています」
確かに、排泄中に痛そうに鳴いたり、トイレに何度も出入りするのを見て、泌尿器や消化器の病気に気づくことがありますね。私自身、愛猫まこの尿石症を発見できたのも、排泄の様子がおかしいことに気づいたからでした。
よく見るのは、洗面所に猫トイレスペースがある猫共生住宅です。でもこれだと猫の排泄を見る機会が少ないし、冬場は寒いので猫が排泄を我慢し膀胱炎の原因にもなってしまうかも。[ichineko]ではそう考えて「リビングに猫トイレが絶対条件」と考えたそうです。
ただ、気になるのはニオイです。リビングにオシッコ臭が漂っていては、人間のリラックスが奪われてしまいますよね。
清水「それを解決するために、猫トイレコーナーに換気扇をつけました。消臭力の高い砂を使えば、ニオイに悩まされることはあまりないと思います」
こだわり2:猫が入れないキッチン
キッチンから猫を遠ざけるのは、猫飼いさんの大きな課題ではないでしょうか。
キッチンには誤食すると危険なものがあったり、包丁や火でケガをさせてしまう危険があります。人のいないときに猫がレバー式の蛇口を押し上げて水が流れっぱなしだったり、飛びついた拍子にガスコンロの火をつけてしまう事故もあるといいます。
犬なら、腰の高さくらいまでのフェンスをつければ立ち入り禁止にできるのでしょうが、猫の場合は天井まで届く柵じゃないと乗り越えられてしまいます。あとから取り付けるにしても不格好で見栄えが悪いなど悩ましい問題です。
その点、この家はキッチンを完全に囲う形で解決。これは大助かりです。
こだわり3:1階から3階まで猫が自由に上り下り
3階建て住宅を猫が自由に上り下りできるのもポイント。冷暖房効率や猫を立ち入り禁止にしたいときのことも考えて、要所要所にドアはありますが、キャットドアをつけて猫が出入りできるようにしています。
ハッスルした猫が1階から3階まで楽しそうに駆け上がる様子が目に浮かびます!
まだまだある、ナルホドのこだわり!
本当にたくさんのこだわりがあって紹介しきれないのですが、例えばキャットウォークの一段目(低い段)をあえて高めの位置にしたのは、
1.小さなお子さんが上って落ちてしまう事故を防ぐため(猫はぴょんと飛び乗れますからね!)
2.低めの家具が置けるように
だそうです。この細かい気配り、さすがと思いました。
その他、玄関の二重扉(脱走防止用)、傷つきにくい床材や壁紙、コンセントを高めの位置にする(猫のイタズラ防止)、破れにくいペット用網戸などはもちろん基本装備です。
猫共生型一戸建て住宅、第2弾も計画中!
清水「この住宅は基本設計がすでにできてから僕が参入したのですが、次は設計から僕が手掛ける戸建てを計画中です。いわゆるデザイナーズ物件で、箱庭があったりかっこいい造りにするつもりです」
ナント!第2弾も進行中なのですね。今後も[ichineko]から新たな猫物件の波がやってきそうです。
※本物件[ichineko]へのお問い合わせは、株式会社 第一住宅まで。
▶株式会社 第一住宅