「ブレーメンパーク」から未来へ 。日本初の大譲渡会に込められた想いとは?

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2017年11月19日、大譲渡会「ブレーメンパーク2017」が千葉の幕張メッセで開催されました。当日は36の保護団体と企業3団体、約340頭の保護犬・保護猫たちが参加、3,903人が訪れて400件の里親申込と128頭のトライアルが決定しました。一つの譲渡会にこれだけの数の保護団体と保護動物、来場者が集まったのは日本初。
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このイベント開催を決めたのは「ブレーメン」プロジェクト。
人気バンド「SEKAI NO OWARI(以下セカオワ)」と 、紛争地の難民支援や国内外の災害支援活動をしている認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)が立ち上げたプロジェクトです。イベントに込められた想いを、セカオワとPWJの犬保護事業のリーダー大西純子さんによるトークセッションや、大西さんへの取材を中心に、ブレーメン運営スタッフとしての目線からお伝えします。

 

動物の殺処分ゼロを目指す「ブレーメン」

「ブレーメン」プロジェクトは、セカオワのFukaseさんが日本の殺処分の現状をFacebookで知ったことがきっかけで、PWJの犬保護事業“ピースワンコ・ジャパン”と出会い、2016年7月にスタートしました。
昨年リリースされた支援シングル『Hey Ho』で得られた利益は全額PWJへ寄付され、保護犬たちが暮らすシェルターや譲渡センター建設費の一部として活用されています。また、支援ライブや支援グッズ、会場の寄付箱への寄付金はブレーメンの活動資金となっており、今回のイベントもブレーメンへの寄付金で運営されました。
572-429_-2_DSC01410eブレーメンパーク会場に設置されていた寄付箱

 

みんなが集まれる場所で、みんな一緒にやるからこそ

Fukaseさん:お預かりした寄付金をどう活用するか、ブレーメンプロジェクトのみんなで一生懸命考えたとき、大西さんの提案から「たくさんの人が集まれる大譲渡会をしよう!」と決まりました。僕らからすると“譲渡会”は馴染みがなく、何が成功で何が失敗なのかもわからない。1から考える作業だった。公園のようにみんなのふれあいの場所になってほしい、みんなが集まれる場所にしたい、色んな意味を込めてこの譲渡会を「ブレーメンパーク」と名付けました。

572-429_-3_IMG_0390ピースワンコのリーダー大西純子さん(左)とセカオワのメンバー(右)

Fukaseさん:みんなで協力していけたらいいなと思っていて。ブレーメンは、彼らはああだからダメだとか、誰かを否定する団体にはなりたくはない。すべての人の背中を押せる団体になりたいと思っています。「ブレーメンパーク=集う場所」という名前にしたのもそういう意味を込めています。

大西さん:みんなで一緒にやるからこそ『これだけたくさんの保護団体が参加する』『これだけたくさんの保護動物が来る』ということが話題になり、集客や寄付に繋がり、一頭でも多くの保護動物たちに“新しい家族”を見つけることができる。
団体によって譲渡の仕方や避妊去勢についての考え方、やり方も違うし、その実情が伝わらずに誤解される場合も多いですが、団体個々では頑張れる限界がある。でも、目指すゴールが同じなら一緒にできることってたくさんあるんじゃないのかな、と思うんです。そうセカオワと私たちは信じているので、今回の大譲渡会開催に踏み切りました。

sekaowa_572-429_DSC01343e-2トークセッションで想いを語るセカオワのみなさん。左から、Nakajinさん(G)、Fukaseさん(Vo, G)、Saoriさん(Piano)、DJ LOVEさん(DJ)。

―――普段、日本各地で行われている譲渡会は、複数団体が集まっても5~6団体程度、10数団体集まれば多い方です。このため、ブレーメンプロジェクトの大譲渡会開催の決断は非常にチャレンジング。
どのくらいの保護団体と保護動物が参加してくれるのか?どのくらい人が来てくれるのか?開催に向けてブレーメンプロジェクトと、ピースウィンズ・ジャパン、Do One Good、トレードショーオーガナイザーズでブレーメンパーク2017実行委員会を構成。調整は当日まで行われました。
572__事務局実行委員会メンバーのミーティング風景(左)と、当日の打合せ風景(右)

 

敷居を低くして誰しもが来やすい環境を作る

―――「保護犬・保護猫」「殺処分ゼロ」という言葉をよく聞きますが、一般的には、
     “保護犬猫ってなに?”
     “殺処分ってどういうこと?”
     “保護犬猫って捨て犬・捨て猫でしょ、人に慣れないんじゃない?”
     “保護犬猫はタダでもらえる”

