「猫ごはん」考〜手作りトッピングに挑戦!(1)

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皆さんちの「猫ごはん」はなんですか。ドライフード派?ウエットフード派?それとも手作り派?

我が家のゴロウちゃんの場合は、ドライにウエットをちょい足し。それに猫用かつお節をかけてあげたらすっかりハマり、以来、毎食期待しているようです。でも、塩分控えめの猫用と言えども、かつお節はリンが多く含まれるので摂りすぎが心配。もっと、健康にもよくて喜びそうなトッピングができないものか?
ということで、PetLIVES「獣医師コラム」でもおなじみ、手作り猫ごはんを実践する古山範子先生にお話を伺い、手作りトッピングに挑戦してみることにしました。

LIFE,ペット,猫,宮村美帆,手作りトッピング,猫ごはん,古山範子,栄養,ペットライブス,PetLIVES獣医師 古山範子先生
麻布大学獣医学科卒業後、動物病院に勤務。その後、動物の心と体の健康を願い、手作り食をはじめとする自宅でできるケアを探求。横浜市の自然療法専門の犬猫クリニック「チロとサクラのクリニック」に非常勤として勤務。監修本に『てづくり猫ごはん』(大泉書店)。

 

手作りトッピングで、栄養だけでなく愛情もプラス

ゴロウちゃんのごはんをドライ+ウエットにしているのは、少しでも水分補給の足しになればということと、入院や災害時の避難所暮らしなども想定して、いろいろものを食べられるようにしておきたい、という考えから。それに、“乾き物”だけでなくウエットをプラスしたほうが、ヒト目線ではありますが、なんとなくおいしそうに見えるし……(^^)

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ゴロウちゃんの普段のごはん。ウエットを上にトッピングするとそれだけ先に食べてしまうので、ドライの下に隠してあります。風味づけにかつお節やささみふりかけをぱらりとかけます。

「市販のキャットフードは栄養バランスには優れているけれども、飼い主の愛情が不足しているんですよね」という古山先生は、ご自宅の愛猫6匹に手作りごはんを実践しています。手作りを始めたきっかけは、ご実家の猫が高齢になり食が細くなったこと。ドライフードをあげていたときはちょこちょこ食いだったのに、手作り食にしたらペロリと平らげて元気にもなり、すばらしさを実感。以後、完全手作り食派になったそうです。
「うちは6匹なので競い合ってむしゃむしゃ食べています。おいしそうに食べて、完食してくれる喜びはやっぱり大きいですね」

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古山家の猫ごはん風景。本当に夢中。野菜もしっかり食べるんですね!(写真提供/古山範子先生)

手作り食の一番のメリットは、肉食動物である猫に良質なタンパク質を与えることができて、水分補給もできること。また、人が体調が悪いときにおかゆを食べるように、愛猫の体調に合わせて食材を工夫して健康面でのサポートもできることだと言います。

「ドライフードは本来の猫の主食ではない穀物ベースなので、きちんと食事管理をしないと太りやすく、体型もぽちゃっとします。けれども、肉や魚からタンパク質をしっかり摂るようにすれば、猫らしい筋肉質のしなやかな体つきになります。唯一デメリットだと感じるのは、人の食べ物をほしがることですかね。買ってきたブロッコリーを盗み食いされたこともありました(笑)。調理中は、猫たちを廊下で待たせたり主人に見張ってもらったりしています」

太ってはいないけど、最近、ゴロウちゃんのお腹のたるみが気になってきたので、「筋肉質」というキーワードに心惹かれました。完全に手作り食にするのは、栄養バランスを保つ自信がないのでハードルが高すぎるけど、総合栄養食のドライフードを主体にしたトッピングならできそうです。早速、先生にポイントを教えていただきましょう。

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あん?なんかボクの悪口言ってる??

