【ドッグトレーナー連載】飼い主や兄弟犬を見て学ぶことは可能?犬のものまね能力について by三井翔平

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「兄弟犬のことを真似して、いい子にしてなさい!」とか、「ほかの犬の真似をすれば簡単なのに…」といった声を耳にすることがあります。では、犬は本当に他者の真似をすることが出来るのでしょうか?

真似(模倣)とは「他者の運動を見てそれと同じ運動を行うこと」をいいます。ヒト以外ではチンパンジーなどの一部の霊長類ができることが分かっており、犬でも兄弟犬がやったことと同じ行動を後にとりやすくなることが知られています。では犬は人の行動を真似ることはできるのでしょうか?ハンガリーの研究者がV字のフェンスを迂回して食べ物を取りに行くという迂回路課題という手法を用いて犬の模倣について調べました。

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図1.フェンスの向こう側にあるオヤツを取りに行く迂回路課題実験

実験では1回のセッションを1分として、まず、何のヒントもない状態で犬がオヤツに到達するまでの回数を計測しました。すると平均してオヤツに到達するまで5,6セッションかかりました。次に人間が反時計回りで犬の前でデモンストレーションすると、同じ課題を2,3セッションでクリアできるようになったのです。

つまり、間の真似をすることでわずか(平均5~6回→平均2~3回)ですが早く問題の解決ができたことになります。また、この課題に初めて挑戦するイヌでは、デモンストレーターである人間が回った方向を通る傾向が多いことがわかりました(人間が時計回りにまわった様子を見れば犬も時計回りをたどる可能性が高い)。

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図2.同時に、犬はフェンスの外から内に入るよりも、内から外にでる方が得意であることもわかった

人の行動を真似する犬がいる

一風変わった研究では「Do as I Do!」(私の真似をしてごらん!)という課題を使って犬が人の行動を模倣する能力があるか調査しました。この実験では障がいを持つ人のサポートをする介助犬を特別にトレーニングし、あらかじめいくつかの指示を真似するように教えました(人:声を出す→犬:吠える、飛び上がる、棒を飛ぶなど)。

1ヶ月のトレーニングの結果、犬は人の動きを見て、自分が真似するべき行動をきちんと選択できるようになりました。そして、トレーニングした人以外の真似をしたり、真似するように教えた行動以外の行動もコピーできるようになりました。

 

真似は出来るけれど過度な期待は禁物

ご紹介したように犬にも他者を真似する能力があります。しかしながら、人間であれば紹介したような簡単な課題は一度見ればほぼ完璧に真似することができますが、犬の場合は真似する相手が犬であろうが人であろうが、一定の時間や練習が必要になります。

ですから、犬は他者の真似をすることは出来るが、一度見たことをコピーするという人間並みのことを要求するのは酷であるといえます。したがって、家庭内での振る舞い方を人や兄弟犬から見て学べというのは難しそうで、人間がきちんとその場にあったルールを教えてあげる事が大事といえるでしょう。

 

ドッグトレーナー 三井翔平(三井正平)

ドッグトレーナー

麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程にて犬と人のコミュニケーションに関する研究を行い博士号を取得。その後ドッグリゾートワフ専属チーフドッグトレーナーを務め、日本テレビ系「ザ!鉄腕!DASH!!」のダメ犬・デブ犬克服大作戦をはじめとしたTV番組にも出演。現在はスタディ・ドッグ・スクールを拠点とし、しつけ教室や教育機関で講師を務めるなど活動を拡大中。“犬に優しくわかりやすいしつけ”をモットーに、飼い主指導や後進の育成に携わっている。愛犬はトレーニングの師でもあるラブラドール・レトリーバーのクッパ。

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