「しっぽ」から読み取る猫のキモチ


「猫のキモチがよくわからない…」そう思っている方にも、“キモチを読み取りやすい”場所があります。それが「しっぽ」です。

しっぽには、必ず感情が表れます。しっぽは脊髄とつながっているせいか、感情と必ずリンクして動くのです。顔はすましたポーカーフェイスでも、しっぽはウソをつけない!そういう場所なのです。

 

キモチが動いているときは、しっぽも必ず動く

しっぽの形や動きによるキモチの読み取り方にはさまざまありますが、基本的には、しっぽが動いているときはキモチが動いているときということがいえます。

例えば…。丸まって寝ている猫の名前を呼んだとき、しっぽをパタパタ動かしたとします。
このとき猫は、

1.自分の名前を呼ばれたことがわかっている
2.振り向こうかどうしようか、迷っている(眠いし、振り向くのはめんどくさい。どうしようかなというキモチ)

という感情だと推測できます。

私はよく、眠っている愛猫の肉球をこちょこちょくすぐるのですが(猫は迷惑(笑)、そうすると、しっぽがパタパタと速めのテンポで動きます。これはつまり、イライラしている証拠。そのままくすぐり続けると、そのうちガブリとやられます。

しっぽが動くテンポが速ければ速いほど、キモチも速く動いている証拠。ゆったりとしたテンポで動いているときは、「どうしようかな~」くらいのキモチですが、パタパタと速く動くときは「イライラ!」など興奮気味のキモチです。ごはんを与える前などは、しっぽの先がビリビリ!という感じで小刻みに震えることがありますが、これは喜びの極み!という感じでしょう。

シッポ_1「安眠を邪魔しないでニャ」「でもそこ、私の仕事机…」

 

しっぽを上にピンと立てながら近づくのは、甘えているキモチ

シッポ_2

もしも猫がしっぽを上にピンと立てながらあなたに近づいてきたとしたら…その猫はあなたを母猫のように慕って、甘えているキモチです。

これには、子猫時代の習性が関係しています。子猫は、母猫におしりをなめてもらうことで排泄します。母猫になめてもらいやすいように、母猫に近づくときは、子猫はしっぽを上に立てるようになります。

このポーズと、母猫に甘える気持ちが子猫の中でリンクします。そのため、おとなになってからも母猫のように甘えたい相手には、しっぽを上に立てて近づくのです。

シッポ_3子猫のおしりをなめる母猫

 

逆U字型のしっぽは、「遊ぼうよ!」

シッポ(逆U)_修正

しっぽ全体は上向きで、しっぽの先が下を向いている弓なりの形はアルファベットのUを逆さまにしたような形なので俗に「逆U字」と呼ばれます。仲間ではない相手に対してこのしっぽの形になるときは威嚇を意味しますが、仲間に対しては「追いかけっこしよう!」と遊びに誘うサイン。

遊びたい意欲満々で、興奮気味です。相手の猫が誘いに応じると、追いかけっこやプロレスごっこが始まります。あなたも誘われたら、追いかけっこなどで一緒に遊んであげましょう。

 

しっぽを股の間に巻き込むのは、恐怖!

シッポ_5-2愛猫・ちゃー坊の子猫時代

「上に立てる」とは逆に、しっぽを下げ、股の間に巻き込んでいるのは、恐怖を感じているしるし。巻き込みはしないまでも、体を小さくしてしっぽを下げ、体のそばにしっぽを引き寄せているときも同様です。

自分を小さく見せることで、相手に「私は弱いから攻撃しないで」というメッセージを伝えています。巻き込むことでしっぽを傷つけないようにしている、という説もあります。

 

しっぽがボーン!とふくらむのは、恐怖や怒りの表れ

シッポ_5②

驚きや恐怖を感じたときには、しっぽが通常の2倍もの大きさにボーン!とふくらむことがあります。実はしっぽだけでなく、全身の毛が逆立っているのですが、しっぽは特に大きさの変化が目立つのです。

これは毛を逆立てることで体を大きく見せ、相手への威嚇に役立てているのです。

いかがでしょうか?しっぽの位置と動くテンポの速ささえ把握できれば、しっぽからキモチを読み取るのは簡単。愛猫のキモチや、屋外で出会う野良猫のキモチなど、しっぽから読み取ってみてください。

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富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所会員 幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。編集・執筆を担当した書籍に『マンガでわかる猫のきもち』『マンガでわかる犬のきもち』『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『ねこ色、ねこ模様』(ナツメ社)、『ねこ語会話帖』『猫専門医が教える 猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)など。7匹の猫と暮らす愛猫家。 ▶HP:富田園子ホームページ ▶執筆&編集した本: 『マンガでわかる…

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