【ドッグトレーナー連載】子どもの授業のお手伝い、先生は「犬」?

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動物介在教育ってなんだろう

動物介在教育は、「教育のツールとして動物を活用し、教育の目的に応じた授業計画がなされ評価されるもの」を指します。参加する動物は、適性試験(参加するのに必要な性質やトレーニングレベルを持ち備えているかを判断するもの)に合格していることが必要で、ハンドラーと一緒に評価されます。

犬の場合、セラピー犬と呼ばれる犬たちが参加しているケースが多いですが、筆者が所属するスタディ・ドッグ・スクール(SDS)では、その中でも子どもたちの教育に特化してトレーニングされ適性を評価された犬を「教育支援犬」と呼び、授業に参加しています。SDSでは早くから導入し、教育支援犬の育成プログラムも行っています。(教育支援犬育成のパイオニアとして、普及啓発を行っています。)

教科としては、生活科や道徳での授業に取り入れられることが多く、命の大切さを伝えたり、観察を通して人とは同じところや違うところを知り、犬をより理解する機会にもつながります。つまり、「相手を知る・相手の立場にたって考える」ことから、思いやる気持ちが生まれたり、興味を持つことから好きになる・大切にする気持ちが芽生えるきっかけになるのではないでしょうか。

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なぜ犬なのか?

ただ犬が好きだから!ではないのです。そこには理由があります。

犬はオオカミから家畜化され、人と共に長い間暮らしてきました(Skoglund,et.al, 2015)。犬は人と共に暮らしていくうえで選択育種され、目的に応じて改良され、多くの犬種が生み出されました。色々な種類がいるので、犬を理解する上で犬種を調べて特性を学び、さらにその個性を理解することにもつながります。

また、犬はオオカミから家畜化され、オオカミとは異なった容姿に変わりました。いつまでも赤ちゃんのような容姿や行動であることを、幼形成熟(ネオテニー)と言います。体が小型化し、耳はたれ、目が大きく、愛らしい赤ちゃんのような顔のまま大人になります。可愛らしいと感じることは、大切にしたいという気持ちが生まれることでしょう。弱いものを守りたい気持ちは本能的に人間が持っているものであり、子どもであっても、世話をしたい・大事にしたい気持ちが育まれることでしょう。

また、人とは異なる環境世界を持っていることです。優れた嗅覚人とは異なる視覚、人には聞こえない高い音域まで聞こえる聴覚など、人間の感覚とは異なることを理解したうえで付き合うことが必要です。相手のことを考え、知ろうとする気持ちが生まれ、相手を思いやる気持ちや態度が育まれるきっかけとなることと考えています。

授業のお手伝い②572×429生活科の授業の様子

小学校に犬が入るということは、私が子どもの頃を考えるとまったく想像がつかないことです(野良犬が校庭に乱入してきたことはありますが)。犬の良さを引き出し、取り入れることによって、子どもの成長に役立つことは、「犬好き」者としてはとてもうれしい限りです。毎回授業に犬と共に参加する中でも、私自身の学びがあり、動物介在教育は子どものみならず、大人の学びにもなっています。凶悪な事件が多い中、みんなが思いやる気持ちがあれば、もう少し変わっていくのではないかと思います。

学術博士 鹿野 都

DSC_3044トリミング麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて人と犬の関係を学び、主に子どもと犬について研究を進め、2008年に博士(学術)号を取得。 大学院中にアニマルセラピーで有名なアメリカのニューヨークにあるグリーンチムニーズにインターンを経験し、動物介在介入の現場で学んだ。 大学院中に放課後キッズワン教室という子どもと犬が遊びながら学べる教室を研究の成果をもとに運営し、現在ではスタディ・ドッグ・スクールにて引継ぎ平成26年で10年となる。動物介在教育の分野では実践と研究に取り組み、プログラム開発や指導を行っている。
動物介在教育指導者養成講座委員
セラピーアニマル評価者養成講座委員
動物介在教育マスターエデュケーター
麻布大学共同研究員
スタディ・ドッグ・スクール
スタディ・ドッグ・スクール ペットドッグトレーナー育成コース

 

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