ドッグトレーナー【前編】 飼い主さんと愛犬を繋ぐ「架け橋」になれたらいいですね。 鹿野正顕さん

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【前編】【後編】

「スタディ・ドッグ・スクール」は、麻布大学との共同事業で運営されている、飼い主さん教育を目的とした犬のしつけ方教室。代表の鹿野 正顕さんにインタビューするとともに、実際のグループレッスンを見学し、受講者の皆さんの声もお聞きしました。

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鹿野 正顕

ドッグトレーナー 鹿野正顕

株式会社 Animal Life Solutions 代表取締役社長
麻布大学 スタディ・ドッグ・スクール 代表

麻布大学介在動物学研究室にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、(株)Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしての指導にも携わっている。

日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事
動物介在教育・療法学会(ASAET)理事
CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer Knowledge Assessed)

株式会社 Animal Life Solutions
スタディ・ドッグ・スクール
スタディ・ドッグ・スクール ペットドッグトレーナー育成コース

 

犬のトレーニング法も知らずに、行動治療はできない

犬は、幼い頃から飼っていましたが、両親の飼い方にはずっと違和感がありました。病院にも連れて行かず、3~4年で死んでしまう。拾ってきた犬なので、「死ぬはずだった子が3~4年生き長らえたんだから、いいじゃないか」というのが、親の言い分。僕は納得できなくて、しょっちゅう犬の飼育のことについてケンカしてましたね。

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大学は、麻布大の動物応用科学科へ進学。1回生のときに、雑誌で「問題行動治療」の特集を読み、犬の心の問題やしつけの重要性にすごく興味を惹かれました。でも、当時は大学に犬専門カリキュラムがあるわけでもなく、犬の勉強はできないまま。それが、4回生になって、動物人間関係学の専門家である太田光明先生が赴任してこられ、「犬の問題行動の研究をやりたい人間がいたら、大学院に来ないか」と。もう卒論そっちのけで、大学院進学にまっしぐらでした。

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犬の問題行動の原因の一つに挙げられるのが、飼い主さんのしつけ不足です。「犬のトレーニング法も知らずに、行動治療ができるか」と先生にいわれ、学生仲間と一緒に、飼い主さんを集めてのしつけ教室を立ち上げたのが2001年、24歳のとき。「スタディ・ドッグ・スクール(以下SDS)」の始まりです。

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子どもの頃から、つねに犬と暮らしてきた鹿野さん。現在の愛犬は、ジャーマン・シェパードの殿くん(左)とスタンダード・プードルの柔ちゃん(右)。ちなみに柔ちゃんは、結婚前は奥様の愛犬だった。

 

今の飼い方で、この子は不幸じゃないですか?

SDSには、お子さんのいる40代半ばの主婦の方も相談に来られます。子どもの情操教育のために犬を飼い始めたけれど、結局、世話や面倒は、お母さん一人が背負い込むことになるパターン。インターホンに吠える、他の犬と仲良くできない。
思い描いていた犬との生活とは全然違う…。日本人は真面目だから、どんどん追い込まれて、育児ノイローゼみたいになってしまうんですね。一人で抱え込まずに、しつけ教室に来て、トレーナーに相談したり、他の飼い主さんと悩みを共有するだけでも、精神的な支えになるはずなんですが。

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犬によって生まれた環境や性格も違えば、飼い主さんとのマッチングもある。幸せのかたちは、飼い主さんと愛犬の組み合わせの数だけある。

 

「今の飼い方で、この子は不幸じゃないですか?」。飼い主さんからよく聞かれます。今、世間では「どこにでも一緒にお出かけできる犬が良い子」みたいなアピールが強すぎる気がします。例えば、シェルターで保護された、十分な社会化もできずに育った犬や、もともと怖がりな性格な犬を、人の価値観で無理にいろいろな場所に連れまわすことが幸せでしょうか。幸せは「十人十色」。個別のカウンセリングを通じて、犬にとっても飼い主さんにとっても、無理がなくそれぞれに適した方法を見いだすことが大切です。その架け橋となるのが、トレーナーの役割だと思っています。

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こんな顔が見られたら、それだけで飼い主は幸せになれそう。

 

「コマンドを教える」だけでは、解決できないこともある

犬のトレーニングといえば、かつては、訓練士さんが罰を使うことも含めた上での特殊技能でした。それを、おやつとほめることで、誰でも簡単にコマンドを教えることができるよ、と一般化したのが、近年、もてはやされてきた陽性強化法です。しかし、僕は、陽性強化法を用いたコマンドトレーニングだけでは飼い主さんの本当の悩みは解決できないと思っています。

例えば、散歩中に他の犬に吠えかかるというケースで、「犬が言うことを聞かないのは、飼い主さんとの信頼関係ができていないから。もっともっと褒めてあげましょう」といった抽象的なアドバイスをする方もいます。でも、それが捕食性攻撃行動といった犬の本能が強く影響する行動だった場合、オスワリやフセを教えるだけではなかなか直せないこともあります。本当の意味での行動要因は、犬の生態を知らなければわかりません。
僕たちは、コマンド・トレーニングだけに頼らず、個別のカウンセリングを通じて、深いところまで犬の行動を予測して、行動修正に役立てています。

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飼い主さんは、自分が愛犬とどんなライフスタイルを築きたいのか、どんな幸せのかたちを望んでいるのか。一度「愛犬との将来像」を描いてみるといいと思います。愛犬についての問題や困り事、それに対して「こうありたい」という目標を書き出してみる。そうすることで、理想と現実のギャップが見えてきます。そのギャップをどうにかしたいと思うなら、しつけ教室に通うのが一番の近道です。飼い主さんのなかには、愛犬とカフェで過ごすのが目標で、毎回、カフェで出張レッスンを受けている方もおられます。どうか、悩みを一人で抱え込まないでください。

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最近、鹿野家に赤ちゃんが誕生した。事故が起きないよう、犬たちと居住空間を分けたり、鹿野さんか奥様の目の届くところでしか犬たちとは接触させないようにしているとか。今後は「子どもと上手に遊んでくれて、子どもがいたずらをしても、寛大な心で受け入れてくれたら嬉しいんですが」と鹿野さん。 

 

【後編】いよいよSDSのレッスンに潜入!!

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