等、思っている人たちは少なくありません。
また、保護犬猫を迎えたいと思った時に、どこでどうやって迎えていいのか分からない人も多いのが現状です。
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Saoriさん:私が「譲渡会」と聞いて最初にイメージしたのは、多くても10頭いるかいないかの規模。入りにくい場所、というイメージもありました。「迷っている段階で見ても良いのかな」とか「興味があるだけで覗いても良いのかな」って。だから、「興味あるから行ってみよう」「家族で見てみよう」とか、そんなことができる場になっているのは、すごく意味があると思ってます。

 

「知ってもらう」ことが第一歩

―――ピースワンコの大西さんは、今年9月に佐賀で開催されたセカオワ・ライブのトークセッションに参加した時のことを交えながら、こう話してくれました。

大西さん:セカオワのライブには、親御さんと一緒に来ている小学生や中・高校生も多く、みんな熱心に話を聞いてくれました。帰りに駅で電車を待っていたら、ブレーメンのチャリティーTシャツを着た若い世代のセカオワ・ファンの皆さんに囲まれ「私たちって何をしたらいいんですか?」「保護犬猫ってどういうところで会えるんですか?」「ボランティアに参加したいけどどうしたらいいんですか?」など質問攻めに合いました。
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大西さん:セカオワの4人は、自分たちがやっているブレーメンプロジェクトにみんながみんな賛同してほしい、とは思ってないんですよね。少しでも「なんでだろう?」と興味を持ってくれたら、遊びに来る感覚でもいいから会場に来て、実際に見て、活動している人たちと話をして、いろんな情報を得て、いろんなことを感じて、何か気付いて欲しい。そう話してます。
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大西さん:保護犬猫をいますぐ迎えられなくても、何年かたって犬や猫と暮らしたいと思ったとき、ペットショップやブリーダーから迎える以外にも「保護犬・保護猫」という選択肢があると思い出してもらえたら、私たちが目指す殺処分ゼロというゴールに近づくんじゃないかなと思ってます。

 

2016年度の殺処分頭数、約6万頭。

―――環境省の発表によると2016年度の殺処分頭数は55,998頭。年々減少していますが、保護団体の引き取り頭数増加に負うところが大きく、保護動物が減っているわけではありません。
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大西さんなぜ犬猫たちが動物愛護センターに収容されているのか、知らなきゃいけないと思うんです。ブリーダーが商品として乱繁殖させている現状や、犬猫たちの終生をきちんと最後まで面倒みる覚悟をしないで迎え、何かあったときに「こんなはずじゃなかった」と捨ててしまう人がいること。野良犬猫が可哀そうだからとただ餌をあげることで、結果として新しい命を増やしている場合もある。
でも一方で、保護動物の命をつなぐための動きをしているたくさんの人や団体がいる。その両方があることを知ってもらいたいんです。

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ブレーメンパークが踏み出した、未来への一歩

―――ブレーメンパ―クの開催目的は、一頭でも多くの保護動物たちに「新しい家族」を見つけることと、知らなかった人たちに今の保護動物や保護団体の現状を「知ってもらう」こと。
 
Nakajinさん:去年僕らがブレーメンを始めたことを知り、この1年かけていろんなことを整理して(保護犬猫を迎えようと)譲渡会に参加してくれた方もいらっしゃると思うんです。1年かけて目に見える結果が出てきているということは嬉しい。ただ、1年経ってしまうとどうしても記憶は薄まってしまう。でも、毎年やることでずっと思い出してもらうことができる。この繰り返しで新しい結果をどんどん生み出せたらなと思っています。

DJ LOVEさんこういう場で知ったことを家族に話してもらって忘れずにいてもらえたらいいなと思っています。そのために僕達もつづけていかなくてはなりませんね。

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―――実行委員会では、来年もブレーメンパークを開催することを決定しました。いろんな違いがあっても、目指すゴールは一つ。多くの人が集まる「ブレーメンパーク」という新しい譲渡会が、日本の未来を変える一歩を踏み出していきます。
 
関連リンク

ブレーメンパーク  http://www.bremen-park.com

ブレーメンプロジェクト  https://bremen-project.net

 

横尾侑里(よこお ゆり)

ドッグライフスタイリスト
ホリスティックケア・カウンセラー 

横尾侑里(よこお ゆり)

犬との暮らし歴、25年目。広告代理店、インターネット会社とハードワーカーだった環境で犬を迎えることになり、一念発起して犬のためにマンションを購入し、犬の仕事へ転職。しつけ・トレーニング、手作り食、日々のケア、マッサージ、犬カフェ巡り、犬との旅行、犬関連イベント運営など、公私ともに犬中心の暮らしが始まる。2015年に初代愛犬ラルフが急逝したあと重度のペットロスになるが、保護犬だった2代目愛犬ローレンとの出会いと周囲のサポートのお陰で克服。
現在、PetLIVESの編集に携わりながら、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンのピースワンコ・プロジェクトの広報サポートメンバーやドッグライフスタイリストとして、犬と暮らす喜び、楽しみ、幸せを多くの人に届けるために犬関連のイベント運営やパーソナルコンサルティングなどで活動中。

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