[獣医師コラム]食欲不振、動かない、ダルい。愛犬の「夏バテ」の見極め方と上手な夏の過ごし方

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「夏バテで愛犬の食欲がなくて」という飼い主さんも多いのですが、実際に体重を量ってみると減ってなくて、食べっぷりが違うだけというケースも。人でも夏は少し食欲が落ちたりするので、元気ならそれほど心配はいりません。夏バテに治療法はないので、生活のなかで工夫していきましょう。

 

夏バテになりやすいのは、こんな犬

●食ムラがある
夏バテ相談が多いのは、食ムラのあるコや猫のようにダラダラ食いをするタイプ。飼い主さんが「何か食べさせなきゃ」とおやつをあげたりするので、よけい食事を摂らなくなってしまいます。

●環境に適応できていない
梅雨から夏にかけて、食欲不振・嘔吐・下痢の相談が増えます。きちんと空調管理もされているのになぜ夏バテに?と思うのですが、おそらく冷房病。冷房の入れ始めの時期で、犬がまだ適応できていないのでしょう。

●短頭種はとくに暑さに弱い
鼻ペチャ犬種も暑さに弱く、夏は不調が出やすい。性格的にも興奮しやすく、熱中症を重症化させて来院するのも、フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア等が多いです。

 

夏バテと病気の見極め方

●普段の食習慣を把握しておく
食ムラがあるコは、普段、何食ぐらい抜くことがあるのか把握しておくこと。例えば1食までしか抜かないコが2食抜いたら、体調不良を疑ってみる。いつも喜んで食べるおやつを食べるかどうかも、判断基準に。愛犬の日頃の食習慣を把握していれば、必要以上に心配しなくてすみます。

●動きや体重の変化も判断基準
夏バテと病気の見極めは、動きや体重の変化でも。普段、お出迎えに来るのに来なかったり、大好物を拒んだり、日常、テンションが上がるものに反応しないときは黄信号です。また、痩せていないかも重要。食べっぷりは落ちても痩せていなければ、様子見でも大丈夫です。

 

自宅でできる夏バテ対策

●食事の工夫
おいしければ食べられるのなら、ドライフードに少しお湯をかけて風味を出したり、ふりかけやウェットフードを足したり、手作りしたりと、ひと工夫を。ただし一度与えると、それしか食べなくなる可能性もあるので、注意が必要です。
また、おやつだったら食べるのなら、しつけとの兼ね合いになりますが、間食でカロリーを補うのも一つの手。

●散歩の配慮
動かないと心配になりますが、夏は、犬の活動自体も低下します。散歩のペースや時間帯を調整しましょう。散歩は、アスファルトを手で触って熱さを確認してから。排泄が目的の散歩では、時間帯を選べず、犬が肉球をやけどしてしまうケースも。
やむを得ず暑い時間帯に出かけるときは、できるだけ土のある所を歩かせてあげて。

●室温管理
エアコンの温度設定は、犬種差が大きいので、犬がハァハァしていないかが基本。犬も、子犬の頃から家族と一緒にいて人基準に適応しているので、家族が適温だと思う温度で大丈夫でしょう。飼い主さんの不在時も冷房は入れたままで。
家の中を自由に動けるコは問題ありませんが、ケージなど移動できない環境では、そこの温度や通風性など細かい注意が必要です。

●サマーカットは是か非か
サマーカットは被毛の保護がなく余計に暑いとか、紫外線で日焼けするとか、NG論も聞かれますが、極端に短くカットしたり、紫外線アレルギーでないかぎり、それほどダメージはありません。見た目にも涼しげで、皮膚トラブルのあるコはケアがしやすくなるメリットも。
ただし地肌が出ている場合は、虫よけをしたり、服を着せて直射日光を避けるなどの配慮を。

また、ポメラニアン、チワワ、キャバリアなどのストレートロングの犬種は、サマーカットをすると、毛質が変わってうねりが出たり、長く伸びないことがあるので、冬はロングにしたい場合はおすすめできません。犬にとっての快適度や飼い主さんが何を重視するかによります。

 

夏に悪化しやすい病気
●心臓病
夏のハァハァは心臓に大きな負担。心臓に持病があると悪化しやすく、末期のコが「夏さえ越せれば次春まで」といわれるほど難しい季節です。少しでも異変に気づいたら、すぐに動物病院へ。

●皮膚トラブル
夏は湿度が高く雑菌が繁殖しやすかったり、夏バテで免疫力が低下しがちなため、皮膚トラブルが増加します。加えて、皮脂の分泌量が増えすぎると、マラセチアなどの常在菌が増殖し、さらに症状を悪化させます。

耳垢、フケ、乾燥、皮膚がベタついたり臭くなる周期がいつもより早い、などは重要なチェックポイント。他の季節よりもこまめにチェックし、シャンプーやトリミングの頻度を増やすなど、皮膚を清潔に保つこと。
皮膚トラブルは、基本、再発します。愛犬の皮膚の状態のパターンや体質を知り「夏は毎年この程度」と理解した上で、その体質とうまく付き合っていくことが大切です。

 

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箱崎加奈子

獣医師・トリマー・ドッグトレーナー 箱崎加奈子

アニマルクリニックまりも 院長

麻布大学獣医学部卒。気軽に立ち寄れるペットオーナーのためのコ ミュニティスペースを目指し、「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」を東京都世田谷区、杉並区に開業。病気はもちろん、予防を含めた日常の健康管理、ケア、トリミング、預かり、しつけなどを行う。2011年「女性獣医師ネットワーク」を立ち上げ、女性獣医師のための支援 として、動物病院の働き口や技術向上のための講習会の紹介を行っている。

 

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