【犬猫の防災】非常用持ち出しグッズの考え方―ペット防災のプロに聞く(4)

非常用持ち出しグッズに優先順位をつける

あるとよいものは数多くあれど、すべてを持ち出すことは不可能。1人が持ち運べるのは、6~8㎏といわれています。キャリーバッグに入れて持ち運ばなくてはいけない猫なども含めての重さです。

大切なのは、優先順位をつけることです。最も優先順位の高いものは、人間用の避難グッズと同じバッグに入れておき、避難の際に持ち出します。自家用車がある人は、車のトランクに入れておくのもおすすめです。優先順位の低いものは、家に置いておき、あとから取りに戻れるなら戻りましょう。屋外の倉庫や車庫の奥などに置いておくと、取り出しやすいでしょう。

必要と思うものをいったんすべて用意してみてから、優先順位をつけていくのもおすすめです。

 

同行避難するときに必要なもの

<中・大型犬の場合>
●リード、ハーネス
抱き上げられない中・大型犬は、リードやハーネスをつけて同行避難します。ガラスの破片などで足をケガしないよう、犬用の靴もあると◎。
※伸び縮みするフレシキブルリードは、コントロールが難しいので避けましょう。

<猫、小型犬の場合>
●キャリーバッグ

扉が開いてしまわないように、カギつきのキャリーだと安心。避難する際は、扉ごとガムテープでぐるりと巻いて補強するのもおすすめです。可能ならリードやハーネスをつけた状態でキャリーに入れると、脱走防止になります。猫は洗濯ネットに入れてからキャリーに入れるのがおすすめです。
キャリーは避難所ではハウスにもなります。キャリーバッグはさまざまなタイプがあるので、使いやすいものを選んで。


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優先順位A
ペットの病気に関わるもの。人間用の非常用持ち出し袋に入れておきます。

●持病の薬IMG_3106

●療法食IMG_3108

それぞれ最低1週間分。ペット用の薬や専用の療法食は、しばらく手に入らないことを想定してください。また、薬や療法食の名前は手帳や携帯電話にメモしておきましょう。名前が正確にわからないと、入手できる状況になっても入手できない場合があります。

 

優先順位B
できたら持ち出したいもの。

●ペットフード
最低3日分、可能なら1週間分を用意。動物救護体制が整えば、多くの場合、救護物資としてペットフードが届けられるので、それまでの数日間を乗り切るために必要です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小分けパックになっているフードも便利。

※飲料水は人間用のものを流用すればOK。
ただしミネラルが多いものは尿石の原因になるため、ミネラルの少ないものを用意しておくか、水道水が出るならそれを与えて。

●ペットの写真
迷子になったペットを探すときにはペットの写真が必要です。顔写真だけでなく、全身の柄や後姿もわかるように数枚用意すると◎。手術の跡などがわかる写真もあると便利です。01行方不明になったペットが保護されて引き取るときには、あなたが本物の飼い主であることを証明するために、ペットと一緒に写っている写真があると便利です。

●ペットの手帳(健康状態などのデータを記したもの)
避難生活中は、ペットを愛護センターや知人などにあずけることもあります。
飼い主以外の人がペットの面倒を見るとき、健康状態やお世話の仕方がわかるものがあると助かります。ワクチン証明書、鑑札、狂犬病予防注射済票なども一緒にしておくと、ペットをあずけるときに手続きがスムーズです。OLYMPUS DIGITAL CAMERA飼い猫のデータを、ワクチン証明書などとともにファイルにまとめたもの。

<手帳に記しておくこと>
・病歴、治療中の病気
・投与している薬、合わない薬
・フードについて(療法食、給与回数、給与量)
・かかりつけの病院名と連絡先
・注意事項(咬傷事故歴、理由など)
・飼い主の住所、氏名、連絡先、携帯電話番号
・好きなこと・もの、嫌いなこと・もの など

●リード、ハーネス
予備があると便利。ふだんつけていない猫の場合も、避難生活中はリードをつけておくと脱走の危険を減らせます。

●ガムテープ、カッター、ビニール袋、マジックペン、新聞紙
いろいろと使い勝手のいい品々です。
ガムテープやカッターがあれば、段ボールなどを切り貼りしてペットのハウスを作ることができます。ビニール袋と新聞紙があれば臨時の猫トイレが作れます。ガムテープとマジックペンがあればどこにでもメモを貼れますし、ペットのハウスの外にペットの名前や注意事項を記すことができます。ビニール袋はペットの排泄物を処理するときに便利です。

●ペットシーツ
ペットの排泄物処理に。洗ってくり返し使えるタイプもあります。

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●タオル、毛布
ふだん寝床などで使っているものがあれば、避難所でのストレスを減らせます。ペットがパニックになったときにタオルで抱えておとなしくさせたり、ケガをしたときの包帯代わりにも使えます。もちろん寒さ対策にも使えます。

 

優先順位C
ほかの物で代用がきくものや、デリケートな品質管理が必要ないものは、屋外の倉庫などに置いておくと◎。

●食器
プラスチック容器やペットボトルなどで代用できます。

●猫のトイレ用品
段ボールをビニールで覆い、ちぎった新聞紙などを入れれば簡易トイレを作れます。OLYMPUS DIGITAL CAMERA段ボールをビニール袋で覆い、中にちぎった新聞紙を入れた簡易猫トイレ。いつものトイレ砂が少しでもあれば、トイレを使ってくれやすくなります。新聞紙がなければ、公園の砂場の砂などを利用しても。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA段ボールがなければ、ビニール袋を桶のような形にして、中に新聞紙や砂を入れてトイレにすることも。


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●ペットのハウス
段ボールがあれば、カッターとガムテープで簡単な犬小屋、猫小屋を作れます。
05_段ボールハウス猫1

2004年の新潟県中越大震災の際、小千谷市の避難所で飼育されていた猫の段ボールハウス。飼い主が砂を集めて入れ手作りのトイレを用意するなど、きちんと飼育されていたため、避難所の理解を得た好事例。

以上を参考にしながら、各ご家庭なりの備えをしてくださいね。実際の避難を想定してシミュレーションすると必要なものがリアルに見えてきます。

<情報提供:NPO法人アナイス>

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富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所会員 幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。編集・執筆を担当した書籍に『マンガでわかる猫のきもち』『マンガでわかる犬のきもち』『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『ねこ色、ねこ模様』(ナツメ社)、『ねこ語会話帖』『猫専門医が教える 猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)など。7匹の猫と暮らす愛猫家。 ▶HP:富田園子ホームページ ▶執筆&編集した本: 『マンガでわかる…

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