【獣医師コラム】猫を動物病院嫌いにさせないために日頃からやっておくべきこと ~準備編~

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「うちのコは動物病院が大嫌いなんです」という飼い主さんがたくさんいます。でも、大嫌いにさせてしまった原因は、多くの場合、猫自身ではなく飼い主さんにあるのです!今回は、動物病院に猫を連れて行く際に、猫とあなたのストレスを少しでも減らすために、日頃から自宅でやっておくべきことについてお話しします。

 

猫は一度の失敗で懲りてしまう。「うちのコは大丈夫」の過信も禁物

猫と暮らしていく上で何をするにも覚えておいていただきたいのは、猫は一度失敗させると二度とやらせてくれないということです。多くの飼い主さんは猫の具合が悪くなってから、無理やり捕まえて、元気になってもらいたい一心でなんとか動物病院に連れて来ます。けれども、猫にしてみたら、具合が悪いのにいきなりキャリーバッグに閉じ込められた上に知らない場所に連れ出され、さらに体のあちこちを触られて、それを嫌なことだと感じたら、二度とあんなところに行くもんかと思ってしまっても無理はありません。

完全室内飼育の猫にとっては、自分のテリトリーから外に出ることだけでもストレスです。猫のストレスを少しでも軽くして動物病院に連れて来ていただくためには、日頃の自宅での準備や練習が必要で、嫌な経験をさせて「大嫌い」にしないことが大切なのです。家族以外の人に会わせて慣らしたり、体のどこを触っても嫌がらないようにこまめにブラッシングや爪切りをしたりなど、さまざまな刺激に慣らしておくことが動物病院でのスムーズな治療へとつながっていきます。

「うちのコは大丈夫」という過信も禁物です。今までは大丈夫だったからと注意を払わずにいると、猫に「失敗」させてしまうことがあるからです。犬は悪い経験をしても良い経験をすることでリカバーできますが、猫は最初からなるべく嫌な思いを経験させないことが重要です。普段は大丈夫でも外に出たら何が起こるかわかりません。知らない場所に来ているんだという認識を持ち、気を抜かずに細心の注意を払ってください。

 

キャリーバッグが好きになるトレーニングをしよう

すでに「失敗」してしまい、猫が動物病院嫌いになっている場合には、いろいろなことに少しずつ慣らして「やり直し」をしましょう。自宅で必ずやっていただきたいのは、キャリーバッグに慣らしておくことです。キャリーバッグに入る機会が苦手な動物病院に行く時だけになっていると、猫はキャリーバッグを見ただけで逃げ出してしまいますから、キャリーバッグは日頃から出しっぱなしにしておきましょう。猫は箱型のものの中に入るのが好きですから、キャリーバッグの扉を開けておけばいつでも自由に入れる場所になります。

さらにキャリーバッグが猫にとって居心地の良い場所になっていることも大切です。中でおやつを食べさせたり、オモチャで遊ばせたり、お気に入りのマットなどを入れておいたりすることで、キャリーバッグがお気に入りの場所になっていきます。狭いと猫がかわいそうだからと広めのキャリーバッグを選ぶ人がいますが、狭いほうが猫は落ち着きますし、移動の時にも安定します。広めのキャリーバッグは、バスタオルなどを入れて猫の体が安定するようにしてください。

すでにキャリーバッグ=苦手な動物病院という関連づけが愛猫にできているときには、キャリーバッグを買い換えて印象を変える方法もあります。キャリーバッグは、扉が前面(横)だけでなく上からも開くものがおすすめです。このタイプなら、前から猫を引っ張り出すのではなく、上からバスタオルをかけて猫をそっと出すことができます。

 

安全と安心のためにも洗濯ネットを活用しよう

猫を動物病院に連れて行く時には、キャリーバッグ+猫を洗濯ネットに入れることをおすすめしています。猫は袋状のものに入ることも好きなので落ち着きますし、洗濯ネットに入っていれば、予期せずにバッグのドアが空いてしまっても脱走を防ぐことができます。また、病院嫌いの猫でもネットに入っていれば、その上から診察することも可能です。診察のことを考えると、ネットは中が見える若干粗めで白っぽいものがよいでしょう。

キャリーバッグと同様に、洗濯ネットにも普段から慣らしておきましょう。無理やり中に入れるのではなく、猫がリラックスしている時に後ろからそっとかぶせてファスナーを閉めます。洗濯ネットは日頃から猫のベッドの下などに敷いて匂いをつけておくと安心します。洗濯ネットに入ることに慣れてきたら、ネットに入っている状態でキャリーバッグに入れて扉を閉める練習もします。キャリーバッグも洗濯ネットも、練習するときに飼い主さんが身構えると猫は警戒しますので、飼い主さんもリラックスして行いましょう。

《洗濯ネットへの入れ方》

猫ちゃんがリラックスしている時に後ろからそっと

前編-3優しく声をかけながらファスナーを閉めます

前編-4「キャリーバッグ+洗濯ネット」で万一の場合も安心

動物病院へ連れて行く時のキャリーバッグは、しっかりとしたハードタイプのものが理想的ですが、高齢の飼い主さんや徒歩で通院するには、重くて持ちにくいという難点もあります。そうしたケースでは、おとなしい猫なら洗濯ネットにしっかり入れてあれば、布製のキャリーバッグや上がきちんと閉まるタイプのスリングなど、持ちやすいバッグを利用することもできます。
(洗濯ネットの入れ方は、当院のブログでもご紹介しています。「苅谷動物病院日記」)

 

健康なときに動物病院へ行く練習を

具合が悪い時にだけにしか猫を病院に連れて行かないと、動物病院=つらい場所となってしまいます。そして、猫が動物病院嫌いになっていると、飼い主さんも連れていくのが大変になって足が遠のき、その結果、病気の発見が遅れてしまうという事態になりがちです。
定期的な健康診断やワクチン接種など、猫が健康な時に行くことで動物病院の印象が少しずつ良くなって、具合が悪い時に治療も受けやすくなります。ご紹介したキャリーバッグや洗濯ネットに慣らすテクニックを活用しながら、こまめに動物病院に足を運んで猫を慣らしてましょう。

 

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獣医師 内田 恵子
元ACプラザ苅谷動物病院 専務取締役 統括院長

JAHA認定獣医内科医
JAHA認定パピーケアスタッフ
日本小動物血液療法研究会会長
内科・神経科・行動学を中心に、脳と心の治療の研究がライフワーク。

 

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