日獣大 獣医行動学の入交先生に聞く! 猫の鳴き声大検証 ~おしゃべりなゴロウちゃんの猫語を理解するために① by 宮村美帆

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普段はうるさいくせに、実家に連れて行くとまさに「借りてきた猫」状態でおとなしくなります。

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我が愛猫・ゴロウちゃんはとってもおしゃべり。ウニャン、ニャオ~ンとしょっちゅう私に語りかけてくるのですが、ときどき何を言っているのか「?」のときもあります。
犬ほど大きな声ではないけれど、頻繁に鳴けば近所迷惑にならないか気になりますし、忙しいときにしつこく鳴かれると、正直イラッとすることも……(^^;)

そこで今回は、鳴き声=猫の「ことば」を正しく読み取って、もっとコミュニケーション上手になれるよう、「猫語」を徹底検証。
獣医行動学がご専門の日本獣医生命科学大学の入交眞巳先生にゴロウちゃんの鳴き声も聞いていただきながら、お話を伺いました。

 

【 入交眞巳先生 プロフィール 】

入交眞巳

獣医師 入交眞巳(いりまじり・まみ)

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科講師。獣医師。米国獣医行動学専門医。学術博士。動物病院に数年間勤務した後、アメリカに留学。アメリカ・インディアナ州立パデュー大学で博士号取得。ジョージア州立大学獣医学部にて獣医行動学レジデント課程を修了。帰国後、北里大学動物行動学研究室専任講師を経て現職。


猫はなんのために鳴いているのか?

そもそも猫にとって、鳴き声はどのようなコミュニケーションツールなのでしょうか?
入交先生、教えてください。

「確かに猫の鳴き声はコミュニケーションをとるための方法の一つですが、実は猫同士ではそれほど鳴き声で会話はしていません。母猫と子猫の交流や、威嚇や警戒などのシグナルとして鳴くことはありますが、オトナの猫同士では耳の動きや姿勢、しぐさなどのボディランゲージで確認し合うことのほうが多く、むしろ、鳴き声は人とのコミュニケーションのために頻繁に使われます。日常的に耳にする『ニャン』という鳴き方は、もともとは子猫が母親に何かを求めるときの鳴き方。多くの場合、飼い主に注目してもらいたくて鳴くのです

「ひとりと1匹暮らし」をしてると、愛猫に話しかける機会も自然と多くなりがちですが、そのこととおしゃべりになることと関係はありますか?

「よく鳴くか鳴かないかは個体差もありますが、鳴いたときに言葉をかければ、注目されるからよく鳴くようになるということはあると思います」

あっ!ゴロウちゃんがおしゃべり野郎になった原因は、私にもあったのかも(^^;)

 

ペットライブス

「な〜に? 呼んだ?」(左)「もう〜。ボクの言ってること、ちゃんと聞いてる?」(右)

 


鳴き方と気持ちを検証! 「猫語翻訳」

猫の鳴き声のバリエーションはさまざまです。基本的に要求や甘え、危険を知らせるときなどは高い声になり、威嚇や警戒をしているときは低めの声になると言われています。そこで、代表的な猫語(鳴き声)の意味を、翻訳して整理してみました。
*ただし、猫の鳴き声には個体差があり、状況によっても変化するので、この限りではないこともあります。

<参考文献:『動物行動医学 –犬と猫の問題行動治療指針』(著:Karen L.Overall 、監修:森 裕司、チクサン出版社刊)『ドメスティック・キャット その行動と生物学』(著:デニス・C. ターナー 、パトリック・ベイトソン、監修:森 裕司、チクサン出版社刊)、『DOMESTIC ANIMAL BEHAVIOR for Veterinarians and Animal Scientists』(KATHARINE A.HOUPT著、Wiley-Blackwell刊)、『キャット・ウォッチング2』(デズモンド・モリス著、平凡社刊)>


◎「ニャオ」「ニャッ」(meow) → 「やあ!」

親しい相手へのあいさつや名前を呼ばれたときの相づち。機嫌は上々。


◎「ニャーン」「ニャオーン」 (meow) → 「○○して~」「○○がほしいよ~」

おねだりするときやかまってほしいときなど、注意を自分に向けさせるための鳴き声。内容や状況に応じて鳴き方を微妙に変化させる。

 

■ゴロウちゃんの「ことば」① 「もっと注目して~」「ごはんちょうだい~」

こんな感じで、しょっちゅう私を呼んでいます。要求の多い猫です(^^;)

 「はっきりした声や小さな声、情けない顔など、トーンや表情はいろいろですが、どれも、注目されたい、かまってほしい、何かしてほしいと訴えているようです」(入交先生)

 

■ゴロウちゃんの「ことば」② 「お帰り~♡」

外出から帰宅すると、大歓迎してくれます。

 「あちらこちらにスリスリするボディランゲージが見られます。これは甘えを全身で表現していますね。わーい、お帰りお帰り~♡という感じでしょうか」(入交先生)