手作りトッピングを成功させるポイント

ドライフードは給与量の7割にして、そこに肉や魚を1日40〜50g、野菜10gをプラス(体重4〜5kgの目安)。これならば必要な栄養は、きちんと摂ることができます。

調理の基本は、素材をゆでて細かく刻むこと。味付けは必要ありません

●ドライフードしか食べたことがない場合は、肉や魚をゆでるのではなく、焼いて少しカリカリにした状態から試し、少しずつ水分量を増やしていきます。

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「最初はトッピングせずに、別盛りにして様子をみるのもよいでしょう」

●同じ食材ばかりにならないように、いろいろなものを与えましょう。野菜や魚は旬も意識してください。旬の食べ物にはその気候に合うように体調を整える働きがあります。

最初は食べ慣れているフードのフレーバー(チキン、フィッシュ、サーモン、白身魚、かつお、まぐろなど)の食材を使うと、猫の抵抗感が和らぎます

【おすすめの食材】
●肉
鶏肉には猫に必要なアミノ酸がバランスよく含まれます。ささみはカロリーは低いけれどリンが多いので与えすぎに注意。カルシウムや鉄分が豊富なもも肉はよい食材です。ビタミンやミネラルを豊富に含むレバーハツなど鶏の内臓系もおすすめ。砂肝は消化器、ハツは心臓の働きをサポート。牛肉は良質なタンパク質と、鉄分や亜鉛などのミネラル、ナイアシン、カルチニンなどが豊富。脂肪分が少ない赤身がおすすめです。豚肉はビタミンB1が豊富ですが、猫には消化しにくいので、脂肪の少ない部分をしっかり加熱して与えます。

●魚
肉類と同様に良質なタンパク源。タラ鯛などの白身は脂肪分が少なくて、アミノ酸のタウリンが豊富。アジやサバにはDHAやEPAなどの良質な脂肪酸も含まれます。マグロの赤身やカツオの血合いもおすすめ。

●卵
栄養満点。新鮮な卵黄は生でもOKですが、白身は必ず加熱しましょう

●野菜
水分補給にもってこい。食物繊維も摂れるので毛玉ケアにもなります。

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ゴロウちゃんに半熟卵を与えてみたら、けっこう気に入ったようです。食べ慣れておくと、粉薬などを混ぜるときにも便利です。

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いろいろな食材を少しずつ。「猫は肉食だから野菜はいらないのではと思う人も多いようですが、野生時代には草食性のネズミなどが猫の獲物であり、その内臓を食べることで間接的に植物性のものも摂っていたので、少量与えるのは効果的です」

 

【注意が必要な食材】
煮干しかつお節はリンやマグネシウムを多く含むので、与えすぎに注意しましょう。

なすじゃがいもピーマンなどナス科の野菜の芽やへたには、ソラニンという毒素が含まれるので、芽やへたはしっかり取り除き、生の状態ではなく必ずゆでて与えましょう。

【食べさせてはいけない食材】
玉ねぎ長ねぎニラなどのネギ類貝類の内臓(わた)生のいかたこえびチョコレートココアは、それぞれに含まれる成分によって、中毒を起こす危険があります。ハムソーセージなど加工品は、塩分食品添加物を多く含むので与えないようにしましょう。

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「猫は犬にくらべると、食べ物のこだわりが強い動物ですから、せっかく作ったのにすぐには食べてくれないことも多々あります。そこでがっかりしてあきらめないで、試行錯誤を楽しんでみてください」

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おいしそうな写真付きでレシピがくわしく載っています。「便秘のとき」「太りぎみのとき」など「病気、食事に気をつけるときのレシピ」も載っているので参考になります。

『てづくり猫ごはん 健康と幸せな毎日のための簡単レシピ60』
監修:古山範子

てづくり猫ごはん―健康と幸せな毎日のための簡単レシピ60

ゴロウちゃんの反応やいかに?手作りトッピングの様子は(2)へ≫

<関連リンク>

 獣医師コラム 「猫の食事」

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毎日の食事の質が健康に直結するのは、人も猫も同じです。「栄養管理はフード任せ」の飼い主さんも多いかもしれませんが、猫がどんな動物で、どんな食性をもっているのか…獣医師に聞きました。
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宮村美帆

フリーエディター、愛玩動物飼養管理士 動物好きの両親の影響で、子どもの頃から、犬、小鳥、ハムスター、鈴虫、錦鯉など、何かしら生き物がいる環境で育つ。動物看護師として2年間の動物病院勤務を経験した後、猫の月刊誌『CATS』の編集者に。その後、人と動物の今を考える雑誌『季刊リラティオ』の編集などを経てフリーランス。エディター、ライターとして、ペット(動物)、児童書(図鑑)、実用書、デジタル情報辞典などを手がける。 ずっと犬派だったが、動物病院勤務で猫の魅力に目覚め、猫雑誌の編集でどっぷりハマる。獣医…

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