【犬猫の防災】災害時の命綱は多いほうが良い―ペット防災のプロに聞く(3)

災害時の命綱は、たくさんあればあるほどいい

下記の項目は、いざ災害が起きたときにあなたとペットを守るための“命綱”。命綱は一本でも多いほうが安心です。

●非常用持ち出しグッズの用意
1人が持ち運べるのは、ペットを含めて6~8kgといわれており、必要なものをすべて持ち出すことは不可能。大切なのは優先順位をつけることです。くわしくはコチラで紹介しています。

●避難訓練をしてみる
猫を連れて実際に避難訓練をしてみるのも大事。くわしくはコチラで紹介しています。

●家族会議を開く
・どこへ避難するか、集合するか
・連絡の取り方(災害伝言ダイヤル、遠くの親戚など)
・避難グッズの持ち運びの分担

混乱した状況の中では、家族が再会できることが重要。ペットを守るためにはまず人間どうしが協力しあうことが大切です。
避難場所も、「この公園の入口の公衆電話のところ」など、より具体的に決めておくことが大切。同じ公園でお互いに探し回ることがなくなります。

家族で決めた避難場所は、日頃のお散歩や避難訓練などで下見をしておくと安心です

●ワクチン、寄生虫予防、不妊手術
ワクチン接種をしていないと、避難所やペットホテルにあずけられないことも。多くのペットが集まる避難所では、感染症をうつさない・うつされないためにも、ワクチンや寄生虫予防は必要です。
また、不妊手術をしていないと、脱走したペットが繁殖してしまったり、避難所で発情して周りに迷惑をかけることも。繁殖を考えていないなら手術をしておくことが大切です。

●首輪、鑑札、迷子札、マイクロチップ
ペットの身元がわかるものをつけていないと、外に逃げ出したペットと生き別れになってしまうことが。避難所で生活するときも不便です。

普段から、しっかりと首輪に付けておきましょう

●安全な室内づくり
・家具を固定(キャットタワーなども)
・高い場所に物を置かない
・窓ガラスにガラス飛散防止フィルム
・吊戸棚などには掛け金
・ペットが逃げ込める場所を作る(ハウス、キャリーなど)
・コンセントのそばに水を置かない(火災の原因になる)
・タコ足配線をしない

飼い主さんが外出しているときに災害が起きても、部屋にいるペットが安全でいられるように準備しておきます。

ペットが逃げ込めるハウスは、物が落ちてきたり、大きな家具が倒れてこない場所に。ソファーの後ろなどもおすすめ

●いざというときのちょっとした心がけ
・フードのストック
いつもギリギリの量しか用意していないと、災害時にフードが手に入らないとき、困ることに。「1袋余分にキープしておく」など、ストックをしておけば、いざというとき役に立ちます。避難グッズとして準備していなくても、家に取りに戻れれば使えます。

・飼い主が動けるよう、枕元にスニーカーやタオル
就寝時に災害が起こると、ガラスなどが飛散して歩けない場合も。スニーカーがあるのが一番ですが、枕にタオルを2枚巻いておけば、いざというとき足に巻いて靴下代わりすることができます。

・風呂場に水(消火用など)

●ケータイにペットの写真や動物病院のデータを保存しておく
外出時や、何も持ち出せなかったときにも、ケータイにペットの写真や動物病院のデータがあると便利です。ペットが迷子になったとき、ペットの写真がないと迷子のチラシも作れません。

●迷子ペットのチラシを作っておく
あらかじめチラシを作っておけば、災害時に迷子になったときに役に立ちます。混乱状況のなかではチラシを作ることも困難な場合があります。無料のテンプレートがあるので作っておき、避難グッズの中に入れておくと◎。
03_迷子チラシ

●日頃のトレーニング
・トイレトレーニング
・ハウストレーニング
・社会化トレーニング(飼い主以外の人にも馴れる)
・無駄吠えをなくす
・リードやハーネスに慣らす
避難所での生活に必要です。避難所では猫もリードやハーネスをつけなければいけない場合もあるので、慣らしておくと安心です。
・「待て」「伏せ」「おいで」などの指示に従えるようにしておく
 避難する際、これらができると便利です。

●近所のコミュニティを作っておく
いざというとき、お互いに助け合えるように、近所の方たちとコミュニケーションをとっておくことは大切なことです。特にペット仲間を作っておくと、災害時に助け合うことができます。
逆に、ふだん散歩中の排泄物を掃除しないなど、マナーのなっていない行動をとっていると、ペットが避難所にいることに理解を得ることが難しくなります。ふだんからの心がけが、非常時には大きく影響するのです。

これらはすべて、“Must”ではありませんが“Better”の項目。
愛するペットのためにどれだけ命綱を増やせるか、考えてみましょう。

<情報提供:NPO法人アナイス>

富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所会員 幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。編集・執筆を担当した書籍に『マンガでわかる猫のきもち』『マンガでわかる犬のきもち』『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『ねこ色、ねこ模様』(ナツメ社)、『ねこ語会話帖』『猫専門医が教える 猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)など。7匹の猫と暮らす愛猫家。 ▶HP:富田園子ホームページ ▶執筆&編集した本: 『マンガでわかる…

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