ラク(楽)くん(17歳♂MIX)
-ラクくんとの出会いについてお聞かせください。
今から18年も前の話ですが、当時、会社が市ヶ谷にあって、近くに公園があったんです。その頃の千代田区は野良猫が多くて、その公園も猫がしょっちゅう走り回っていました。
7月のある日、親猫が4~5匹の子猫を引き連れて走っていたのですが、1匹だけ明らかに体が小さく、足が遅い子猫がいたのです。親猫は気にも止めずに行ってしまい、「あの小さい子は親とはぐれちゃうんじゃないかなぁ」と心配になりました。
その翌日だったと思うんですが、昼休みにいつものように公園に向かう裏道を歩いていたら、その小さい子が道の真ん中にボーッと座っていたのです!その頃、家にはすでに吉(キチ)と福(フク)という先住猫がいましたが、これはもう連れて帰るしかないと思い、そのまま連れて帰りました。
ピンボケですが拾ったその日のラクです。女性の手にも余る小ささ。
動物病院に連れて行き「まだ幼いから4時間おきにミルクが必要」と言われ、翌日から小さなトートバッグに猫とミルクを入れて通勤しました。ええ、猫と同伴出勤です。
今考えると社会人として相当どうかしていますが、当時は日付が変わる前に家に帰れるかどうかもわからないような生活で、日常的に誰かしら徹夜明けの人がその辺で寝ているような職場だったため、私のバッグで猫が寝ていようと誰も困らないだろうって…ひどいですね(笑)
別に誰も何も言わなかったのですが、後で当時の上司に聞いたら「あまりにも普通に猫を連れて出社していたから駄目って言えなかった」と言っていました。悪いことをしました。
ホントに仕事の邪魔をしないおとなしい子猫だったんです。
-ラクくんはどんなコですか?
ラクが来た後にもう1匹年齢不詳の猫を保護して、うちはしばらく4匹体制でした。ラクは一番年下だったし、いつも先輩猫にくっついて過ごすおとなしい末っ子という感じでした。
先輩猫の福(左)と吉(右)の真ん中で眠るラク。特に茶トラ同士は仲良しでした。
それから10数年経って先輩猫も次第に減り、ついに去年、ずっと一緒だった吉も21歳でこの世を去ってしまいました。ラクは17年目にして初めてひとりっ子状態になったんです。
そのせいかどうかはわかりませんが、最近、やたら威張るようになったんです(笑)。「起きろー!」とか「ご飯ー!」とか「どこに行った-!」って感じで。
これまで鳴いて主張するのは吉だけだったので、「そんなに大きな声が出るんだ?!」ってびっくりするくらい。性格って変わるんですね。
くっついて寝ていた先輩たちよりも、ずっとずっと長生きして欲しいです。
-ラクくんとの暮らしの中で、最近印象的だったエピソードをお聞かせください。
去年、千代田区で猫の保護活動をしている「ちよだニャンとなる会」さんとお会いしたときに、ラクが千代田区出身だという話をしたら、ラクがいた近所で保護された茶白猫を譲渡会の時に紹介してくれたのです。過酷な環境から保護されたので表情こそ険しげでしたが、色柄といいフォルムといい毛の質感といい、ラクの若い頃にそっくりで「これはまさにラク一族の末裔だ!」と感激しました。
その猫からしたら、ラクは叔父さんか叔母さんのおじいさんの、そのまた何代もさかのぼったおじいさん…という感じだと思います。あの子もラクみたいに誰かの膝の上でゴロゴロいっていたらいいなあと思います。
譲渡会で巡り会ったラクの親族。幸せでありますように!
-ラクくんへひとこと!
ラクも今年で18歳。体調に不安も出てきました。最近の検査では腎臓の数値が良くありませんでしたし、実はここ2年くらい、ほとんど目が見えていないのです。動物病院の先生とも相談しましたが、腎臓についてはフードを変えて様子見。目については今のまま、できるだけ環境を変えないで過ごそうと決めました。トイレやご飯の場所や寝床は覚えていますが、ときどき家具にぶつかっているのを見るととても不憫です。
猫を見送るのって本当につらいですよね。猫に限ったことではありませんが、愛するものがこの世を去ろうとしているのを見るのは、本当につらいです。
去年、吉を見送ったときにはラクがいたけど、ラクを見送るときには他に猫がいない。新入り猫でもいれば気が紛れるかもしれないけど、目が見えないラクにとってそれは酷…。だから腹をくくって、1日1日をラクと楽しく暮らそうと決めました。「毎日ゴロゴロ言わせてやるから覚悟しろ!」って思っているんです。
抱っこするとすぐ寝てしまうラク。つられて私もウトウト…。至福の時間です。
◆今回の飼い主さん◆
内山 美枝子さん(ネットショップ担当者フォーラム編集部)
EC事業者向けのWebメディア「ネットショップ担当者フォーラム」編集部所属。「ネコノミクス研究所」を担当。
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