東京猫医療センターの服部先生に聞く 猫にとって理想的なトイレとは? by宮村美帆

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犬に比べたら猫のトイレのしつけは簡単だと言われます。確かに、トイレを用意すれば、子猫でもすぐに場所を覚えてくれます。けれども、猫がトイレを「使う」ことと、「気に入る」ことは別問題のようでして……。

まずはこちらをご覧ください。

1 年くらい前からときどきこんなふうに、トイレの中で腰を上げて「立ちション」をするようになりました(><)。 トイレ以外で粗相することはありません。出ているのは普通のオシッコなので、マーキングとも違いますが、後ろに飛ばすので掃除が大変。壁にビニールシートを貼り、ペットシーツを貼り付けていましたが、回数が増えてきたので、オシッコがかかってもいいように、苦肉の策で天ぷら用の油はねガードをつけています

 

泌尿器系の病気もないし、毎回のことでもないので、何か原因があるはず。解決のヒントを探るべく、東京猫医療センターの服部幸先生に、猫のトイレ環境作りについてお話を伺いました。


東京猫医療センター院長 服部幸先生
2003 年北里大学獣医学部卒業。動物病院勤務後、2005 年より SyuSyu CAT Clinic 院長。
2006年、アメリカのテキサス州にある猫専門病院「Alamo Feline Health Center」にて研修プログラム修了。
2012 年「東京猫医療センター」を開院し、2013 年には国際猫医学会よりアジアで 2件目となる「キャットフレンドリークリニック」のゴールドレベルに認定された。
著書に『ネコにウケる飼い方』(ワニブックス PLUS 新書)、『猫の寿命をあと 2 年のばすために 獣医師が教える愛猫と長く一緒にいる方法』(トランスワールドジャパン)、監修に『ネコの看取りガイド』(エクスナレッジ)ほか。
東京猫医療センター ホームページ

 

多くの猫がトイレに不満を持っている!?

ゴロウちゃんの“立ちション”動画を見た服部先生。開口一番、

「トイレが気に入らないんですね。最初はしゃがんでいるのに、前に少しずつ進むので結果として腰が上がるのです。トイレのふちに足をかけるのも気になります。砂の感触が嫌なのか。砂が大きいんじゃないかな。オシッコをした後に、砂をかけずに飛び出して、戻ってきて砂をかけたのも、早く出たい、そこにいたくないというサインですね。砂の量も少ないかな」

と、ズバリ指摘。ああ、やっぱりいろいろ気に入らないことがあったのですね。
トイレに足をかけたり、トイレのふちや壁をカリカリかいたりするしぐさは、ほかの猫でもよく見られると思うのですが、これもトイレが気に入らないサインなのだそうです!
だとしたら、ゴロウちゃんに限らず、たくさんの猫がトイレに不満を持っているということ?

「トイレを『しかたなく使っている』というのが、多くの猫たちの本音かもしれません」

OLYMPUS DIGITAL CAMERAゴロウちゃんのトイレはこれ1つ。以前は「固まるおからの砂」でしたが、“立ちション”を始めたので「固まる紙の砂」に変えてみました。でも改善の兆候は見られず

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERAウンチのときは毎回、神妙な顔つきでこのポーズ。ふちに足をかけた方がふんばりやすいのかと思っていました。
「それはないですね。屋外の広い場所だったら、こんなポーズはしないでしょう。肉球に砂が当たる感触が嫌いとか、何か理由があると思います」(服部先生)

 

猫目線で選ぶ猫が満足するトイレ選び

それでは、どんなトイレだったら猫は満足するのでしょうか?

