犬だって嫉妬する。新しい家族や2頭目を迎えたときのトラブル回避法 by牧口香絵

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赤ちゃんが産まれたり、2頭目の犬を迎えたり、結婚で家族が増えたり…。ひとりっこで大切にされてきた犬にとって、飼い主さんの愛情を奪われそうな新たな存在は、大きなショック。そんな犬の嫉妬が引き起こすトラブルと、その対策について取り上げます。

 

犬の嫉妬とは?

犬には人間がもつ感情はすべてあるとも言われ、当然、嫉妬もします。よくある表れ方としては、「ストレスで具合が悪くなる」「気を引くためにいたずらをする」、最も深刻なのは「攻撃行動」など。

嫉妬しやすい犬種としては、統計はありませんが、コーギーは他の犬を撫でていると割り込んだりするコが多い気がします。性格的に「自分が一番」と思うコや、もともと嫉妬深いコも要注意です。また2頭目を迎えるなら、3~4歳頃までに。5~6年以上、愛情を一身に受けているコに2頭目を迎えると、嫉妬してしまうことがあり、年を重ねるほど難しくなります。1頭では淋しいだろうと思うのは人間の勝手で、先住犬が犬嫌いなら2頭目は迎えないことです。
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赤ちゃんと犬との関係性づくり

よく相談を受けるのは、赤ちゃんと犬への対応。多くの飼い主さんは、犬が赤ちゃんに近づくと、衛生面を気にしてナーバスになりすぎるのですが、むしろ犬が赤ちゃんに興味を持ったことをほめてあげてください犬を隔離するのもNG。寂しい思いからストレスをためて問題行動を起こしかねません。目が届かないときに、一時的にサークルやケージを利用するのはかまいませんが、入れっぱなしは絶対にやめてください。

また、子どもが成長してきたら、犬が寝ているときは触らない、食べているときに近づかないなど、接し方を教えていくことも大切です。

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犬同士の嫉妬はどう解決するか

■一緒にごはんを食べさせるのは危険
飼い主さんは、2頭並べてご飯を食べさせたがりますが、これはケンカを誘発する行動。ご飯を取り合って、片方が引けばいいですが、どちらも食べ物への執着が強ければケンカになります。ここでケンカをさせてしまうと、不仲の状態を作り出して別の問題を増やすことにも。ケンカをすることがわかっているなら、それぞれをクレートの中で食べさせる、別々の部屋で食べさせるなどの対策を

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■犬の性格に応じて臨機応変に対応
ブラッシングなど、1頭ずつしかできないことは、昔の理論では“先住犬を優先”と言われましたが、どちらを立てるかは2頭の性格によって変わります。犬同士の上下関係はフレキシブル。例えば、Aは食事に執着があるが、Bはない。Bは寝床に執着はあるがAにはなく、譲ることがある。といったように。

なので、状況に応じて、順番にトレーニングしたり、ブラッシングしたり、遊んだりします。1対1でコミュニケーションをとるときは、もう1頭は別の部屋に隔離して見えないようにして、コングなどを与えて待機させます。


■犬同士に任せても解決はつかない
飼い主さんが下のコを構っていたら、上のコが割り込んで来てケンカになる場合は、「待て」の指示を出して割り込ませないことが基本。飼い主さんが主になって、1対2で、同時に2頭をコントロールする練習をします。犬に待つことを教え、順番を待てば自分も構ってもらえることを理解させます。昔の理論では、犬同士がケンカをすれば上下関係がつくと言われましたが、ただケンカっ早くなるだけで、何の解決にもなりません。

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■飼い主さんの対応次第で好転することも

飼い主さんを自分のものにしたくて嫉妬しているとき、1頭を立てて、それで気分が良くなり仲良くなればいいのですが、立てられた方が自分が上だと思ってさらにいじめることもあります。攻撃性が出ているときは、飼い主さんが怒ったり威圧的な態度を取ると、いっそう悪化します。1対2で何かする機会を増やして、一緒にトレーニングすることが楽しいと感じさせましょう

以前カウンセリングしたチワワの母娘のケースでは、母犬がとても嫉妬深く、飼い主さんが娘犬に何かしてあげるとすごく攻撃するコでした。一緒にカートにも乗れないぐらいの不仲。飼い主さんが母犬を立てて可愛がるので、余計にいい気になっていたため、飼い主さんに平等に接してもらうようにアドバイス。さらに母娘、それぞれに合ったレメディを処方したら、2週間後には一緒にカートに乗って遊べるように改善した事例もあります。

 

犬の嫉妬を未然に防ぐには

■犬と赤ちゃんとの初対面のさせかた
赤ちゃんのにおいのついたものを持ち帰って、においを確認させておきます。
一番良いのは、退院してきたときに、犬を散歩させて家の外で会わせてから、お母さんと赤ちゃんと犬が一緒に家に入る方法。犬が家にいる状態で、嫌いな刺激(知らない人)が入ってくると、自分の縄張りなので防衛的になりますが、先に外で会うこによって緩和されます。

外で会わせるのが無理なら、帰宅してすぐに犬と赤ちゃんを会わせるのではなく、赤ちゃんを隔離してドア越しににおいを嗅がせることで、雰囲気をつかませます。徐々にお母さんが赤ちゃんを抱いた状態で犬と会わせ、友好的なら褒めつつ、対面の時間と回数を増やしていきます。


■新しい家族が増えるときは

結婚などで、新たに家族が増える場合も、事前に外で犬と楽しいことを共有し時間をかけて慣らしていきます。お互いに犬がいる場合も、いきなり新居で会わせるのではなく、外で会い一緒に散歩をして、犬同士の関係もゆっくり作っていきます。それから新居に一緒に入り、少しずつ部屋で過ごす時間を増やしていって同居をめざします。

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多くの人が、新しい犬や家族を迎え入れて問題が起きてから、どうしよう・・・となるのですが、迎え入れる前に対処してほしいですね。犬が来る、赤ちゃんが生まれるとわかっていれば、1カ月以上前から準備した方がいいでしょう

 

牧口 香絵

獣医師 牧口 香絵

ペットの行動コンサルテーション[Heart Healing for Pets]代表

1998年に麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛犬はボーダーテリアのコーディーちゃん。
・AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員

愛犬をやさしく癒す クリスタルヒーリング

 

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