猫専門医・服部幸先生がアドバイス そろそろ考えておきたい!愛猫の7歳からの腎臓ケア|慢性腎臓病の予防とケア

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腎臓の機能の低下によって起こる慢性腎臓病は、高齢猫に多い病気。7〜10歳頃からじわじわと増え始め、15歳以上の猫の約3割がこの病気にかかっていると考えられています。腎臓の異変は初期では症状が現れにくいため、気づいたときにはかなり病気が進行しているケースがほとんどです。

猫の中年期にさしかかる7歳頃は、そろそろ腎臓のことも考えていきたいお年頃。
東京猫医療センターの服部幸先生に、気になる猫の腎臓病の基礎知識と腎臓ケアについて教えていただきました。

catdog_服部先生東京猫医療センター院長 服部 幸先生
2003 年北里大学獣医学部卒業。動物病院勤務後、2005 年より SyuSyu CAT Clinic 院長。2006年、アメリカのテキサス州にある猫専門病院「Alamo Feline Health Center」にて研修プログラム修了。2012 年「東京猫医療センター」を開院し、2013 年には国際猫医学会よりアジアで 2件目となる「キャットフレンドリークリニック」のゴールドレベルに認定された。著書に『ネコにウケる飼い方』(ワニブックス PLUS 新書)、『猫の寿命をあと 2 年のばすために』(トランスワールドジャパン)、監修に『ネコの看取りガイド』(エクスナレッジ)ほか。
東京猫医療センター

猫の腎臓病のおさらい
—症状が現れたときには腎機能は7割低下

腎臓はタンパク質を体内で代謝・分解したときにできる老廃物を尿として排泄し、水分を再吸収するいわば 「下水処理場」のような働きをしています。ほかにも、体の水分やミネラル分のバランス調整、赤血球を作るための「造血ホルモン」の産生、ビタミンDの活性化など、重要な役割を担っています。

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「腎臓は左右の背中側に1つずつあります。2つのうちの1つの腎臓が正常ならば支障なく日常生活を送ることができるように、腎臓は予備能力が高いため、機能が5割低下しても症状は現れません。症状が現れる頃には、すでに7割以上の機能が低下しているのです。

慢性腎臓病は、腎臓の機能が3カ月以上にわたり低下している状態で、その原因はさまざまですが、老化によっても腎機能は次第に低下していきます。高齢の猫に一番多いのは、腎臓が小さくなる症状。腎臓をぶどうにたとえると、若い頃はみずみずしかったぶどうの実が、老化によってしぼんで干しぶどうになっていく感じです」

グラフ_572加齢とともに慢性腎臓病の発症率は増えていきます。

腎臓の機能が低下して正常に働かなくなれば、さまざまな症状が現れます。
思い当たる症状はありませんか?

➤腎臓病の代表的な症状

☑ 水分が正常に再吸収されなくなるため、オシッコの量が増える
☑ オシッコの量が増えることで、体内の水分量が減り水を飲む量が増える
☑ 体内に老廃物がたまることで食欲が少しずつ低下する
☑ 食欲が低下することで体重も少しずつ減る
☑ 老廃物の毒素の影響で、吐くことが増える
☑ 脱水することで便秘がちになる
☑ 体内の老廃物によって口臭が強くなる
☑ 毛づやが悪くなる

などです。他に、高血圧や貧血などの合併症を引き起こすこともあります。

 

もしも腎臓病だと診断されたら
—進行を遅らせることが治療のポイント

「一度低下した腎臓の機能は元には戻らないので、残っている腎臓の機能をキープして病気の進行を遅らせ、猫が少しでも快適に生活を続けていけるようにサポートしていくことが慢性腎臓病の治療コンセプト。それぞれの症状をいかに抑えられるかがポイントになってきます」

➤治療の3つの柱

1.投薬・サプリメント
一般的によく知られているのは活性炭製剤やサプリメント。体内に増える窒素物の毒素を活性炭が吸着して、ウンチと一緒に排泄します。ほかにも乳酸菌などの善玉菌によって消化管内の窒素物の量を減らすサプリもあります。

また、体内の血中のリンの濃度が高くなると、カルシウムと結合してできたリン酸カルシウムが腎臓病の進行を早めるので、リンを抑えることが重要。リンを吸着させてウンチと一緒に排泄する「リン吸着剤」のサプリメントなども使われます。そのほか、腎臓の線維化を抑える薬、血圧をコントロールする薬、貧血を改善する薬など、その症状に応じた薬を投与します。

