[獣医師コラム]猫の抜け毛 部分的な脱毛は要注意!病気によって抜け方は異なります

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猫との暮らしの困りごとの一つに挙げられる「抜け毛」。冬毛から夏毛に変わる春先と、夏毛から冬毛に変わる秋の年2回の換毛期には特にたくさんの毛が抜けますが、これは言わば猫の「衣替え」のようなもので、自然な生理現象です。けれども、部分的にごっそり抜けたり、かゆみや赤み、フケなどがある場合は、なんらかの病気が疑われるので放置は禁物です。

 

どこの毛が抜けるのかが手がかりに

季節の変わり目の換毛期では、全身まんべんなく毛が抜けます。特定の部分に脱毛があるときは、どこの毛が抜けているかが、病気を特定する大きな手がかりになります。

●顔のまわりの円形脱毛
皮膚糸状菌というカビ(真菌)によって起こる【皮膚糸状菌症】は、主に顔のまわりなどが小さく円形に脱毛することが多い。脱毛部分が赤くなったり、フケが出たり、軽いかゆみを伴うこともあります。

●頭部や額の脱毛
特定の食べ物に過敏な反応を示す【食事性アレルギー】では、目の上や額、耳のつけ根の皮膚が赤くなり、毛が薄くなったり脱毛したりします。長引く下痢や嘔吐などの消化器症状が見られることもあります。

●顔や耳のふちの脱毛
ショウセンコウヒセンダニという小さなダニが寄生して起こる【疥癬(ヒゼンダニ症)】では、顔や耳のふちなどに脱毛とかさぶたが見られます。かゆみが激しく、掻きむしることもあります。

●白猫の耳先や頭部の脱毛
毛の白い猫では、強い日差しを浴びると【日光性皮膚炎(日光過敏症)】を起こして、耳先や頭部が脱毛することがあります。ひどくなると耳先や鼻、口のまわりがただれたり潰瘍になったりします。

●首のまわりの脱毛
首輪を長くつけっぱなしにしていると、首輪でこすれて脱毛します(通称【首輪ハゲ】)。毛根がダメージを受けて皮膚がつるつるになり、毛が生えてこないこともあるので注意してください。

●下腹部や内股、背中の両脇の脱毛
強い不安やストレスを感じると、体の同じ部分を舐め続ける【過剰グルーミング】を行います。内股や下腹部、背中の両側など舌が届く範囲が脱毛し、赤くただれて【舐性皮膚炎】を起こすこともあります。

●首から背中、尾のまわりの脱毛
ノミが寄生して【ノミアレルギー性皮膚炎】が起こると、首や背中、尾のつけ根やお尻のまわりなどが脱毛します。小さな赤い発疹が見られ、激しいかゆみも伴います。

●後ろ足の後ろ側が線状に脱毛
【好酸球性肉芽腫群】の一種の【線状肉芽腫】は、その名の通り、後ろ足の後ろ側などが一直線状に盛り上がって脱毛するのが特徴で、赤みとふけも見られます。

 

舐めたり掻いたりしないかをチェック

かゆみのある脱毛は比較的気づきやすいのですが、かゆみがないと見過ごしがち。舐めたり掻いたりすることで脱毛するのか、何もしなくても脱毛するのかを確認することも大切です。これは、ご自宅でエリザベスカラーをして観察してみるとわかります。【疥癬】【皮膚糸状菌症】は舐めたり掻いたりしなくても広がっていきますし、【過剰グルーミング】は舐めなければ脱毛しません。過剰グルーミングの場合は、舐めている原因を突き止めなければ、脱毛も改善しません。
このように「毛が抜ける」原因はさまざまです。勝手に判断せずに、気になる症状があったら、動物病院に相談してください。

 

診察台の上での抜け毛は緊張から

ところで、愛猫を動物病院の診察台に乗せたときに、いつも以上の毛が抜けていると感じたことはありませんか。猫は緊張によるストレスから、毛が抜けたりフケが出たりすることもあります。このとき、多くの飼い主さんは「大丈夫?」と猫の背中を撫でるのですが、これはかえって逆効果。飼い主さんは猫を落ち着かせているつもりでも猫の緊張は高まり、どんどん不安になっていきます。診察台でかまわずにそっとしてもらったほうが実は猫は落ち着くのです。撫でるなら頭など首から上の猫が撫でられて気持ちいいと感じる部分か、体にそっと手を当てるくらいに留めましょう。

 

関連リンク

Petwell 猫の病気事典「猫の皮膚糸状菌症(白癬)」

Petwell 猫の病気事典「猫のアレルギー性皮膚炎」

Petwell 猫の病気事典「猫の疥癬」

Petwell 猫の病気事典「猫の日光皮膚炎」

Petwell 猫の病気事典「猫のノミアレルギー性皮膚炎」

Petwell 猫の病気事典「猫の好酸球性肉芽腫症候群」

 

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獣医師 内田 恵子
元ACプラザ苅谷動物病院 専務取締役 統括院長

JAHA認定獣医内科医
JAHA認定パピーケアスタッフ
日本小動物血液療法研究会会長
内科・神経科・行動学を中心に、脳と心の治療の研究がライフワーク。

 

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