人に寄り添っていたい犬にとって、「お留守番」は大の苦手。上手な過ごし方とトレーニング法を学ぼう。

犬にとってお留守番は、つまらないし、寂しいもの。犬は最初に家畜化されて、人間の生活に溶け込んできた動物です。ひとりの空間や時間が大切というコはいても、猫と違って基本は誰かと寄り添っていたいんです。でも、人と暮らす以上、お留守番は避けられないので、上手な過ごし方を身につけましょう。

 

トレーニングは生後2〜3ヵ月から

飼い始めの生後2~3ヵ月の頃から人との信頼関係を培うことと並行して、独立心を養うことを教えていきます。子犬にいきなり長時間のお留守番をさせると、メンタル面のダメージが大きいので、最初は30分くらいの短時間から慣らしていきます。
飼い主さんが共働きで、いきなり長時間のお留守番をさせるケースもみられますが、トレーニングができていないのにお留守番をさせると、問題が生じやすくなります。

 

上手にお留守番をさせる工夫とは

■知育玩具を与える
お留守番のときは、中にフードやおやつが入れられる知育玩具を与えておくのがおすすめです。犬が一番寂しいのは、飼い主さんがいなくなる瞬間。その時、別のものに意識をフォーカスして、できるだけ楽しいことに集中する癖をつけます。そして飼い主さんが帰宅したら、取り上げます。お留守番のときだけもらえるものとして、関連づけておくことが大事なんです。「これがもらえるなら、飼い主さんがいなくてもいいや」となればしめたもの。
その他、自動給餌器におやつを入れて、タイマーをセットしておくなど、要所要所で楽しい仕掛けをしておくと、犬の気を紛らわすことができます。

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■テレビや音楽をつけっぱなしに
テレビや音楽などをつけっぱなしにしておくのもいい方法です。途中で音が止まると、とくに分離不安のコは不安になってしまうので、エンドレスで流せるものを。

■過剰な愛情表現はNG
お留守番のときは、犬に気づかれないようにそっと出て行くといいと言われますが、実はよくないんです。人でも、そんなことをされたら嫌なのと一緒。ただし、出掛けや帰宅時の過剰な愛情表現は、犬の不安を煽るのでNGです。「行ってくるね」「ただいま」など、シンプルな挨拶程度で。また、飼い主さんが心配しすぎるのが一番よくありません。その気持ちが犬に伝わり不安を煽ります。

■小さいうちはサークルで、慣れれば自由でも
小さいうちはトイレトレーニングと破壊行動を防ぐために、お留守番中は大きなサークルに入れておくといいでしょう。その2つがクリアできれば、自由でも構いませんし、サークルの方が落ち着くなら、十分な広さがあり、冷暖房が直接当たらないことを確認して。絶対やめてほしいのは、小さなクレートに閉じ込めて長時間お留守番をさせること。排泄もできなければ水も飲めません。

 

お留守番のトレーニングは、こうして行う

■時間を決めずにランダムに
本番のお留守番は時間も間隔も決まっていないので、トレーニングも、スタート時間やお留守番時間をランダムに設定することが大切です。いつも同じ時間に何分間と決めてしまうと、犬に行動を読まれてしまいます。

■トレーニングは関係性作り
分離不安は、飼い主さんが犬に依存しているケースも多いんです。犬をつねに膝に乗せたり抱っこすることで安心し、分離不安のきっかけを作ってしまう。なので、小さいうちから、過度に膝に乗せたり抱いたりする癖をつけないようにし、トレーニングを介して正しい関係を作っていくことが大切です。「マテ」と言えば、飼い主さんがその場を離れて戻ってくるまで、マテを維持できるぐらいの練習をすること。トレーニングは「何かをする」ためだけでなく、飼い主さんとの関係性作りや犬の自立心を育む意味もあるんです。

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■クレートトレーニングは必須
クレートトレーニングは必須。引っ越しや災害で避難した場合など、クレートやハウスに慣れていればそこは安心できる場所になりますが、慣れていなければただのストレスになってしまいます。

■多頭飼育の場合は、個別に練習を
多頭飼育の場合、一緒にお留守番をさせることもあれば、1頭だけのこともあります。1頭だけお留守番をさせると、分離不安ではなく不服から問題行動が出ることも。そこで、日頃からクレートトレーニングを徹底し、個別でクレートに入る練習をさせます。
愛犬が分離不安だから、寂しくないようにと、もう1頭増やす飼い主さんがいますが、分離不安は飼い主さんに対する依存なので、犬を増やしても問題が解消することはまずありません。最悪、後から来たコも分離不安を引き起こす可能性も。

 

次回は、「分離不安」の対処法について取り上げます。

 

石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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