カリナールトリミング進行を遅らせるために、薬やサプリメントを上手に使うのも治療の1つ。

2.食事療法
腎臓病の治療では、療法食への切り替えが効果的です。通常食と療法食での生存率を見ると、療法食に切り替えたことで生存日数がおよそ2倍以上延びたという報告もあります。療法食で、腎臓に負担をかけるタンパク質やリンなどを制限します。

3.水分補給
オシッコの量が増えると、体内の水分量が減るので、水をたくさん飲むようになります。いっぱい飲んでいるようでも不足している場合も多く、体は脱水します。いつでも水がたっぷり飲めるように用意し、水を飲ませる工夫もしましょう脱水がひどい場合には、皮下輸液や静脈点滴などで補給します。

29520258 - cat eating water on the pet bowl愛猫が好む水入れや飲み方を知り、いつでもたっぷり飲める工夫を。

 

早期発見が何より大切
−少しでも早く見つけて上手にコントロール

腎臓病を予防する方法は今のところわかっていないので早期に発見してケアを開始するころが重要です。

➤家庭で早期発見

●オシッコの量の観察
オシッコの量の変化は家庭で最初に気づけるサイン。徐々に増えるので、固まるトイレ砂の場合はかたまりの大きさを注意深くチェック。量が増えればオシッコの色も薄くなっていきますので、色も観察しましょう。

17568361 - white sodium bentonite cat litter with cat sand scoopトイレ掃除の際には、オシッコのかたまりの大きさや色をチェック。

●飲水量の観察
オシッコが増えれば、水を飲む量も増えます。水は飲まないよりも飲んでいるほうが安心と思いがちですが、1日量が体重1kgあたり50ml以上の場合は異常のサイン。若い頃から月に1度は飲水量を計量カップで量って記録しておけば比較ができ、早期発見につながります。

「元気や食欲がなくなってくるのは病気がかなり進行してからです。元気だから、食べているから大丈夫だろうと判断しないで、『多飲多尿』の症状が見られたら、動物病院で相談してください」

➤定期検診で早期発見

●腎機能検査
血液検査によるクレアチニン(Cre)、血液尿素窒素(BUN)、SDMAなどの数値が判断基準になります。これまではCreやBUNの数値の上昇が判断基準でしたが、上昇する頃には腎機能はすでに75%くらい失われた状態でした。2016年から検査が可能になったSDMAは、CreやBUNよりも早い、腎機能の低下が50%くらいの段階で数値が上昇するので、早期発見につながるのではないかと期待されています。

また、尿検査で、尿タンパク/クレアチニン比(UPC)でタンパク尿の程度を調べたり、尿比重でオシッコの濃度を調べたりします。
そのほか、超音波(エコー)やレントゲンなどの画像検査も合わせて行います。

36121278 - veterinarian doctor is making a check up of a cute beautiful cat.定期的な検査は、病気の早期発見や経過を把握する上で重要。

「早期発見のためには、7〜10歳くらいまでは最低でも年1回、できればそれ以降は半年に1回くらい、腎機能検査を受けることが理想的。腎臓病のコントロールに効果的な療法食やサプリメントをいかに初期の段階から始められるかが、その後の寿命に大きく関わってきます。

療法食は制限食、どうしたって通常食のほうがおいしいでしょうから、いよいよ具合が悪くなってから療法食に切り換えようとしてもなかなか食べてくれません。人間でも食欲がないときこそ、おいしいものを食べたくなりませんか。猫も一緒です。

サプリメントにしても、具合が悪いときにいつもとちがうものがごはんの上に乗っていると食べなくなくなってしまうこともあります。だから、元気も食欲もある初期の段階から療法食やサプリになじんでおくことが大切です」

DSCF9385_572a_t元気のある初期の段階から療法食やサプリに慣れておくと、いざというときに安心。

少しでも早い段階で異変に気づき、腎臓のケアを開始することで、症状をコントロールして猫の生活の質を維持して寿命を延ばすことができるというわけです。シニアと呼ぶにはまだ早いけれど、猫の7歳は人間に換算すると40代で立派な中年。そろそろ腎臓ケアを真剣に考えてみませんか?

(構成・文/宮村美帆)

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