本能だからと容認は厳禁!犬のマウンティング行動はなぜ放置してはいけないのか? by牧口香絵

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愛犬が飼い主さんの足を抱え込んでマウンティング! 恥ずかしいからやめてほしいけど、犬の本能だからしかたないの?うちのコ、女の子なのにマウンティングするのはおかしくない?今回は、マウンティング行動の意味と対策について考えてみましょう。

 

マウンティング行動とは?

マウンティングは子犬のときから遊びながら出てくる行動です。力関係を作る練習や、性的な行動の予行演習。子犬のときは上下関係を示すためではなく、純粋に本能的な動きを遊びに取り入れているだけです。オスの場合は、小型犬だと5カ月齢以降になると(大型・中型犬の性成熟はもう少し後)、性ホルモンの血中濃度が高くなるため、オスはオスらしさが出てきて、マウンティングやマーキング行動をするようになります。

また、性的なものではなく力関係を示すためのマウンティングも出てきます。メスでもオスっぽい性格のコは、犬同士の中で上下関係をつくるため、相手の性別に関係なく腰に乗ることがあります。ネットなどでは、飼い主へのマウンティングを「飼い主を小馬鹿にしている」と説明されたりしていますが、それは違うと思います。

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たまたま性ホルモンの血中濃度が変わったときに、腕があったりクッションがあったから行っただけで、動物種が違うため飼い主より上になろうという気持ちはおそらくないでしょう。しかし、マウンティング自体は人には絶対にやらせてはいけない行動です。

 

人が容認することで、癖になってしまう

いくつか事例をご紹介しましょう。

事例1 ジャックラッセルテリアのオス
2歳になってマウンティングが出るようになった。通常、マウンティング行動が出る犬はもっと早くから出るので、これはかなり遅い例。何が引き金かはわからないが、ご主人が容認してしまったのが原因。ただし、トレーニングがしっかり入っている犬だったので、正の罰(NOやイケナイ)を与えることで、すぐにやめさせることができた。

事例2 チワワのオス
噛み癖があり、しつけがまったく入っていなかった。マウンティングをやめさせるのはかわいそう、マウンティングしている姿がかわいいなど、飼い主さんの勘違いが原因だった。

マウンティングは犬にとっては自然な行動でも、人間と暮らす上では必要のないことだし、マナー違反。そのことを飼い主さんにしっかり理解してもらっています。犬同士なら遊びで甘噛みをしてもいいですが、人には甘噛みをさせてはいけないのと同じです。

 

なぜマウンティングをさせてはいけないのか?

人にマウンティングさせてはいけない理由は、まずお客さんが来たときにやると、見ていて気持ちの良いものではありません。また人の足や腕がターゲットになると、まとわりついてじゃまになったり、射精で汚されることもあり、日常生活に支障を来しかねません。

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犬にとっても、マウンティングを容認すると、人の足でやる、特定のクッションでやる、と癖になっていき、朝から晩まで繰り返してペニスが傷ついてしまうことも。常同行動(同じ行動を目的もなく繰り返すこと)になると、犬自身にも止められなくなってしまうのです。

 

癖がつく前に短期間でやめさせること

マウンティングは、癖がつく前にやめさせること。長い期間をかけて直していくのではなく、驚かせたり罰を与えたりして、1週間ぐらいの短期間できっぱりとやめさせます。本能的な行動のため、やめさせることがストレスにならないかと心配する飼い主さんもいますが、マウンティングさせないために犬をクレートに入れるなら、その方がより大きなストレスになるかもしれません。

人との生活に迎え入れたときからダメなことはダメと教えていくことが大切。好き勝手にやらせることが幸せで、ストレスがないわけではありません。遊びの中で犬の本能を刺激して喜ぶようなものを見つけ、満たしてあげましょう。

 

犬同士のマウンティングもNG

それでは、犬同士のマウンティングは許してもいいのでしょうか。ドッグランなどで、他の犬にマウンティングしてしまうことがありますが、基本はマナー違反、やめさせるべきです。双方が遊びとしてマウンティングを仕掛け合っている場合はかまいませんが、そんなことはめったにありません。

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相手を羽交い締めにして逃げられない状況を作ったり、嫌がっているのにマウンティングし続けたり、また大きいコが小さいコにやっている場合は逃げられないので、やめさせてください。呼び戻しは効かないので、飼い主さんが物理的に引き離すしかありません。引き離しても再びやりに行くようなら、ターゲットの犬がいる間はリードをつけたり、その場を離れるようにします。

 

マウンティングを抑制したいなら、適切な去勢時期を逃さないで

マウンティングをするかどうかは性的なホルモンの影響が大きいです。マウンティングがひどい場合は、雄性のホルモンを作る臓器を取り除く去勢を行うことで、抑えられます。ただし、何年もマウンティングを放置し癖がついてしまってからでは、去勢をしてもゼロにはなりません。マウンティングを抑制したいなら、早めの適切な時期に去勢しましょう。

 

牧口 香絵

獣医師 牧口 香絵

ペットの行動コンサルテーション[Heart Healing for Pets]代表

1998年に麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛犬はボーダーテリアのコーディーちゃん。
・AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員

愛犬をやさしく癒す クリスタルヒーリング

 

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