猫にもボーイズラブがある!? おもしろ恋愛事情 by富田園子

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上の写真は、我が家のオス猫たちです。「君たちはおホモだち?」といいたくなるほど、いつでも一緒。我が家にはお年頃のメス猫もいるのですが、不妊手術済のせいかオス猫たちを冷たくあしらい、近づくと容赦なく威嚇して猫パンチをくらわせるため、オス猫どうしでくっつくしかなかったのかもしれません…。

「まあでも、仲がいいだけで、猫にホモはありえないでしょ」なんて思っている方。どっこい、猫の世界にもボーイズラブは存在するのです!

 

オス猫がオス猫に交尾する!?

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上の写真は、後ろがベンガルのリル君(8歳)、前がアビシニアンのいち君(4歳)。リル君がいち君を襲っているところです(笑)。リル君はいち君にご執心で、丹念に毛づくろいするなど、常に愛をアピール。隙あらばこうして後ろから襲い掛かって、いち君に嫌がられています(笑)

猫の世界では、メスがいれば、基本ボーイズラブはありません。本能的に、オスはメスを好きになるのが普通だからです。しかし、オスしかいない環境だと、ボーイズラブが発生します。リル君宅にもメス猫がいないため、リル君の愛がいち君に向かったのでしょう。

 

本来の交尾姿勢にそっくり!

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猫の交尾は、オス猫がメス猫の上にかぶさり、首の肉を噛んで行います。首の肉を噛むのは、猫はここを掴まれると、じっとするという本能があるため、メスをおとなしくさせるために、オスは首の肉を噛むのです。

※母猫は子猫の首をくわえて運びますが、こうすると子猫は本能的におとなしくなります。運ばれている最中に暴れたら危険だからです。その本能が成猫にも残っているため、猫は首の肉をつかまれるとじっとします。

boyslove_3-2子猫を運ぶ母猫

オスどうしの「交尾もどき」も、オスメスの交尾とそっくりな姿勢です。単なるマウンティングとは異なり、首の肉を噛むことから、「交尾」を目的としていることがわかります。

 

boyslove_4隙あらばいち君に覆いかぶさり、首の肉を噛もうとするリル君(笑)

 

強いオスが、弱いオスをメスに見立てる

基本的に、上に多いかぶさる男役(?)が強いオス、組み伏せられる女役(?)が弱いオスです。この場合の強い弱いは、単に力の差だけではなく、なわばりの主であるかどうかも関係します。

例えば、新入り猫は、なわばり(家)を把握していないため、気が弱くなってしまいます。一方、先住猫はなわばりを熟知しており、強気でいられます。すると、先住のオス猫が新入り猫をメスに見立てて「交尾もどき」をすることがあります。

リル&いち君の場合もこれに当てはまり、先住猫のリル君がいるところへ子猫のいち君がやって来ました。初めて会ったときにいち君が子猫だったことも、関係しているのでしょう。体が小さい=メスっぽい、となるのです。

boyslove_5子猫の頃のいち君。アビシニアンだけあって、4歳のいまも細身で美猫。リル君がべっぴんさんと間違えても仕方ない…?

 

野良猫にもある、ボーイズラブ

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実はこのボーイズラブ、野良猫の世界でも見られるといいます。「あれ?ボーイズラブが発生するのはオスしかいない環境では。野良猫には必ずメスがいるから、ありえないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、野良猫には必ずメスがいるので、オスの愛が同性のオスに向かうのは普通ありえないことです。しかし、現実には多くの目撃例があります。

九州の相の島の野良猫観察を7年間続けた山根明弘氏は、発情期にオスどうしの「交尾もどき」を幾度も目撃しています。そしてその多くが、ある特定のシチュエーションで起こっていることに気づきました。

そのシチュエーションとは、
発情しているメスの周りを多くのオスが取り囲んでいる(交尾を狙っている)。メスがなかなか交尾を許してくれなかったり、逃げてしまったときに、体の大きいオス猫が近くにいた若オスに「交尾もどき」を行う
というものです。

察するに、交尾の欲求が限界まで高まっているのに、なかなかメスが交尾を許してくれないため、「うわ~、ムラムラする!もう限界!」とばかりに、たまたまそばにいた体の小さい若オスに乗っかってしまったのでしょう…(笑)。ですからボーイズラブというより、単なる欲求のはけ口ですね。若オスは気の毒としかいいようがありません…。

ちなみに、上に乗っかるほうのオスは、
ほとんどが5歳以上
平均体重が4㎏以上(野良猫としては重いほう)
メスとの交尾経験あり

乗っかられるほうの下のオスは
2~4歳の若いオス(半数が2歳)
平均体重が約3㎏(軽め)
メスへの交尾経験なし(つまり一人前のオスとは認められていない)

というデータが残っています。
やはり、強いオスが弱いオスをメスに見立てるという図式です。

 

下の猫も、まんざらではない場合も!?

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強い猫が弱い猫を無理やり襲う、というケースばかりではなく、相思相愛のボーイズラブも存在するのかもしれません。というのは、女役のほうのオス猫が、まるで交尾を許すかのような行動をとることもあるからです。

ご説明しましょう。オス猫はメス猫の協力なしに、交尾を成功させることはできません。交尾をしようとしても、メス猫がしっぽで自分の生殖器を隠したり、おしりを下につけたりすれば、オス猫は自分の生殖器を挿入することはできません。つまり、オス猫が嫌がるメスを無理やり強姦することはできないのです。

その気があるメス猫は、腰を少し高く上げ、しっぽを横にずらすなどして交尾しやすいような姿勢をとります。それと同じようなポーズを、女役のオス猫がすることがあるのです。

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理由はよくわかっていません。動物の同性愛は哺乳類から鳥類まで多く観察されており、同性の衝突を避けるためという説や、異性を相手にしたときの練習のためという説などさまざまな説があります。動物学者のパウル・ライハウゼン氏は、「猫にもバイセクシャルな性格がある」と述べています。

真相は解明されていませんが、幸せそうなリル&いち君を見ると、「相思相愛のボーイズラブもあるのかも」と思えてきます。

boyslove_9いち君の股間のニオイを嗅ぎながら(?)眠るリル君。幸せそう(笑)

 

 

編集&ライター/日本動物科学研究所会員 富田園子ペットライブス,PetLIVES,猫,富田園子,日本動物科学研究所会員,うちの猫のキモチがわかる本,はじめての猫 飼い方・育て方,うちの猫の長生き大事典,猫と一緒に暮らす女の子のための飼い方ブック,幸せなハムスターの育て方,小鳥のキモチ

幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物行動学に興味をもつ。猫雑誌『うちの猫のキモチがわかる本』の編集統括を8年務めたのち、独立。編集を担当した書籍・雑誌に『マンガでわかる猫のきもち』『決定版 猫語大辞典』『はじめての猫 飼い方・育て方』『うちの猫の長生き大事典』『猫と一緒に暮らす女の子のための飼い方ブック』『幸せなハムスターの育て方』『小鳥のキモチ』『幸せな文鳥の育て方』『フレブル式生活のオキテ』など。6匹の猫と暮らす愛猫家。

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