スウェーデンの実力派トレーナーの来日講演でお勉強。「犬と遊ぶ」レッスンを、うちの犬でもやってみた! by白石花絵

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第10回JAPDTカンファレンスが、麻布大学(神奈川県相模原市)で2015年8月28日〜30日に開催されました。

JAPDT ( Japan Association of Pet Dog Trainers ) は、特定非営利活動法人日本ペットドッグトレーナーズ協会の略。
毎年夏に開かれるカンファレンスでは「世界基準のドッグトレーニング」というコンセプトで、国内外のドッグトレーナーや専門家が招かれ、それを勉強しに日本のドッグトレーナーやトレーナーの卵たちが集まります(でもトレーナーではない一般市民も参加することは可能!)。

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今年は国内外の5名の講師の方が講演しました。その中で目玉はスウェーデンから来日されたイェシカ・オーベリー女史。イェシカさんは、スカンディナビア・ワーキング・ドッグ研究所の共同経営者かつ講師、トレーナー。ドッグ・トレーニング歴23年のキャリアを持つ実力派です。

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今回は「犬と遊ぶ」ことが、トレーニングやしつけの大事なツールになるというお話しを中心に講演されました。

イェシカさん曰く、犬の遊びには4つの機能があります。

(1)体を鍛える
(2)社会性を養う
(3)興奮を満たす
(4)とにかく「楽しい!」

そして遊ぶ相手は、

<1>犬単体でのひとり遊び
<2>犬同士、複数の犬との遊び
<3>犬と人との遊び

いろいろなパターンがあるので、遊びの種類は限りなく広がります。
ベースは犬が本来持っている狩猟本能。「追いかける」「捕まえる」「持ってくる」「引き裂く」「食べる」などは、犬が生存するうえで最も大事な本能で、これは犬のサイズに関係なくDNAの中に組み込まれているものです。

そうした狩猟本能を刺激する、体を使った遊び(取っ組み合い、レスリング、追いかけっこ、ひっぱりっこなど)が、なぜトレーニングのツールに使えるかというと、遊びを通して「感情の盛り上がり」を犬に与えられるからとのこと。

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気持ちのいい感情、快楽は、犬にモノを教えるときの最も重要なきっかけになるのです。だから、人間が犬になにかを教えたいのなら、犬の「楽しい!」「気持ちいい!」(そして「美味しい!」)という感情を(文字通り)エサにする。
おやつを使ったごほうびもいいけれど、「遊び」も立派なごほうびになるのです。

とくに遊びの中で、ひっぱりっこが、飼い主と一緒に遊ぶのに適していると、イェシカさんは言いました。

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もれなく犬と飼い主がいい関係になるのにも役立つでしょう。遊んでくれたり、散歩に連れていってくれる人の方が、本来は食べ物をくれる人より、犬は大好きな気がします。(遊んだり、散歩してくれる人がいなかったら、おやつをくれる人がいちばん好きになるだろうけど〜)

遊びについて、改めて紹介されると、目から鱗が落ちるような気づきがありました。かつ愛犬と自分でも実践できる身近な手段だなと思いました。

 

というわけで! 帰宅して、さっそく(気が早い!)、クーパーとメルで試してみましたよ。

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まずですね、クーパーはさすがガンドッグ(猟犬)だけあって、教えなくてもモッテコイはできる。しかし、ソフトマウス(猟犬はカモを傷つけないよう柔らかくくわえるのが特徴)だし、心が弱い、飼い主に逆らえない従順さがあるうえ、独占欲が薄い……。

とにかく、ひっぱりっこをしようと思っても、ひっぱると、すぐにパッと口を開けて、私にオモチャをくれちゃうのです。はたして彼とひっぱりっこゲームができるのだろうか。それが最初の難関。

次にメルは、モッテコイはできない。オモチャで遊ぶのも気まぐれで、ムラが激しい。果たして彼女はオモチャに関心を持って、くわえてくれるのだろうか。これまた自信なし。

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「ひっぱりっこ」の内容も注意が必要でした。イェシカさんのやり方はひと味違います。
イェシカさん推奨のひっぱりっこは、綱引きではありません。飼い主はオモチャの両端を右手と左手で握り、その真ん中を犬にくわえさせ、ゆっくりオモチャを左右に動かします。綱引きになったり、上下にオモチャや犬の体を振るような動きはしません。

そして、次にもうひとつ今までの常識と違っていたことがあります。
ひっぱりっこをしたとき、オモチャを犬に渡すと飼い主よりも犬が強く偉くなったと勘違いするから、犬にオモチャをとられてはいけないとよく言われますが、イェシカさんが紹介してくれた科学的な実験結果によると、オモチャを犬が奪おうが、奪うまいが、差はないのこと。これまた、へぇぇぇぇ、でした。

