【ドッグトレーナー連載】犬との「意・思・疎・通」~人と犬との関係性~ by鹿野 都

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犬と気持ちを通わせることができたら、うれしいですよね?スピリチュアルなパワーで犬の気持ちが分かる人がいますが、残念ながら私にはそのパワーはなさそうです。しかし、そのパワーがなくても、犬の行動を観察することや愛情を持って接することで、おおよそ気持ちを読み取ることができるようになりました(犬に聞いてみないと本心はわかりませんが)。犬の専門家たちは、たくさんの犬を見て接してきて、犬の行動や吠え声、顔の表情から気持ちを読み取って、犬と意思の疎通を図っていることと思います。

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今回のタイトルにも挙げましたが、「意思疎通」とはどのような意味なのでしょうか。「意思疎通」とは、「互いに考えていることを伝え、理解を得ること、認識を共有すること。コミュニケーション」のことです。犬は言葉をしゃべりませんが、ボディランゲ―ジ(体の動きを使って意思や感情を表現する)や吠え声で気持ちを表現してくれます。犬を理解するには、犬が何を考えているのかを探ることが大切です。


人と犬では感覚世界が違う

しかし、犬の感覚世界と、人の世界は異なります。例えば、視覚情報から得られるものとして、認識している色等が異なり、聴覚情報として、人間よりも何倍も優れていて、嗅覚情報としては人と比べ物にならないくらい優れています。このような犬の感覚世界を理解しようとする気持ちが大切だと思います。

例えば、窓の外に向かって吠える犬がいた場合、犬の感覚世界を考えた上でとらえてあげることが必要です。吠えを改善したい場合は、自宅の環境設定から見直してあげる等、人より優れた感覚を持っていることを理解してあげることが大事ですね。また、犬の好きなことやものを見つけて、一緒に楽しむことで、認識の共有につながると思います。意思の疎通を図るには、人も努力することが必要だと思います。

トレーニング時も、人からの一方通行はNG

人が犬に指示を出すとき、どのようなやり取りがあるのでしょうか?

犬のトレーニングでは、指示を出して犬が行動する(オスワリといって犬が座る)、これだけでは人間側の一方通行です。「互いに考えていることを伝える」ということを考えると、犬の考えていることを感じ取ることが必要になります。犬との関係が良いと感じる人の様子(犬が人に期待をしている)を見ると、犬に「ねえ、聞いてよ~」という投げかけをして、犬が「な~に?」と人を見上げて、「オスワリしてね~」と言ったら、「わかった~」と座ってくれて、「ありがとう」と人が犬を誉め(ご褒美のフードをあげたり撫でる)、このようなやりとりがあるように見えました。

やわらまさと_572お互いに気持ちを受け止めれば、コミュニケーションに年齢は関係ない。

実際には、名前を呼ぶ、オスワリ、ほめているだけですが、その言葉の中に会話が聞こえてくるようです。けっして、一方通行ではなく、犬の気持ちを読み取って、受け入れている様子が伺えました。トレーニングという言葉を使うから、一方通行になってしまいがちですが、要はコミュニケーションとして、人が言葉を発して、犬は行動で気持ちを表しているということだと思います。

飼い主が、犬の感覚世界を理解した上で、互いに考えていることを伝えることがとても大切です。人側からの一方通行もよくないですし、犬側からの一方通行を受け入れてしまうと人には不都合なことがたくさん起きてしまいます。人間同士の関係でも同じですが、相手の気持ちを考えて、互いに気持ちを通わせればうまくいくこと間違いなしです。犬の心を受け止めて心を通わせられたら、犬との生活がさらに楽しく過ごすことができるでしょう。

 

学術博士 鹿野 都

DSC_3044トリミング麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて人と犬の関係を学び、主に子どもと犬について研究を進め、2008年に博士(学術)号を取得。 大学院中にアニマルセラピーで有名なアメリカのニューヨークにあるグリーンチムニーズにインターンを経験し、動物介在介入の現場で学んだ。 大学院中に放課後キッズワン教室という子どもと犬が遊びながら学べる教室を研究の成果をもとに運営し、現在ではスタディ・ドッグ・スクールにて引継ぎ平成26年で10年となる。動物介在教育の分野では実践と研究に取り組み、プログラム開発や指導を行っている。
動物介在教育指導者養成講座委員
セラピーアニマル評価者養成講座委員
動物介在教育マスターエデュケーター
麻布大学共同研究員
スタディ・ドッグ・スクール
スタディ・ドッグ・スクール ペットドッグトレーナー育成コース

 

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