◎「グルル」「チャー」「チーチー」(chirr) → 「いっしょに来て」

舌を転がすような細かい鳴き方。母猫が子猫を呼んだり、相手が近づくことを促したりする。

 

■ゴロウちゃんの「ことば」③ 「ん? なに?」

ひとりで遊んでいたりおとなしくしているときに、ふいに様子をのぞくとよくこんな声を出します。ゴロンとひっくり返ってお腹を出すこともあります。

 

◎「ミューミュー」「ムニャムニャ」(murmur) → 「ぶつぶつ」

口を閉じた状態で発せられるくぐもった声。つぶやき。


◎「ワオーン」「ウァーン」(moan) → 「吐きた~い」

低くて長く続くうめき声。毛玉などなにかを吐くときに聞かれる。


◎「ンギャー」「ミャ~オ~!」(shriek)→ 「こわいよ~」「やめて~」「あっち行け」

大きくて高いキンキン声やしわがれ声。不安や強い恐怖心、パニック状態、苦痛があるときなどに出す。猫同士のケンカや攻撃の前にも発せられ、「これ以上近づくな。来たら攻撃するぞ」という警戒や威嚇のシグナル。発情期のメスでも似たような声が聞かれる。

 

■ゴロウちゃんの「ことば」④ 「不安だよ~」

私が仕事から帰宅後、少し経ってからお風呂に入っていると大きな声で激しく鳴きます。しかも、浴室まで様子を見に来た後に、鳴き始めます。去勢済みなので発情しているわけでもなく??この意味がよくわからず、ずっと不思議に思っていました。

「不安なんですね。やっと帰ってきたと思ったらまた姿が見えなくなった。いるのに近寄れないし、バシャバシャ水の音はするし、不安に感じているのでしょう。合間に前足を舐めるのは、不安との葛藤状況による転嫁行動*です。あっ、また行っちゃったよぉ!という感じでしょうか」(入交先生)

*転嫁行動/動物行動学の用語で、動物が葛藤状態に陥ったときに見られる行動。猫では、不安感や恐怖心、強いストレスを感じているとき、毛づくろいすることで気を紛らわせようとする行動がよく見られる。


◎「キィィィー」「キャアアア」(squeak) →「痛い~!」

とても甲高くて大きいキーキー声。激しい痛みに対する叫び声。交尾後のメスでも聞かれる。


◎「ウウウウ~」「ングゥゥ」(growl) → 「来るな!」

のどから絞り出すような低音のうなり声。相手に対して恐怖心や敵対心を感じていることを示す警戒のシグナル。


◎「フーッ」「シャーッ」(hiss) 「ペッ」「カッ」(spot) → 「なんだよぉ!」「あっち行け!」「こわいよ~」

近づいてくる相手に、口を大きく開けて歯をむき出しながら発する声で、強い恐怖や怒りを感じているときに出す威嚇や警戒のシグナル。この警告を無視してさらに近づけば、猫パンチなどで攻撃してくる。


◎「カッカッカッカッ」「カチカチカチ」(chatter) → 「獲りたい!」「咬みつきたい!」

歯をカチカチと鳴らす歯ぎしりのような奇妙な鳴き方。窓から鳥を見ているときなど、獲物に手が届きそうなのに届かない、歯がゆい思いから出る声。


◎「グルグル」「ゴロゴロ」(purr) → 「満足満足♡」「悪意はないよ」

のどを鳴らす音。甘え、安心、リラックスなど、相手に悪意がないときに聞かれる。相手をなぐさめるとき、自分の気持ちを落ち着かせるとき、具合が悪いときなどにいうこともある。

 

■ゴロウちゃんの「ことば」⑤「うれしいよ~」

帰宅後、ひとしきりスリスリした後は、ひざの上で思いっきりゴロゴロ甘えん坊タイム。

 

続いて、愛猫とコミュニケーションを深めるポイントをご紹介!>

 

 

宮村美帆

フリーエディター・愛玩動物飼養管理士(2級) 宮村美帆

動物好きの両親の影響で、子どもの頃から、犬、小鳥、ハムスター、鈴虫、錦鯉など、何かしら生き物がいる環境で育つ。動物看護師として2年間の動物病院勤務を経験した後、猫の月刊誌『CATS』の編集者に。その後、人と動物の今を考える雑誌『季刊リラティオ』の編集などを経てフリーランス。エディター、ライターとして、ペット(動物)、児童書(図鑑)、実用書、デジタル情報辞典などを手がける。ヒトと動物の関係学会編集スタッフ。ずっと犬派だったが、動物病院勤務で猫の魅力に目覚め、猫雑誌の編集でどっぷりハマる。獣医師やペットオーナーなどへの数々の取材で得た情報、学んだ知識を活かし、猫とのより楽しい暮らしを研究中。現在の愛猫はゴロウちゃん。

 

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