猫専門医・服部幸先生に聞く、猫がジャンプしない・遊ばない…それってホントに年のせい!? 7歳からの関節ケア|猫の「関節炎」とは?

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しなやかな体と軽やかな跳躍力は、猫の魅力の一つ。高い所から飛び降りて、ストンときれいに着地する姿はいつ見てもほれぼれするものです。大きく伸びをしたり、小さく丸まったり、柔軟な体を持つ猫は、関節の病気とは無縁のイメージがあるかもしれません。けれども、2010年にアメリカで発表されたデータでは、生後6カ月〜20歳の猫を調査したところ、程度に違いはあるもののなんと91%で関節炎の症状が見られたと報告*されています。

実は猫にも意外と多いことがわかってきた関節炎(変形性関節症)とはどんな病気なのでしょうか?東京猫医療センターの服部幸先生に教えていただきました。

*出典:Duncan X.Lascelles, et, al Veterinary Surgery 39,201

 

catdog_服部先生東京猫医療センター院長 服部 幸先生
2003 年北里大学獣医学部卒業。動物病院勤務後、2005 年より SyuSyu CAT Clinic 院長。2006年、アメリカのテキサス州にある猫専門病院「Alamo Feline Health Center」にて研修プログラム修了。2012 年「東京猫医療センター」を開院し、2013 年には国際猫医学会よりアジアで 2件目となる「キャットフレンドリークリニック」のゴールドレベルに認定された。著書に『ネコにウケる飼い方』(ワニブックス PLUS 新書)、『猫の寿命をあと2年のばすために』(トランスワールドジャパン)、監修に『ネコの看取りガイド』(エクスナレッジ)ほか。
東京猫医療センター

 

もう年だからしかたがない!?こんなしぐさは要注意!

まずは愛猫の様子をチェック☑。日頃の生活の中で、次のようなしぐさや行動の変化を感じたことはありませんか?

☑おもちゃで遊ばなくなった
☑動くものを追いかけなくなった
☑ジャンプできる高さや飛び降りる高さが以前より低くなった
☑高いところにジャンプしなくなった
☑段差の上り下りの動作がゆっくりになった
☑寝起き直後の立ち上がりがゆっくりになった
☑寝ている時間が長くなった、または短くなった
☑伸びをあまりしなくなった
☑毛づくろいの回数が減った
☑体を触ると嫌がる

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中高年の猫の飼い主さんなら、「あるある!」といくつも思い当たるのではないでしょうか。Petwellで実施したアンケート調査でも、7歳頃から高齢になるにつれ、あてはまる行動がどんどん増えていくことが伺えます。

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どれも「うちのコも年を取ったなぁ」と感じる行動ですが、実はこの陰に「関節炎」が隠れている可能性が大いにあるのです。猫に多いと言われる関節炎は、正確には「変形性関節症」と呼ばれています。

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「『変形性関節症』は、猫の飼い主さんにはまだあまりなじみがないかもしれませんが、愛猫の様子をよく観察してみてください」

 

慢性的な痛みで動きがぎこちなくなる

変形性関節症とは、骨と骨とをつなぐ関節に炎症が起こっている状態です。正常な関節部分の骨の表面は、なめらかで弾力性のある関節軟骨で覆われていて、まわりは関節液で潤されています。関節軟骨がクッションとなることで骨に伝わる衝撃を和らげたり、摩擦を減らしたりして、関節をスムーズに動かしており、猫は関節の可動域が広いのであんなにしなやかに体を動かすことができるのです。

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変形性関節症は、この関節軟骨が弾力性を失ったり、固くなって石灰化したり、すり減ったりすることで炎症が起こります。発生しやすい場所は、股関節、膝関節、肘関節、後ろ足の足根関節、前足の手根関節で、ほかにも脊椎など、ありとあらゆる関節で見られます。

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出典:Duncan X.Lascelles, et al, Veterinary Surgery 39,2010

一番の原因は加齢によるもので、そのため12歳以上の高齢の猫に多く見られます。けれども、若い猫でも報告がされているので、一概に老化だけが原因とも言えません。他にも肥満によって大きな負担が関節にかかったり、関節にダメージを与える外傷や体質なども影響していると考えられます。

「やっぱり年のせい」ですまないのは、関節に炎症が起これば慢性的な痛みを伴うケースが多いからです。単純に「年だから」動きがぎこちなくなったり、寝ている時間が増えたのではなく、「痛いから」動きをセーブしている可能性が高いというわけです。

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Petwellの調査でも、「高齢になったから」という理由を挙げている人が多くみられましたが、気になる行動の原因は「痛みのせい」かもしれません。

 

痛みを和らげれば、若さと元気が復活することも!