06ソフトマウスのクーパーは独占欲がなくすぐ口から放すので、まずは自信をつけさせ、遊びに誘ってみる練習から

ただ、犬にオモチャを渡しても、「ハナセ」「リーブ」(私は「チョウダイ」を使ってます)という合図をだして、すぐ返してもらいます(それも練習)。そのとき犬は「え!? もう渡すの!?」という顔をすると思います。

でも、渡してくれたら「いい子だね」とか「グッドボーイ」などと誉めて、名前を呼びながら、飼い主がその場から後退します。(ここがポイント! 飼い主の方から犬に近寄らない、追いかけない。犬に飼い主を追いかけさせます)。そして犬が追いかけてきたら、オモチャを渡す。この繰り返し。

07床の上をコロコロ転がして、獲物を追いかけたくなる狩猟本能を刺激してみる

この先生の教えをやってみたら、あれれ!? できちゃったよ! クーパーもメルも! やればできるのね、意外と。

ただ、そのあと、楽しくなってきて調子にのりすぎたメルは、興奮しすぎて、クーパーのオモチャを狙う始末。興奮しすぎる前にやめることもポイントです。

08メルは「ちょっとー、いいなーー、羨ましいなーー」と思っている。この気持ちをよいモチベーションに持っていくのは大事。ただ多頭飼育は、オモチャや飼い主を独占する気持ちが高まり、ケンカが勃発する可能性があるので注意。オモチャに興味を持つようになったら、別の部屋で分けて遊んだ方がよいかも

09やっとメルの番! メルはくわえる力が強いので、ひっぱりっこは得意だった

10ひっぱりっこしたら「ダシテ」などと合図をだして、1回オモチャをもらう。そして、すぐ渡す。そうすれば独占しなくてもすぐ返してもらえると理解し、渡してくれるようになる

11娘も楽しそうにやっていました。飼い主と犬のよき共同作業になりますね

ともかく、やればできた。興奮が強くなる前や、飽きる前にゲーム終了なので、ほんの5分程度のトレーニングです。

これで犬と飼い主の絆が深まり、本能が満たされ、楽しい気持ちになり、次のステップとして、別のことを教えるときのモチベーションになるなら一石二鳥どころか、一石五鳥くらいの恩恵がありそうです。

トレーニングの詳しい解説は、イェシカさんの本が出版されましたから、ぜひ読んでみてください。引き続き、私も、練習を続けていきたいと思います。

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック: 見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった! (世界のドッグスペシャリスト)

<ひっぱりオモチャのオススメ>

【フロッピーイヤー】
ちょっと可愛い系。小型犬にちょうどいいサイズ。でも結構頑丈なので大型犬のクーパーの兄弟も愛用。壊れないらしい。

コング ウァバ フロッピーイヤー トラ

 

【プラー(2サイズ展開)】
円形なので、引っ張りやすい(引っ張られて犬が夢中になると、奪われまいと必死になり、口が移動してくる。でも端の方に移動してきて手を噛まれそうになっても、クルクル回せば手が噛まれない)ので、意外と遊びやすい。軽い。水にも浮く。モッテコイ遊びもできる。転がしたときの動きが予測不能で、追いかけるのも楽しいらしく喜ぶ。ソフトな歯触りだが、壊れない。去年くらいからこっそり愛用者増加中。

愛犬の成長と訓練のための遊具 「PULLER」 (ミニ・サイズ)

【アニマルフリスビー(2サイズ展開)※カモとモモンガのデザイン2種類】
ぬいぐるみ系の歯触りを好む犬(=クーパー)ならだんぜんこれ。円形なので、プラー同様に犬が端っこを狙って噛む位置を手に近づけてもクルクル回せば大丈夫。リアルなデザインは狩猟本能を刺激する。また、ドイツ製でぬいぐるみ系の中では壊れにくく長持ちする。

【グリーンドッグ厳選】ハンター アニマルフリスビー カモ M

 

白石花絵(しらいし・かえ)

Writer
フリーライター 
白石花絵(しらいし・かえ)

雑文家。東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。
その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピーに共生できる社会になることを願っている。現在、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー(オス)、ボクサーのメル(メス)、黒猫のまめちゃん(オス)、熱帯魚(コリドラスなど)、そしてニンゲン2と暮らしている。趣味は、クーパーと野山へ行くこと。東京都渋谷区在住。

▶執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑
▶ブログ: バドバドサーカス

▶主な著書
『東京犬散歩ガイド』
『東京犬散歩ガイド武蔵野編』
『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

『うちの犬—あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』

 

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