猫専用アパートメントGatos Aptで実践して喜ばれているコト by木津イチロウ

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※写真はSeilan Apt入居の猫です。

前回の記事で、”Gatos Aptは猫トイレの置き場所にこだわっていること”について書かせていただきました。今日は、最初から意図していたワケではなく、Gatos Aptの入居者さんたちと話している中で生まれ、喜ばれた仕掛けについて書きたいと思います。

 

賃貸オーナーや大家さんの顔、知っていますか?

そもそも私は「よーし、アパートを建ててオーナーになってやろう!」などとは微塵も思っていませんでした。なにせ私、借金するのが大っ嫌い。なので自身の住まいは一生、賃貸で良いと思っていました。(では、何で猫専用賃貸を作ることになったのかは、こちらをご覧ください)

マンション、アパート、テラスハウスから一軒家まで、色々な賃貸で生活してきましたが、こうした賃貸に、私は共通した印象を持っています。それが「大家さんの顔を知らない(知っていても挨拶程度)」ことと「隣の部屋の住人を知らない」ということ。近隣住民に至ってはほぼ100%、知りません。私は住人らしき人と玄関ロビーですれ違ったり、同じエレベーターに乗り合わせると積極的に挨拶するよう心がけているのですが、特に大きめのマンションでは、怪訝そうな顔をされることも少なくありません(苦笑)。

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※写真はSeilan Apt入居の猫です。

都市圏では「当たり前」の光景になっているほど、近所付き合いが希薄です。また、あるマンションでは管理会社からこう言われたことがあります。「最上階にはオーナーさんが住んでいますが、絶対に話しかけないでください。何か不具合や困ったことがあったら我々に連絡してください」と。

実際、そのマンションではちょくちょくオーナーのお父さんが玄関を掃除したり植木に水をやったりしていたので、元気良く「おはようございます!」とご挨拶していました。が、目を合わさずボソッと「…行ってらっしゃい…」とつぶやくような声で返してくれるだけで、「俺に話しかけてくれるな」というオーラをプンプンと放っていました。こうした没交渉な隣人/大家との関係に、もの凄く違和感を感じていたのです。

 

「猫好き」という共通点で、すぐに仲良くなれる

Gatos Aptを建て、最初の入居者さんを募集した時、嬉しいことに多くの方が内見に訪れてくださいました。その方々とは、時間を合わせて直接お会いしました。“大家の心情”として、興味を持ってくださった方がどんな猫と暮らしていてどんな人なのか、知りたいからです。同時に、入居者さんも「大家」を知ることになります。

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Gatos Aptのパーティーで、猫同士が初対面!

お互い「猫好き」という共通項があるため、会話も弾みます。自然と「ウエルカムパーティーをやりましょう!」という話になり、程なくGatos Aptの住人全員が一堂に会しました。年代も、バックグラウンドも違う人々でも「猫」という共通項の元、すぐに仲良くなれます。時には住人同士でピラティスをやったり、飲みに行ったりと、親交を深めてくれました。

 

猫を飼っていても、旅行に行ける!

Gatos Aptで何度目かの飲み会を行っていた時のこと、入居者さんの一人が「私、生まれてこの方、海外旅行に行ったことがないんです」と。理由は「猫がいるから」。猫は臆病な生き物なので、ペットホテルなどに預けることを躊躇する飼い主さんが沢山います。こうした猫の習性を知る人ほど、せいぜい二泊三日の旅が限度になります。

猫は犬と違い、社会性の薄い生き物なので、ペットホテルでも狭いケージの中でブルブルと震えて、小さくなってしまう子がほとんど。飼い主としては、可愛い我が猫に、こんな思いを味わわせたくないのです。旅行に行けないこの入居者さんは、正にこのタイプでした。若い女性ゆえ、他人を部屋に上げたくないという理由でキャットシッターの利用も躊躇されていました。

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Gatos Apt入居者さんのお宅へ、キャットシッティング訪問中の筆者

私はとっさに「じゃあ、我々が猫の面倒をみますよ」と提言したのです。他の入居者さんも同意して、シッター役を買って出てくれました。大家⇔入居者、入居者⇔入居者の交流によって、信頼関係が生まれていたため、「お願いします!」と、その方は人生初めての海外旅行へ行くことができました。

 

猫好きは、どんな猫も好きという事実

これまで「私は自分の猫だけが大好きで、他の猫は嫌い!」という方に会ったことがないのですが、洋の東西を問わず、猫好きは押しなべて(ほぼ100%)、「どんな猫も好き」という方が多い。キャットシッター役を買って出たのには、「あの猫たちと遊びたい!」というもう一つの理由があったことも事実。なので、仕方なく行くのではなく、積極的に行きたいのです。

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※写真はSeilan Apt入居の猫です。

これは他の入居者さんも同じだったようで「1日1回の訪問で良いですよ」と言われているのに、組んだ当番シフトを見ると「朝は私、夜は入居者さん」と、1日2回体制になっているのです(笑)。この様に、猫専用アパートメントには、生粋の猫好きしかいないため、金銭の授受がなくとも、負担に思うことなくシッター役を回すサイクルが出来るのです。

 

コミュニティーは、防犯の役に立つ

住人同士が知り合えると、防犯に役立ちます。特に女性の場合、お隣がどんな人かを知ることは、生活をする上で安心感に繋がりますよね。コミュニティーの一員であることを自覚すると、知らない人がいたら「どちらにご用の方ですか?」と自然に声をかけられるようになるからです。この事は、オートロックや防犯カメラを装備するより、遥かに実質的な防犯効果を生むのです。

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Gatos Apt入居者さん宅のバルコニーではしゃぎまくる猫たち

 

自然に生まれた住人コミュニティー

これまでの賃貸住まいで感じていた、殺伐とした都会の住環境をどうすれば解消できるかと考えて運営を始めたものの、「旅行に行けるようになった!」と実質的なメリットが生まれたことは嬉しい驚きでした。

猫と住みたい人が「あると良いな」と思っているサービスの堂々1位「旅行中や外出中の世話代行サービス」(一般社団法人ペットフード協会 平成25年度版犬猫飼育実態調査より)が、図らずも住人同士の相互扶助によって実現してしまったのですから。

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※写真はSeilan Apt入居の猫です。

とは言え、Gatos Aptでは住人コミュニティーへの参加を強制していません。あくまできっかけ作りをするため、入退去があった際にパーティーを開く程度。なので年に1,2回です。それでも退去された方がパーティーに参加してくれたり、猫を介した友達付き合いがずっと続いている方がいたり。先日は、退去された方から「旅行に行くので、猫の世話をお願いできませんか?」と依頼されるほど(笑)。私自身は、こうしてリアルな猫友だちが出来たことが一番、嬉しいのです。

 

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Gatos Apartment代表/猫専用賃貸コンサルタント
木津イチロウ

木津さんプロフィール写真161x161レコード会社でディレクターとして12年間従事したのち、KDDI(株)ヘ転職、LISMO立ち上げに関わる。無類の猫好きが高じ、保護した野良猫たちのために家を建てることを決意する。2011年、世界初の猫専用デザイナーズ・アパートメント Gatos Apartmentを東京・杉並区に竣工。Gatos Aptを通じて知り合ったネコ好きな人々の声を聞くうち、人と猫が快適に過ごす社会を作りたいと、猫専用物件に関するコンサル業務のほか、猫に関するWebサービス、商品を構築/開発中。
Gatos Apt公式サイト

 

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