猫の変形性関節症がこれまであまり注目されずに見過ごされてきたのは、兆候があってもそれが年のせいなのか、痛みによるものなのかの区別が、猫の場合は特に見た目では難しいということもあります。犬の場合は、散歩に行きたがらなくなったり、足を引きずって歩くようになったりするため気づきやすく、生活の質(QOL)を著しく下げることもあるのでよく知られています。

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一方、猫は普段から寝ている時間が長く、足を引きずる症状もあまり現れません。片足だけが痛ければ、その足をかばうので気づきやすいのですが、両足、あるいは4本足が同じくらい痛いときには足を引きずることがないのでわかりにくいのです。さらに、猫は体重が軽いので、動けなくなるほど深刻な症状になることもあまりありません。多少の痛みがあっても我慢してしまうので気づきにくく、それが認識の低さにつながっていたと考えられます。

とはいえ、気づかずに放置していれば重症化しますし、当然のことながら痛みが続くことは猫にとって決してよい状況ではありません。レントゲンを撮れば関節に変形が起こっているかどうかはわかるので、冒頭のチェックリストで1つでも思い当たることあったら、動物病院を受診することをお勧めします。

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変形性関節症_572×429_2写真提供:東京猫医療センター

変形性関節症の治療は、薬やサプリメントで痛みをコントロールして、猫の生活の質(QOL)を保つことがメインになります。「もう年だから仕方がない」と飼い主さんが勝手にあきらめていた症状も、治療をすることで愛猫が慢性的な苦痛から解放され、再び若々しく元気を取り戻すこともあるのです!

tidas_コセクイン薬やサプリメントで痛みをコントロールすることで、遊びやジャンプなど、若々しい行動が復活することも。運動によって筋肉が強化されれば関節を守ることにもつながります。

 

関節症予防の5つのポイント

実は多くの猫たちに不快感を与えていると思われる変形性関節症から愛猫を守るためには、日頃の生活環境で、関節に負担をかけない配慮をすることが重要です。

1.肥満にさせずに体重管理
肥満になると関節に過度な負担がかかるので、発症を早めたり、症状を悪化させたり、軽度の炎症でも痛みが強く出たりすることもあります。適切な食事管理と適度な運動で体重をしっかり管理しましょう。

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2.適度な運動で筋力強化
ジャンプしたり飛び降りたりすることは、関節に負担をかけるように思うかもしれませんが、猫の体はもともと上下運動に適応するようにできています。むしろ、日頃からしっかりと運動させることで、関節を支える筋肉を強化することができます。

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3.足の裏の毛はカットして滑らない工夫を
猫の肉球にはクッションやストッパーの役割があるので、フローリングの床でも犬のようにすべりすぎることはありませんが、フローリングでの激しい運動は関節に負担をかけることもあるので気をつけましょう。足の裏の毛が伸びているとすべりやすくなるので、肉球にかかる毛はカットしておきましょう。
肉球_572×429

4.普段の様子をしっかり観察
愛猫の日頃の行動をしっかりと観察してください。少しでも気になる動きがあったら、動物病院に相談しましょう。

5.サプリメントでケア
人でも関節のケアのために、軟骨保護成分のグルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが利用されますが、猫用のサプリメントもあります。「グルコサミン」「コンドロイチン」はもちろん、「ヒアルロン酸」や「ASU(アボカド大豆不鹸化物)*」などが配合されたものもあるそうです。関節の健康を守るためには、そろそろ猫の中年にさしかかる7歳くらいから早めにサプリメントを飲み始めてみるのもよいでしょう。
(*)アボカド中毒の元になるペルシンは葉や樹皮、果実の種に含まれており、これらはASUの製造に使用されておりません。

サプリメント_572×429

カプセルタイプのサプリメントは、カプセルを開けて中身のパウダーを普段のフードに振りかければ、猫も違和感なく取り入れられます。サプリメントは続けることが大切!猫の好きなフレーバー付きのものもあるので、愛猫が摂取しやすいものを選びましょう。

愛猫がいつまでも活発で若々しくいられるように、若いうちから関節をしっかりケアして、変形性関節症の予防につなげましょう。

(文・構成/宮村美帆)

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