「猫トイレは、室内で猫に排泄させるために作られたもの。砂もトイレも種類は多いけど、処理のしやすさとか消臭効果とか、飼い主にとって都合よく作られたものがほとんどです。猫に気に入ってもらうには、野外の猫がどんなところで排泄しているか、猫目線で考えてみるといいでしょう」

ここで改めて猫トイレ選びのポイントを教えていただきました。

●トイレ砂のサイズは大粒よりも小粒
野外の環境に近いのは、細かめの鉱物系の砂。大粒の紙砂やウッドチップの砂などは砂利道でオシッコをしているようなもので、猫にとってはあまり快適ではない。

●たっぷり砂かけできるように、砂の量は多めに
排泄後の砂かけは猫にとって大切な行動。砂をかいてトイレの底が見えるようでは少なすぎ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA底が見えてる! これは明らかに少なすぎでした(汗)

●トイレの大きさは猫の体の 1.5 倍が理想的
猫の体長の 1.5 倍くらいの大きさ、衣装ケースくらいが理想的なサイズ。

「市販の猫トイレは、日本の住宅事情などに合わせて作られていますが、猫から見ればどれも小さすぎなんです」

●ドーム型よりも掃除しやすいフラット型を
ドーム型は砂の飛び散りは防げるけれど、ニオイがこもりやすいこと、中が見えない分、掃除がおろそかになったり、異常の発見が遅れたりしがちなので、シンプルなフラット型がおすすめ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAゴロウちゃんの歴代のトイレ。立ちションをするようになってから、ハーフカバー付きのものなども試しました

●トイレの数は頭数+1は理想
頭数+1つあれば、どちらかが汚れてももう1つが清潔に保たれるので、スペースに余裕があれば理想的。でも、重要なのは数ではなく、いつでも清潔な状態をキープすること。

●トイレは人の目が行き届く場所に
排泄の様子が見えない場所よりも、リビングなど様子が見える場所のほうが健康管理のためにはベター。猫もある程度、周囲が見渡せる空間のほうが実は落ち着けるのだ。

 

猫が長居したくなる清潔なトイレに

「猫それぞれ好みが違うし、飼い主さんの考え方や住宅環境があるので、これがベストだとは一概には言えません。ただ、人も公園の公衆トイレだとつま先立ちで早く出ようと思うけど、ホテルのスイートルームの広くてきれいなトイレなら少し長居したくなりませんか? 猫にとって自分んちが公衆トイレ状態で我慢が続けば、膀胱炎など泌尿器系の病気の原因になることもあります。確実に言えるのは、どんなトイレでもこまめに掃除してほしいということ。猫の嗅覚は人の 6〜7倍優れているので、人が臭いを気にする頃には、猫は相当堪えているはずです」

ウンチやオシッコをしたら速やかに取り除くのはもちろんのこと、定期的にトイレを洗い、清潔を保つことが大切。砂も継ぎ足しだけでなく、汚れたら全部交換することもお忘れなく!

「砂もトイレトレーも飼い主さんがこれだ!と 1 種類に決めてしまうことが多いけれど、猫に好きなものを選ばせるのが一番です。いろいろ試してみたうえで、住まい環境と自分の猫に合うトイレをカスタマイズしてみてください」

 

わかりました! ゴロウちゃんが満足する猫トイレを追究してみます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「もっと気持ちいいトイレをよろしくニャ〜」

というわけで、次回はゴロウちゃんのトイレ環境改善レポートです。

 

宮村美帆

フリーエディター・愛玩動物飼養管理士(2級) 宮村美帆

動物好きの両親の影響で、子どもの頃から、犬、小鳥、ハムスター、鈴虫、錦鯉など、何かしら生き物がいる環境で育つ。動物看護師として2年間の動物病院勤務を経験した後、猫の月刊誌『CATS』の編集者に。その後、人と動物の今を考える雑誌『季刊リラティオ』の編集などを経てフリーランス。エディター、ライターとして、ペット(動物)、児童書(図鑑)、実用書、デジタル情報辞典などを手がける。ヒトと動物の関係学会編集スタッフ。ずっと犬派だったが、動物病院勤務で猫の魅力に目覚め、猫雑誌の編集でどっぷりハマる。獣医師やペットオーナーなどへの数々の取材で得た情報、学んだ知識を活かし、猫とのより楽しい暮らしを研究中。現在の愛猫はゴロウちゃん。

 

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