100万冊から猫探し。東京国際ブックフェア「猫本」レポート by猫ジャーナル

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「秋の夜長」という名の、夜更かし読書の解禁日となった9月23日、東京ビックサイトで開催初日を迎えた「第23回 東京国際ブックフェア」。世界20カ国から470社が出展し、100万冊の本が展示・販売される日本最大の本の展示会です。

さまざまなジャンルの出版社から、雨後のたけのこのごとく猫本が登場する「猫本界隈の今」を見つめるべく、猫ジャーナルが足を使って取材をして参りました。猫ジャーナル視点で気になった猫本を紹介します。

 

発売40周年!アラフォーの心をつかむ「ノンタン」シリーズ

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最初に目を留めた猫本は、皆さまご存じの白猫ノンタンシリーズ。シリーズ第一作目『ノンタン ぶらんこのせて』の発売が1976年で、今年はちょうど40周年、舞浜だったら特別パレードが一年間続くレベルのアニバーサリーイヤー。シリーズ累計の発行部数は3100万部超で、平積された『ノンタン ぶらんこのせて』の奥付をチラリと見たところ、初版の刷数は351刷、第二版が67刷という圧倒的な数値でした。

ブースに山と積まれた「ノンタンシリーズ」に、老若男女が次へ次へと吸い込まれ「かわいい」「なつかしい」「これも買おう」との声が飛び交い、スタッフの方々も大わらわでした。現在の最新刊は『ノンタン スプーン たんたんたん』で、9月28日には『ノンタン ピクニック ららら』が発売になります。この調子で50周年を迎え、猫絵本界の山本昌を目指していただきたいと願っております。

猫目力で大人も子供も惹きつける『ネコヅメのよる』

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研ぎすました爪を舐め舐め、「ここまで来て買わない?どういうことかわかっとるんやろな」との無言のメッセージを放出する化け猫めいた表紙の『ネコヅメのよる』。作者の町田尚子さんの飼猫「白木(しろき)」をモデルにした、怪しい猫の夜のお話。

発売直後重版決定現在6版大躍進とのことで、大人に人気かと思いきや、この猫絵が子供にも大人気。いろんな柄の猫が所狭しと集う見開きページでは「うちの猫、これ!」と、お子さんによるマイ猫探しが始まるのだとか。

書店員さんや、他の出版社の方にも人気が高いとのことで、まず自分や自分たちの身近な人に喜んでもらえるものを作るのが、結果的に売れるという理想例と言えるでしょうか。9月28日(水)から10月14日(金)に、浅草のギャラリー&猫カフェ「ギャラリー・エフ」で、本書の全原画を生で見られる原画展が開催されるとのこと。

「犬猿の仲」を英語に訳すと…「猫と犬の仲」!?

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丸善出版の子会社で、自費出版書籍などを企画・提案・制作・販売する「丸善プラネット」のブースで見つけたのが『動物にたとえる英語表現辞典』「猫に小判」とか「犬猿の仲」といった動物を使った慣用表現の英語訳をまとめた辞典です。訳文は動物ごとにまとめられ、日本語の猫慣用句ってこんなにあるんだ、という発見も得られる一冊。

著者の山田雅重氏は多くの大学で時事英語やビジネス英語の講師を務め、英語関係の著書も多数。ブースで出版社の方に伺った話では、著者からの提案で生まれた一冊で、出版後すぐに重版がかかる人気の本になったとのこと。猫慣用句の対訳を見るだけでも、日本人と英語圏での、動物に対するイメージの差が如実に表れ、比較文化を探る上でも興味深いものでした。

猫を愛でるとフランス語が目に入る、一挙両得な外国語学習

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なんともかわいい子猫の写真に釣られ、ふらふらと引き寄せられたのは、フランス在住の編集者&カメラマン酒巻洋子氏による、フランス語会話シリーズの13弾目で、8月に発売された新刊『猫とフランス語』

写真もすべて酒巻氏の手によるもので、おフランスの猫たちを堪能できます。猫写真にまつわるフランス語の短文と日本語訳&解説を読んでいると、猫写真を愛でていただけなのに、いつの間にかフランス語の勉強になる、一石二鳥ならぬ一猫二鳥的な一冊です。

賢く見えるのは一緒にいる人のせい?『作家の猫』

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常時十数匹の猫と暮らした大仏次郎や、飼猫が行方不明になり新聞に猫探し広告を出した内田百閒など、猫を愛した文豪には枚挙に暇がありませんが、そんな作家たちと猫の写真を集めたのが『作家の猫』『作家の猫2』

ともに数万部の売上を記録した写真集は、平凡社がかつて発行していた『月刊 太陽』の1997年5月号「特集・猫と作家の物語」に掲載された猫写真を中心にまとめられたもので、文筆家のほか、作曲家や建築家、漫画家と猫の仲むつまじい写真も。一冊目の表紙猫は、中島らも氏の愛猫「とら」、二冊目は谷啓氏の「ゴマ」ちゃん。飼い主の名を聞くと「それっぽい」と思ってしまうのが不思議であります。

猫本オンリーブースに講談社の意気込みを感じる

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今回、猫本探し視点で、もっとも力を入れていたのが講談社です。ブース丸ごと猫本オンリーという、極端な猫シフト攻勢をヒシヒシと感じた次第です。その総大将となるのは『チーズスイートホーム』の主役・チー。コミックス全12巻による「平積みの陣」のほか、10月2日から放映が開始した3DCG版「こねこのチー」関連グッズが山と積まれる物量作戦を展開。

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このほかにも、新旧猫本コンテンツの層の厚さをまざまざと見せ付ける豪華な展示ブースには、『What’s Michael?』『ねこだらけ』などの猫漫画、『猫にかまけて』『猫とあほんだら』など猫文学作品などなど、猫本一色。

2013年12月にJR原宿駅構内で掲出された、猫絵本の重鎮中の重鎮『100万回生きたねこ』の「ふわもこ広告」のポスターも展示するなど、猫にかける意気込みを感じられました。モフモフはさわり心地最高でした。

ブックフェア_82013年12月にJR原宿駅構内で掲出された、広告用ポスター

各社の方にお話を伺ったところで、共通するのは「猫本は犬本に比べて売れ行きが良い」「『犬』は犬種による差が大きくセグメントが細分化されるが、『猫』はひとくくりでファンにリーチするため部数が伸びやすい」という見解でした。そのため、猫本企画が通りやすく、猫本無双状態に拍車をかけている状況がうかがえます。この機に乗じて、猫と人との関係性に光を当てる書籍が、一冊でも多く生まれることを願う次第です。

以上、会場を右往左往し、目に留まった猫本を駆け足で紹介した次第ですが、検索だけでは出会えない猫本にも出会える一日となりました。足を運べなかった方には、10月28日〜11月6日の期間で開催される「神田古本まつり」での猫本探しもオススメです。

 

by nekojournal_logo200x51
すべての猫と、猫を愛するすべての人のために、猫情報をお届けするブログ「猫ジャーナル」。管理人である猫ジャーナリストによる書き下ろし記事です。

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